ダンベルサイドベントは、比較的難易度の高い種目で、効かないと感じる場合が多い種目です。今回は、ダンベルサイドベントで効果がないと感じる原因とその対策についてご紹介します。
ダンベルサイドベントは、「dumbbell side bend」、つまり、「ダンベルを用いて側面を曲げる」ことを意味します。これは、ダンベルサイドベントのエクササイズの特徴を端的に表しています。
ダンベルサイドベントは、後述するように、腹斜筋を鍛えるためのエクササイズですが、腹斜筋はそこまで大きい筋肉ではありません。これに伴って、腹斜筋を加重しながら鍛えることができる種目はほとんどありません。このため、ダンベルで比較的重い重量を加重して実施するダンベルサイドベントは、腹斜筋を鍛えるためのパワー種目としては非常に貴重です。
ダンベルサイドベントと名前がつく通り、サイドベントという種目も存在します。両者の基本的なフォームは同一であり、ダンベルの有無のみが異なります。特に、サイドベント、ダンベルサイドベントはフォームが比較的難しい種目であり、実施しているときに注意をしないとどこを鍛えているのか分からなくなるため注意が必要です。
ダンベルサイドベントで効果が出ない最大の原因として、可動域を正確に設定できていない可能性が考えられます。
ダンベルサイドベントでは、腹斜筋をしっかりと伸展した状態から、しっかりと収縮する状態まで動かす必要があります。ダンベルサイドベントで効果が出ないと感じる場合には、この可動域をしっかり設定できていない可能性があります。
これを防ぐためには、まずはダンベルを使わないサイドベントで正確な可動域を理解する必要があります。そこから、少しずつ重量を増やして、正確な可動域の中でダンベルサイドベントを実施するようにしましょう。
ダンベルサイドベントで効果が出ない原因として、前述したように、可動域を正確に設定できていない可能性があり、その原因として重量設定が重すぎる場合があります。
ダンベルサイドベントで可動域を正確に設定できていない原因として、そもそも、サイドベントの正確な可動域を身につけていない可能性に加えて、扱っているダンベルの重量が重すぎる場合があります。
これを防ぐためには、ダンベルの重量を減らす必要があります。ダンベルサイドベントでは、扱う重量を増やせば負荷を増大させることを期待できますが、それよりも可動域をしっかりと設定することが重要であるため、ダンベルの重量を上げすぎないように注意しましょう。
ダンベルサイドベントで効果が出ない原因として、腹斜筋の動きを意識できていない可能性があります。
ダンベルサイドベントは、慣れていないと、ダンベル僧帽筋の力を使ってあげてしまいがちな種目であり、そのように実施すると、当然のことながらターゲット部位となる腹斜筋に対して負荷が入っていないと感じます。
これを防ぐためには、ダンベルを使わないサイドベントで腹斜筋を使って身体を動かす方法を身に付ける必要があります。この状態から、少しずつ重量を増やすことで、正確に腹斜筋を意識しながらダンベルサイドベントを実施する必要があります。
腹筋というと、多くの人はシックスパックに代表される腹直筋をイメージしがちです。確かに、腹直筋を鍛え、体重を落とすことで、腹筋の象徴とも言えるシックスパックを作り出すことが可能です。しかし、例えば、ボディメイキング的な観点で考えると、それだけでは完成度の高い腹筋とは言えません。なぜならば、シックスパックだけが鍛えられた腹筋の場合、身体をトータルで見たときに腹筋がやや孤立しているようなイメージになるからです。大胸筋や大円筋部周辺部からの連続的な腹筋を実現するためには腹斜筋を鍛える必要があり、腹斜筋を鍛えることで非常に完成度の高い腹筋を有しているように見えることが期待できます。
腹斜筋は、前述したように「ほぼ」横腹に相当する筋肉です。このため、腹斜筋を鍛えることで横腹に付いている無駄な脂肪を燃焼させることを期待できます。これにより、特に女性では、くびれが目立つようになることを期待できます。
一方で、横腹の脂肪を直接減らすことを目的にするならば、腹斜筋とともに腹横筋を鍛えることが非常に重要です。腹横筋は、通称、コルセット筋とも呼ばれる筋肉であり、ウエストを細く保つ働きがあります。ダンベルサイドベントの動作自体で腹横筋に刺激を与えることは難しいものの、呼吸を工夫すれば腹横筋に刺激を与えることができる可能性があり、これにより、よりくびれを目立たせることが期待できます。
一見すると、身体を鍛えるという側面で、内臓の位置関係が関係あるのかと感じますが、内臓の位置関係はお腹の出方に関係しています。つまり、「内臓を正しい位置に保つ」という効果は、「お腹周りをすっきりさせる」効果とも表現できます。これは、腹腔(腹部臓器が収納されている領域)の内圧が低いと内臓が下方向に移動することがわかっており、これにより、下っ腹が出たような状態になってしまいます。腹腔の内圧を高めるためには、外側から締め付ける力を強くする必要があり、そのために、腹斜筋を鍛えることが有効です。
ダンベルサイドベントは、腹斜筋を鍛えるための単関節種目ですが、比較的高重量を扱えるという点が盲点です。
単関節種目は、アイソレーション種目と呼ばれており、その名の如く、1つの関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、重量が扱い辛いということがデメリットとして挙げられますが、ターゲットとなる部位にのみ刺激が入るということがメリットとして挙げられます。
