腹筋ローラーは、腹直筋を鍛えるために非常に負荷の高い種目である一方で「効果がない」と感じている方も多い種目です。今回は、腹筋ローラーで効果がないと感じる原因とその対策についてご紹介します。
腹筋ローラーまたはアブローラー(英語名:ab wheel)は腹筋を鍛えるための道具ですが、この道具を使う種目そのものを指す場合も多いです。腹筋を鍛える種目・マシンは数多く考案されている中で、腹筋ローラーは最も負荷の大きいエクササイズの一つです。そのため、正確に実施するのは非常に難しいのですが、やり方を工夫することで、腹筋、背筋、腕の筋肉が十分に発達していない方でも実施することが可能です。
腹筋を鍛えられる他のアイテムには、ダンベルやトレーニングチューブ、シットアップ台などがあります。
一般的によく見る腹筋ローラーは、「肘をほぼ伸ばした状態からへその辺りまで戻す」やり方ですが、これは腹筋ローラーの負荷が逃げてしまっています。
腹筋ローラーに限らず、エクササイズの基本は負荷の入る可動域の中でエクササイズを実施することであり、腹筋ローラーでこれを実践するならば前述したやり方はおすすめできません。
この問題に対する対処法として、「腹筋ローラーが顎の辺りから、肘がやや伸びた状態まで下げて、元に戻す」というやり方を実践します。腹筋ローラーで最も負荷が逃げてしまいがちなのはトップポジションであり、トップポジションの設定をやや腹筋に負荷がかかっている状態に設定する必要があります。
腹筋ローラーは、いわば腕立て伏せのような状態になっていることから、上半身から下半身まで一直線にして実施してしまいがちです。
ただ、腹筋ローラーをはじめとして腹直筋を鍛えるエクササイズの多くは、姿勢が悪い状態を作り出すことで負荷を高めます。これは、腹筋はお腹が曲がった状態(つまり筋肉が縮んだ状態)で最も負荷がかかるためです。
この問題に対する対処法として、身体を常に「くの字」にする意識を持つようにしましょう。特に、ボトムポジションで「万歳」の状態になった場合でも「くの字」を保持するよう意識しましょう。ボトムポジションで身体が一直線になるのが完全に間違いなわけではありませんが、「くの字」を意識することでより効率的に腹筋を鍛えることができます。
腹筋ローラーは、教科書的なフォームでは腹筋ローラーと両つま先でバランスをとりながら実施する種目です。ただし、一般的には、このように実施すると負荷が高すぎるという場合が多々あります。
それでも、多くの人はこの様なフォームを無理に実施することで、腹直筋に負荷が入るというよりも肘、手首、肩、腰などの関節に負荷が入り、場合によっては怪我の原因となっています。
この問題に対する対処法として、腹筋ローラーのフォームを減らすことが挙げられます。その最も効果的で手軽な方が膝付きの腹筋ローラーです。膝付きの腹筋ローラーは、初心者、女性向けのエクササイズと考えるかもしれませんが、フォームを丁寧に実施するという点では極めて有効な種目であるため、腹筋ローラーの負荷が高すぎると感じる場合には実施するようにしましょう。
通常のエクササイズで奨励されている回数は12〜15回ですが、腹筋ローラーの場合にはこの回数は少し多過ぎます。
腹筋ローラーは、負荷がかなり高い種目であり、実際に実施する場合には回数が多くても10回程度を実施すれば十分です。このとき、もし腹筋ローラーの回数が12〜15回程度実施できるならば、可動域を正確に設定できていない可能性が高いです。
この問題に対する対処法として、前述した「可動域を正しく設定する」ということを意識した上で腹筋ローラーを実施するようにします。その際に、回数の設定としては8〜10回とし、むしろこれくらいの回数をできるかできないか位、丁寧に実施することが重要です。
腹筋ローラーは、「ローラー」という床に対して非常に動きやすいものを丁寧に動くようにコントロールすることで腹直筋に負荷を与える種目です。
これを言い換えれば、腹筋ローラーの動きのままに身体を動かすと腹直筋にあまり負荷が入らないことになります。
この問題に対する対処法として、腹筋ローラーの動きをしっかりとコントロールしながら実施するようにします。具体的には、トップポジションからボトムポジションに移行する際には、ゆっくりと腹筋ローラーを動かすのに対して、ボトムポジションからトップポジションに移行する際には素早く腹筋ローラーを動かす必要があります。
これは 前述した2つの理由と関連しますが、腹筋ローラーで腹直筋の動きを意識しないで漫然に実施しているとほとんど効果がありません。これは、いわゆる、「マインドマッスルコネクション」というテクニックであり、腹筋を鍛えるエクササイズでは特に重要であるとされているものです。「腹直筋の動きを意識できていない」からこそ、前述したように「数十、数百」のシットアップを実施することが可能となっている可能性もあります。
この問題に対する対処法として、前述した「可動域を正しく設定する」「適切な回数を設定する」というテクニックに実践した上で、腹直筋を意識するようにします。最初は難しいかもしれませんが、シットアップを実施することで腹直筋に負荷が入っている感じることができれば、その感性をより研ぎ澄ますことで腹直筋の動きを十分に意識できるようになります。
腹筋ローラーで腹直筋を鍛えることで、特にお腹周りについている脂肪を燃焼することを期待できます。しかし、腹直筋だけを鍛えるということで得られる効果は限定的です。腹直筋を鍛えるエクササイズに加えて、有酸素運動や食事制限を行う必要があります。
ちなみに、シックスパックを作りたい場合も同様で、計画的な有酸素運動と食事制限を実施する必要があります。
注意したいのが、 腹直筋を鍛えすぎるとむしろウエストが太くなる可能性がある点です。脂肪を燃焼させたいのか、がっつり筋肉をつけたいのか、目標によってダンベルの重さ、実施する回数を組む必要があります
腹直筋は、身体の中ではそこまで大きな筋肉ではありません。そもそも腹直筋が分類される腹筋があまり大きい筋肉とはいえません。
代謝を上げることを主目的とするならば、大腿四頭筋や大臀筋など大きい筋肉を主に鍛えるべきです。
とはいえ、腹直筋は腹筋の中では最も大きい筋肉であり、腹筋ローラーで鍛えることで基礎代謝の改善効果を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、ダイエットの下地を作ることができます。
