サイドレイズは、三角筋中部(肩の横の筋肉)を鍛える最も一般的なエクササイズです。今回は、サイドレイズのやり方およびコツをご紹介します。
サイドレイズの語源は英語「side raise」で、「横方向に上げる」を意味します。
重量物を横方向に上げれば「サイドレイズ」になりますが、一般的に「サイドレイズ」はダンベルを用いて行うエクササイズを指します(チューブを用いたサイドレイズ、バーベルを用いたサイドレイズも存在はします)。
サイドレイズは、数多くあるエクササイズの種目の中でも、ジムで最も実施されている種目であると言えます。その理由は、サイドレイズで鍛えられる部位である三角筋中部は、発達すると見栄えがわかりやすいためです。
一方、サイドレイズは、フォームがシビアなエクササイズであり、ジムで多く実施されているものの正しいフォームで実施できている人はかなり少ないエクササイズです。
三角筋は発達していると外見から非常に分かりやすいです。特にそれが顕著であると言われるのが、サイドレイズで鍛えることができる三角筋の中部、つまり、肩の側面に付いている筋肉です。
三角筋中部が発達していると、男性ならばシャツを着たときにシルエットが非常にはっきりするようになり、女性の場合は肩周りがスッキリすることでスラッと美しくなります。また、肩が張り出したような状態になるため、相対的に身体が逆三角形に見えるようになることが期待できます(一方で、肩の張り出しが大きくなるということは、発達させすぎると入る服が少なくなるため注意が必要です)。
三角筋は、意外かもしれませんが、身体の中で非常に大きな筋肉です。代謝を改善するための筋肉というと、脚の筋肉である大腿四頭筋、お尻の筋肉である大臀筋、背中の筋肉である広背筋等が非常に有名ですが、実は三角筋を鍛えることでの効果も非常に大きいです。
三角筋は、前部、中部、後部からなり、サイドレイズで鍛えることができる三角筋中部を鍛えることで代謝の改善は限定的です。そのため、三角筋を鍛えることで代謝の改善を効率的に狙うならば、三角筋前部、後部も鍛えることができるエクササイズも取り入れましょう。
肩もしくは首が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩、首が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。
肩の筋肉である三角筋を鍛えることで、肩周りの血流及びリンパの流れを改善することが期待できます。これにより、廃物が流れるようになることで、血管を圧迫しなくなり、これにより肩こり、首こりの改善を期待できます。
三角筋の中でも、サイドレイズで鍛えることができる三角筋中部を鍛えることでの以上の効果は限定的であり、より効果を高めるならば三角筋前部、三角筋後部、僧帽筋を組み合わせて鍛えるのがおすすめです。
筋トレ初心者のサイドレイズの目安の重量は片手で1〜3 kg程度です (自身の体重にもよります)。
そもそも、三角筋中部は、日常生活で使う機会はほとんどないため、普通の人はサイドレイズを実施するとびっくりするほど重量を扱えません。そのため、筋トレ初心者の方は、片手で1〜3 kg程度のかなり軽い重量でフォームをしっかりと確認しながら実施しましょう。
サイドレイズに少し慣れた方のサイドレイズの目安の重量は片手で3〜5 kg程度です(自身の体重にもよります)。
サイドレイズは、後述する通り、上体をうまく使うと、比較的高重量を扱うことができます。しかし、それは、あくまでもかなり上級者のテクニック (チーティングと言います)であるため、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では3〜5kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてサイドレイズを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のサイドレイズの目安の重量は片手で30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、サイドレイズで30 kg以上をチーティングなしで扱うことができれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでもチーティングなしでの重量です。チーティングを行えば、トレーニング初心者を脱して、かつ、パワーグリップやリストストラップなどの握力を補助するトレーニング道具を使えば30 kgを扱うこともそこまで難しくありません。基本的には、チーティングなしで30 kg以上を扱えると上級者であり、できるだけチーティングは実施しないでサイドレイズを実施するようにしましょう。
筋トレ初心者の場合、サイドレイズは12〜15回を3セット実施します。
サイドレイズは、やり方にもよりますが基本的には比較的高重量を扱い難い種目です。ただし、サイドレイズはフォームが本当に重要であるため、やや軽めの重量で一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
サイドレイズに少し慣れた方の場合、サイドレイズは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
サイドレイズに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばサイドレイズと一緒に実施するならばダンベルショルダープレス、ダンベルリアレイズ、ダンベルフロントレイズなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。
サイドレイズで鍛えることができえる三角筋中部はそもそもそこまで大きい筋肉ではありません。そのため、扱うことができる重量も限定的です。
もしサイドレイズで高重量を扱うことができる場合は、上級者を除いて三角筋以外の筋肉を稼働している可能性が極めて高いです。特に多いのが僧帽筋であり、「サイドレイズを実施しているのに僧帽筋が筋肉痛になる」と感じる方はかなり多いと思われます。
僧帽筋に刺激を与えないためにもサイドレイズでは高重量を扱わないようにしましょう(むしろ、軽すぎるくらいの重量でゆっくり丁寧に実施するほうが効率的です)。
サイドレイズで重量を扱うようになってくると、どうしても握力が先に限界が来てしまうため、それを避けるために「ダンベルの握りを浅くする」「リストストラップやパワーグリップ」を使うという方法が取られることが多いです。
