大円筋は、脇の下にある筋肉であり、鍛えることで逆三角形がはっきりするようになります。今回は、大円筋を鍛えるコツ、及びその方法についてご紹介します。
大円筋は、肩甲骨の下側から上腕筋に走る筋肉であり、肩関節の内旋(腕を内側にひねる)、伸展(肘を前から引く)、内転(肘を上から引く)の役割があります。「大」円筋があるということは、「小」円筋もあるということで、どちらもほぼ同じ場所に存在し、小円筋は肩関節を外旋(腕を外側にひねる)に作用します。
大円筋は、そこまで大きい筋肉ではありませんが、鍛えることで後ろから見ると凹凸感がはっきりするように、正面から見ると逆三角形がはっきりするようになります。また、重い重量でも肘をしっかりと引くことができるようになり、特に広背筋を鍛えるエクササイズの効率を改善することを期待できます。
大円筋は、そのほとんどの部分を広背筋に覆われた様な状態です。そのため、大円筋を鍛えるエクササイズでは広背筋に刺激が、広背筋を鍛えるエクササイズでは大円筋に刺激が自然と入ります。両者を区別して刺激することは難しく、大円筋を鍛える際は、基本的には広背筋も鍛えているという意識を持つようにしましょう。
一般的に、背中は「厚い」ことと、「広い」ことを兼ね備えていると男性ならば非常にたくましく見えます。
大円筋を鍛えることで脇の下の筋肉が発達し、逆三角形がよりはっきりするようになります。さらに、大円筋による凹凸感が出てくると、「個性」が出てきます。これらは、ボディメイキングの競技を行っている人にとって重要な視点です。
大円筋は、「背中の広さ」と「凹凸感」に対して役割がある筋肉であり、服を着たときのシルエットの改善に大きく関係します。大円筋を鍛えることで、服をよりぴったしと着こなせるようになるため、服を着たときの見栄えを改善したい方はぜひとも鍛えたい部位です。ただし、大円筋を鍛えすぎると、脇下の肥大の問題で着ることができるものが少なくなるため、注意が必要です。
大円筋は肘を上から下に引く動作、肘を正面から後ろに引く動作に関わっています。この動作は、背中を鍛えるエクササイズには共通している動作であるため、大円筋を鍛えることでこれらの動作をより効率的に実施することが可能となります。
背中のエクササイズは、背中に直接負荷をかけて実施できるものが少なく、バーベル、ダンベル、マシンのアタッチメントを引く動作によって背中を鍛えるものがほとんどです。このため、この「引く動作」を強くするということが、背中を発達させる上で非常に重要なテクニックです。
背中の筋肉の場合、筋繊維がいろいろな方向に広がっていることから、様々な方向から引く力を改善する必要があります。中でも、前方および上方から引く力を改善可能な大円筋を鍛えることは、背中のエクササイズのレベルを引き上げるために重要です。
背中を鍛えるためのエクササイズで、バーベル、ダンベル、マシンの何れかを使いますが、必ず、「重量物を持つ」という動作が発生します。重量物を持つ際には、握力を使った方がより高重量を扱うことができるため、バーベル、ダンベル、マシンの持ち手に対して指で完全に包み込むようにして握ることが多いです (サムアラウンドグリップと言います)。しかし、このようにすると、握力を使って重量物を動かすため、対象となる筋肉に刺激が入り難くなり、意識もしにくくなります。これは、特に、背中の中でも大円筋や広背筋などの「広さ」を司る部位で顕著であると言えます。このため、後述する大円筋のマインドマッスルコネクションを意識するために、基本的には小指と薬指を意識して握るようにしましょう。
トレーニングをする際の手首の状態は、基本的には「掌屈」もしくは「背屈」に分類することができます。
「掌屈」とは、手首が内側に曲がった状態を指します。
「背屈」とは、手首が外側に曲がった状態を指します。
基本的に、背中のトレーニングでは、掌屈を意識して実施します。これは、前述したように、背中のトレーニングで特に握力を使って実施してしまうことを避けるためであり、手首を掌屈することで腕の末端部ではなく、背中を使ってトレーニングを実施しやすくなることが期待できます。ただ、これは、高重量を扱うと中々難しくなってくるテクニックであるため、このためにも、手首が掌屈できる重量で実施することが重要です。
背中のトレーニングでは、基本的には肩甲骨の動きを意識することが推奨されます。一方で、肩甲骨周りの動きというのは、そもそも目視することができないため、後述するマインドマッスルコネクションの技術がかなり発達しているトレーニーではないと難しいという問題点があります。これを補うためのテクニックとして、「肘をしっかり引く」というテクニックがあります。肘を引くと、人間の骨格上、肩甲骨が自然と寄った状態を実現することが期待できるため、これにより、大円筋をより効果的に鍛えることが期待できます。肘を引く動作は、肩甲骨の動作とは異なり、目視で確認することができるため、より簡単に意識できるテクニックです。これは、大円筋に関わらず、ほぼすべての背中のトレーニングに共通するテクニックであるため、他のエクササイズでも応用できるようにしましょう。
