ダンベルサイドベントは、両手で実施することもできます。今回は、両手で実施するダンベルサイドベントのやり方及びコツについてご紹介します。
両手のダンベルサイドベントとは、ダンベルを両手に持って実施するダンベルサイドベントです。
ノーマルのダンベルサイドベントは、片手にダンベルを持って実施するエクササイズではありますが、レパートリーの一つとして両手にダンベルを持って実施するやり方もあります。
本種目の利点として、通常ダンベルサイドベントは左右を入れ替えて実施するときに、ダンベルの入れ替えでどうしてもインターバルができてしまうのですが、両手にダンベルを持って実施するとそれを大幅に短くできる点です。
一方、本種目の欠点もあります。ダンベルサイドベントでは片手を頭上に配置して腹斜筋を意識して実施する方法もありますが、両手でダンベルを持つとそれが実施できません。手の位置に関係なく、両手にダンベルを持っていると、腹斜筋への意識を働かせ難くなるといえます。
腹斜筋(ふくしゃきん)は、肋骨から骨盤にかけて走る筋肉である、外腹斜筋と内腹斜筋の総称です(イメージとしては横腹やや上方についている筋肉です)。
外腹斜筋と内腹斜筋は、この筋肉の名前が指す通り、外腹斜筋が外側にあり、その内側に内腹斜筋があります。外腹斜筋の方が肋骨から骨盤に走っており、内腹斜筋は横腹に走っています。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋、最長筋、棘筋からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。
脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持する役割を果たしています。このため、脊柱起立筋は、身体が横になって寝た状態になっている場合以外、常に働いている筋肉です。
腰方形筋(ようほうけいきん)は、骨盤と下部肋骨を繋ぐ筋肉です。腰方形筋は、身体の外からは確認することは難しく、筋肉としてはインナーマッスルに分類できます。
腰方形筋は、骨盤を正しい位置に保ち、背骨を安定させる働きがあります。このため、腰方形筋の役割は前述した脊柱起立筋と似ているということが言えます。
腹筋というと、多くの人はシックスパックに代表される腹直筋をイメージしがちです。確かに、腹直筋を鍛え、体重を落とすことで、腹筋の象徴とも言えるシックスパックを作り出すことが可能です。
しかし、それだけでは完成度の高い腹筋とは言えません。なぜならば、シックスパックだけが鍛えられた腹筋の場合、身体をトータルで見たときに腹筋がやや孤立しているようなイメージになるからです。
大胸筋や大円筋部周辺部からの連続的な腹筋を実現するためには腹斜筋を鍛える必要があり、腹斜筋を鍛えることで非常に完成度の高い腹筋を有しているように見えることが期待できます。
腹斜筋は、前述したように「ほぼ」横腹に相当する筋肉です。このため、腹斜筋を鍛えることで横腹に付いている無駄な脂肪を燃焼させることを期待できます。これにより、特に女性では、くびれが目立つようになることを期待できます。
一方で、横腹の脂肪を直接減らすことを目的にするならば、腹斜筋とともに腹横筋を鍛えることが非常に重要です。腹横筋は、通称「コルセット筋」とも呼ばれる筋肉であり、ウエストを細く保つ働きがあります。ダンベルサイドベントの動作自体で腹横筋に刺激を与えることは難しいものの、呼吸を工夫すれば腹横筋に刺激を与えることができる可能性があり、これにより、よりくびれを目立たせることが期待できます。
一見すると、身体を鍛えるという側面で、内臓の位置関係が関係あるのかと感じますが、内臓の位置関係はお腹の出方に関係しています。
つまり、「内臓を正しい位置に保つ」という効果は、「お腹周りをすっきりさせる」効果とも表現できます。
これは、腹腔(腹部臓器が収納されている領域)の内圧が低いと内臓が下方向に移動することがわかっており、これにより、下っ腹が出たような状態になってしまいます。腹腔の内圧を高めるためには、外側から締め付ける力を強くする必要があり、そのために、腹斜筋を鍛えることが有効です。
筋トレ初心者の両手のダンベルサイドベントの目安の重量は3 kg程度です (体重にもよります)。
両手のダンベルサイドベントは、難易度が高いエクササイズであるため、まずはかなり軽めの重要で実施することをおすすめします。ただし、これはあくまでも目安の重量となるため、実際には自身の筋肉量に合わせて12〜15回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
両手のダンベルサイドベントに少し慣れた方の両手のダンベルサイドベントの目安の重量は3〜5 kg程度です(自身の体重にもよります)。
両手のダンベルサイドベントは、慣れてくると握力の発達により重要を扱うことができますが、それでも丁寧に実施する必要があります。以上では3〜5 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルサイドベントを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者の両手のダンベルサイドベントの目安の重量は30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、両手のダンベルサイドベントで30 kg以上を扱うことができれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、両手のダンベルサイドベントはそこまで重量にこだわる種目ではないため、上級者になり高重量をあつかうようになったら、むしろ自身の現在のフォームを見直すことが重要です。
筋トレ初心者の場合、両手のダンベルサイドベントは12〜15回を3セット実施しましょう。
両手のダンベルサイドベントは、ほぼ腹斜筋のみを狙うエクササイズであり、エクササイズ強度はそこまで高くありません。初心者の場合には、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
両手のダンベルサイドベントに少し慣れた方の場合、両手のダンベルサイドベントは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施するようにしましょう。
両手のダンベルサイドベントに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、腹筋周りを鍛えることができるその他のエクササイズを実施するようにしましょう。
両手のダンベルサイドベントは、あくまでも腹斜筋を鍛えるエクササイズであることから、腹直筋をバランスよく鍛えるためにはそれだけでは足りません。この場合には、オブリーククランチ、レッグレイズ、シットアップなどの種目と組み合わせて実施するようにしましょう。