朝に実施することで、一日の代謝がアップすることが期待できるのでおすすめです。
腹直筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。そのため、腹筋ローラーを実施することで、猫背の予防、改善の効果が期待できます。
ちなみに、反り腰はもともと猫背が原因になっていることが多いです。 また、腹直筋には骨盤の角度を調整する役割もあります。
ちなみに腰痛は、姿勢が悪化し、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかることが原因の一つです。そのため、腹直筋を鍛えることで姿勢が改善すると、腰痛も予防・改善できる可能性があります。
腹筋ローラーは、非常に強度が高く、怪我をしやすい種目なのですが、最も怪我をしやすいといわれているのが腰です。
腹筋ローラーで腰を痛める原因はいくつかありますが、その最たる例として腰を反ってしまうことが挙げられます。腹筋ローラーの効果を高めるためには前述したように身体が「くの字」になる様にして実施することが推奨されますが、これは腹筋への刺激を高めるとともに、怪我をするリスクを減らすという目的もあります。
また、腰を反って実施してしまうと、肩を痛める原因にもなるため、注意を払う必要があります。
腹筋ローラーは、ローラーを動かすことばかりを注意していると、どうしても腰主導で腹筋ローラーを動かしてしまいがちです。
ただ、そのように実施してしまうと、腹直筋ではなく腰にばかり負荷が入るようになってしまいます。腰の力で身体を動かすのではなく、ローラーを動かすことに集中し、手のローラーの動きのみでトップポジションからボトムポジションへ、ボトムポジションからトップポジションへ移行することが重要となります。
このように実施することで、多少、腰にも負荷は入りますが、基本的には腹直筋に負荷が入るようになるはずです。
腹筋ローラーを実施する上で、腹筋ローラーの動きを正確にコントロールする必要があります。そのためには、腹筋ローラーをしっかりと固定する必要があり、手首を掌屈させることが有効です。
掌屈(しょうくつ)とは、「手首を手のひらの方に曲げること」を意味します。手首に負担がかかることは避けられないのですが、そこで手首を掌屈させることで手首への負荷を軽減することが可能です。また、手首を掌屈させることで力を発揮しやすくなり、ボトムポジションで顔から崩れ落ちるのを防ぎます。
腹筋ローラーを実施したての頃はとくに手首の掌屈を大袈裟にでも意識するのが効果的です。慣れてくればそこまで意識しなくても問題ありませんが、間違っても背屈(はいくつ)(手首が手の甲側に曲げること)をしないようにしましょう。
腹筋ローラーでボトムポジションをしっかりと設定するためには、ボトムポジションでも安定して腹筋ローラーを動かす必要があります。
このためには、前述したように、手首を掌屈させることが有効ですが、それに加えて、肘を伸ばし切らないことが重要です。腹筋ローラーでは、ボトムポジションで身体がほぼ真っ直ぐになった状態をキープするのですが、この際に肘を伸ばすとかなりの確率で潰れてしまいます。これは、肘が伸び切ってしまうと腹筋ローラーを介して、身体を支えるために使う力を伝達しにくくなるためです。
以上より、肘はやや曲げた状態で行うことが重要です。
腹筋ローラーに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、身体を下げるときに息をはき、戻るときに息を吸うことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
クランチは、腹筋ローラーでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋上部を鍛えることができるためです。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるためのエクササイズであり、腹筋ローラーと比較するとエクササイズ強度はそこまで高くありません。実際に実施する場合には、腹筋ローラーを先に実施し、クランチをその後に実施することで腹筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動きを意識。
腹直筋上部の動きを意識。
呼吸を意識。
レッグレイズは、腹筋ローラーでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は腹筋ローラーと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、腹筋ローラーを先に実施し、レッグレイズをその後に実施することで腹筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、15〜18回3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を実施します。
とにかく足の動きをコントロールする。
腹直筋下部を鍛えるときよりも、トップポジションをやや深めに設定する。
足を床ぎりぎりまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
シットアップは、腹筋ローラーと同様に腹直筋全体を鍛えることができるためです。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は腹筋ローラーと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、腹筋ローラーを先に実施し、シットアップをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
シットアップは、12〜15回3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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