一方で、多関節種目は、複合関節種目、または、コンパウンド種目と呼ばれており、その名の如く、多数の関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、ターゲットとなる部位以外にも刺激が入ってしまうことがデメリットとして挙げられますが、高重量を扱い易いということがメリットとして挙げられます。
ダンベルサイドベントは、例外的に、単関節種目であるものの重量を扱えます。これにより、腹斜筋で支えることができる以上に重量を扱える可能性があり、こうなると腹斜筋のエクササイズではなくなります。このため、やや軽いと感じるくらいの重量で、しっかりとフォームを守りながら実施することが重要です。
身体を左右に曲げることができる範囲は非常に限定的です。これに伴って、ダンベルサイドベントにおける可動域は比較的小さいです。これは、ダンベルサイドベントだけではなく、腹斜筋を鍛えるエクササイズの多くに共通していることです。
ダンベルサイドベントでは、可動域が小さいからこそ、全ての可動域内でしっかりと負荷が入るようにフォームを厳密に設定する必要があります。そのために、後述するように、トップポジションではしっかりとダンベルを引き上げることはもちろんですが、ボトムポジションでしっかりとダンベルを下げて腹斜筋を伸展させることを意識します。ただし、特にボトムポジションの設定ですが、低くしようと意識しすぎると腰を痛める原因となることもあるため注意が必要です。
ダンベルサイドベントに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腹斜筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹斜筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
特に、ダンベルサイドベントの場合には、ボトムポジションでしっかりと腹斜筋を伸展させ、トップポジションでしっかりと腹斜筋を収縮させることを意識することが重要です。
ダンベルサイドベントに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ダンベルサイドベントに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルサイドベントでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
オブリーククランチは、ダンベルサイドベントと同様に腹斜筋を鍛えることができるためです。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるためのエクササイズであり、ダンベルサイドベントよりもエクササイズ強度は低いです。実際に実施する場合には、オブリーククランチをウォーミングアップ種目として実施し、ダンベルサイドベントを本番種目として実施することで腹斜筋を効率的に鍛えることを期待できます。
オブリーククランチは、12〜15回を3セット実施します。
オブリーククランチは、腹斜筋を鍛えるための非常に基本的なエクササイズですが、フォームが非常に重要な種目です。このため、オブリーククランチ自体の負荷を考えると回数は少ないですが、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施し、フォームをしっかりと意識することが重要です。
1回ずつ頭を床につけない。
腹斜筋の収縮、伸展を意識する。
頭を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
レッグレイズは、ダンベルサイドベントでは鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、ダンベルサイドベントよりもエクササイズ強度は小さいです。実際に実施する場合には、レッグレイズとダンベルサイドベントをどちらを先に実施しても問題なく、腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、12〜15回を3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるエクササイズであり、腰を支点にして脚を上げ下げすることで負荷を与えます。このため、どうしても腰に負荷がかかりやすいエクササイズであることから、回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
とにかく脚の動きをコントロールする。
脚を上げすぎない。
脚をギリギリまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
シットアップは、ダンベルサイドベントでは鍛えることが難しい腹直筋全体を鍛えることができるためです。
シットアップは、腹直筋を鍛えるためのエクササイズであり、ダンベルサイドベントとエクササイズ強度は同じ程度です。実際に実施する場合には、シットアップとダンベルサイドベントをどちらを先に実施しても問題なく、2つの種目を組み合わせて実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
シットアップは、12〜15回を3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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