両手のダンベルサイドベントは、そもそも、片手のダンベルサイドベントと比較してエクササイズ強度が高いわけではありません。
これは、前述した通り、後述するように腹斜筋を意識することはもちろんですが、両手にダンベルをもっていることで可動域がより狭くなってしまうためでもあります。このことから、両手のダンベルサイドベントは、重量を扱うことはできますが、エクササイズ効率は片手のダンベルサイドベントの方が高いです。
以上を総合すると、基本的には片手のダンベルサイドベントをメインで実施し、両手のダンベルサイドベントはマンネリ化を防ぐ目的で実施する方が効率的です。
両手のダンベルサイドベントは、腹斜筋を鍛えるための単関節種目ですが、比較的高重量を扱えるという点が盲点です。
単関節種目は、アイソレーション種目と呼ばれており、その名のとおり、1つの関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、重量が扱い辛いということがデメリットとして挙げられますが、ターゲットとなる部位にのみ刺激が入るということがメリットとして挙げられます。
一方で、多関節種目は、複合関節種目、または、コンパウンド種目と呼ばれており、その名の如く、多数の関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、ターゲットとなる部位以外にも刺激が入ってしまうことがデメリットとして挙げられますが、高重量を扱い易いということがメリットとして挙げられます。
両手のダンベルサイドベントは、例外的に、単関節種目であるものの重量を扱えます。これにより、腹斜筋で支えることができる以上に重量を扱える可能性があり、こうなると腹斜筋のエクササイズではなくなります。このため、やや軽いと感じるくらいの重量で、しっかりとフォームを守りながら実施することが重要です。
身体を左右に曲げることができる範囲は非常に限定的です。これに伴って、両手のダンベルサイドベントにおける可動域は比較的小さいです。これは、両手のダンベルサイドベントだけではなく、腹斜筋を鍛えるエクササイズの多くに共通していることです。
両手のダンベルサイドベントでは、可動域が小さいからこそ、全ての可動域内でしっかりと負荷が入るようにフォームを厳密に設定する必要があります。そのために、後述するように、トップポジションではしっかりとダンベルを引き上げることはもちろんですが、ボトムポジションでしっかりとダンベルを下げて腹斜筋を伸展させることを意識します。ただし、特にボトムポジションの設定ですが、低くしようと意識しすぎると腰を痛める原因となることもあるため注意が必要です。
両手のダンベルサイドベントに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腹斜筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹斜筋の動きを意識するのおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
特に、両手のダンベルサイドベントの場合には、ボトムポジションでしっかりと腹斜筋を伸展させ、トップポジションでしっかりと腹斜筋を収縮させることを意識することが重要です。
両手のダンベルサイドベントに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
両手のダンベルサイドベントに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、両手のダンベルサイドベントでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
オブリーククランチは、両手のダンベルサイドベントと同様に腹斜筋を鍛えることができるためです。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は両手のダンベルサイドベントの方が高いです。実際に実施する場合には、オブリーククランチを先に実施し、ダンベルサイドベントを本番種目として実施することで腹斜筋を効率的に鍛えることを期待できます。
オブリーククランチは、12〜15回を3セット実施します。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるための非常に基本的なエクササイズですが、フォームが非常に重要な種目です。このため、オブリーククランチ自体の負荷を考えると回数は少ないですが、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施し、フォームをしっかりと意識することが重要です。
1回ずつ頭を床につけない。
腹斜筋の収縮、伸展を意識する。
頭を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
レッグレイズは、両手のダンベルサイドベントでは鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は両手のダンベルサイドベントの方が高いです。実際に実施する場合には、レッグレイズと両手のダンベルサイドベントをどちらを先に実施しても問題なく、合わせて実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、12〜15回を3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるエクササイズであり、腰を支点にして脚を上げ下げすることで負荷を与えます。このため、どうしても腰に負荷がかかりやすいエクササイズであることから、回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
とにかく脚の動きをコントロールする。
脚を上げすぎない。
脚をギリギリまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
シットアップは、両手のダンベルサイドベントでは鍛えることが難しい腹直筋全体を鍛えることができるためです。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は両手のダンベルサイドベントの方が高いです。実際に実施する場合には、シットアップと両手のダンベルサイドベントをどちらを先に実施しても問題なく、合わせて実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
シットアップは、12〜15回を3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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