しかし、実際にやってみるとわかりますが、サイドレイズで握りを浅くすると三角筋中部にかかる負荷が低減してしまいます。そのため、サイドレイズを実施する際には、しっかりとダンベルを握ることを意識するようにしましょう。
むしろ、サイドレイズで握力が先に限界を迎えてしまう場合には、自身の筋肉量に対してダンベルの重量が重すぎる可能性が高いため、ダンベルの重量も見直すようにしましょう。
教科書的なサイドレイズは、基本的には上体を固定し、その上体でダンベルを横方向に上げ下げするエクササイズを行います。実際には、上体は自然な範囲の中で動かすのが現実的です。
しかし、上体を動かしすぎるとその勢いを使ってダンベルを上げてしまう(=チーティング)ため、注意が必要です。筋トレ上級者ならば、チーティングを使っても三角筋に刺激を与えることができますが、それ以外の方が実施しても前述した通り、僧帽筋に刺激が入るだけで終わってしまいます。
そのため、身体の煽る角度は比較的、制限するようにしましょう。身体を煽りすぎている場合には、扱っているダンベルの重量が重すぎる可能性が高いため、ダンベルの重量も見直すようにしましょう。
教科書的なサイドレイズでは、ダンベルを上げる際の手首の動きが重要です。サイドレイズでは、ダンベルを上げる際に、小指の方から上げるようにすることで、ダンベルの負荷が三角筋中部によりダイレクトに入るようになります。
しかし、これは初心者にはあまり向かないため、その場合には手のひらを下にした状態でサイドレイズを実施するようにしましょう。また、重量が上がってくると、小指を上げるようにすることはかなり難しくなってくるため、このテクニックはダンベルの重量が比較的軽い場合でのみ適用するようにしましょう。
多くの人のサイドレイズが間違っている最大の原因は肘にあります。間違ったサイドレイズでは、肘が下がり、前腕が上がることで万歳するような形でサイドレイズを実施します(ただし、意図的にこのように実施することで三角筋中部に負荷を与える方法もあります)。
このように実施すると、肘を支点にしてダンベルの上げ下げを行ってしまっているため、三角筋中部に刺激が入りません。そのため、万歳しないために、基本的には三角筋中部から動かすのではなく、肘から先に動かすことを意識しながら実施しましょう。
サイドレイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、三角筋中部の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での三角筋中部の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
サイドレイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
サイドレイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、サイドレイズでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
フロントレイズは、サイドレイズでは鍛えることが難しい三角筋前部を鍛えることが期待できるためです。
フロントレイズは、三角筋後部を鍛えるために特化したエクササイズです。サイドレイズと比較した場合、エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する場合には、サイドレイズを先に実施し、その後にフロントレイズを実施することで、三角筋をバランス良く鍛えることが期待できます。
初心者は、フロントレイズを12〜15回を3セット実施します。
フロントレイズは、三角筋前部を伸展させて鍛えるエクササイズであることから、あまり重量を扱っていなくでも三角筋前部を怪我をする恐れがあります。そのため、基本的には、エクササイズ前にしっかりと肩回しなどを行うなどのストレッチを行なってから12〜15回を3セットを実施するようにしましょう。
高重量を扱いすぎない。
ダンベルを下ろしすぎない/上げすぎない。
上半身を煽らない。
肘を伸ばさない。
手首を掌屈。
ダンベルショルダープレスは、サイドレイズでは鍛えることが難しい三角筋前部を鍛えることが期待できるためです。
ダンベルショルダープレスは、三角筋前部を鍛えるためのエクササイズです。サイドレイズと比較した場合、エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する場合には、ダンベルショルダープレスを先に実施し、その後にサイドレイズを実施することで、三角筋をバランス良く鍛えることが期待できます。
ダンベルショルダープレスは、12〜15回を3セット実施します。
ダンベルショルダープレスは、扱う重量にもよりますが、基本的にはエクササイズ強度は通常のエクササイズに分類できます。このため、標準的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回3セットを目標に実施しましょう。
ダンベルの角度(軌跡)は床に対して垂直。
肩甲骨を寄せない。
肘を伸ばしきらない。
重量設定を重すぎないようにする。
背筋を曲げない。
ダンベルリアレイズは、サイドレイズでは鍛えることが難しい三角筋後部を鍛えることが期待できるためです。
ダンベルリアレイズは、三角筋後部を鍛えることに特化したエクササイズです。サイドレイズと比較した場合、エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する場合には、どちらを先に実施しても問題なく、一緒に実施することで三角筋をバランス良く鍛えることが期待できます。
ダンベルリアレイズは、12〜15回を3セット実施します。
ダンベルリアレイズは、いくつかやり方がありますが、基本的には可動域をしっかりと設定して丁寧に実施することが要求されるエクササイズです。12〜15回を3セット丁寧に実施するようにしましょう。
ボトムポジションでしっかりと三角筋後部が床と平行になるようにし、しっかりと伸展させる。
トップポジションで一瞬静止するとより負荷が高まる。
高重量で実施すると腰を痛め易いので注意が必要。
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