大円筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大円筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大円筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
大円筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
大円筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、大円筋が伸展するときに息を吸い、収縮するときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
身体を下げるときはゆっくりにする。
上半身から下半身は常に一直線で実施する
身体は海老反り。
手首は掌屈。
肩甲骨の動きを意識。
下げすぎない(=肘の角度が真っ直ぐになる部分まで戻さない)。
実施する際には床にマットを敷く。
背中を使って上体を上げることを意識する。
身体を下げるときはゆっくりにする。
ワンハンドロウイングは様々なやり方がありますが、最も一般的なやり方は動画のように台の上に膝をのせて実施するというものです(動画の中では、アジャスタブルベンチ台を使ってやや傾斜をつけて実施していますが、通常の平行な台の上で実施しても問題ありません)。片足を台にのせた状態で、ダンベルを片腕に持ち、このダンベルを横腹に引きつけます。
難易度が比較的高く、この理由としては、肩甲骨の動きを意識してダンベルを引く必要があるからです。この肩甲骨の動きを意識するというのは非常に難しいですから、まずは、肘をしっかり引くということをイメージして実施するのがオススメです。
肘を引き切る。
肩甲骨の動きを意識する。
動作中、腰は常に張った状態にする。
ダンベルベントオーバーロウイングは、胸を張った状態で上半身が床と平行よりもやや角度がついた状態に設定し、両手に持ったダンベルを腕を伸ばした状態から横腹まで引き寄せるエクサイズになります。ダンベルを動かす際に、ダンベルの動きをコントロールすること、また、しっかりと肘を引くことを意識するとより効果の高いエクササイズになります。
腰を曲げないように注意。
肘を引き切る。
ボトムポジションで広背筋のストレッチを意識する。
ダンベルプルオーバーの難易度は非常に高いです。そもそも、ダンベルプルオーバーは大胸筋を刺激するエクササイズでもあり、かなり熟練していないと両者をターゲット別に行うのは非常に困難です。
動画の中でも解説がありますが、背中に効かせたい場合には脇をやや開けた状態で、肘をできるだけ真っ直ぐにして実施します。この他に、ダンベルの持ち方を両手で持ち手をしっかり握るようにすると背中に刺激が入ると述べる人もあり、自分にあったやり方を見つけるのが重要です。
難易度はかなり高い。
ボトムポジションで広背筋のストレッチを意識する。
ダンベルを戻しすぎない。
肘を真っ直ぐにしない。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
ダンベルの種類としては固定式です。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
背中が常に張った状態を作る。
重量設定を重すぎないようにする。
目線は正面。
肘を引き切る。
ボトムポジションで僧帽筋の収縮感を意識できるとなお良い。
ブリッジの姿勢を作る。
重量設定を重すぎないようにする。
ボトムポジションでストレッチを意識する。
手首を掌屈させる。
小指と薬指で引くように意識する。
胸を張る。
できるだけ、上半身を煽らない。
アタッチメントをパラレルグリップのものにしても良い。
しっかりと肘を引く。
脚の設定する部分はやや下目にすることで下腹部に引きつけやすくなる。
ボトムポジションで僧帽筋を伸展させることを意識する。
長座体前屈のように実施して、完全伸展させる方法もあるが、腰を痛めやすい。
持つ部分を完全に握ることに拘泥しない(指が触れれば十分)。
肘を引き切る。
重量設定を重すぎないようにする。
手首を掌屈させる。
小指と薬指で引くように意識する。
胸を張る。
できるだけ、上半身を煽らない。
ハンマーストレングス社製のマシンの場合、片手ずつでトレーニングが可能。
背中が常に張った状態を作る。
目線は正面。
肘を引き切る。
ボトムポジションで僧帽筋の収縮感を意識できるとなお良い。
スミスマシンのストッパーに当たる場合には、台を用意して、その上で実施すると完全伸展をすることが可能。
掌が上を向くようにして、片手を床に垂直になるように上げて、このとき、もう片方の手で上げている方の腕の肘を押すことで大円筋の伸展をより促すことが可能です。左右で10〜20秒間3セット実施しましょう。
両手をクロスするようにして掌同士を握り、その状態で真っ直ぐ上部に伸ばし、体側を伸ばすストレッチのようにして身体を横に倒すことで、大円筋の伸展を促します。左右で10〜20秒間3セット実施しましょう。
片手を高さのある台の上に、手のひらが上になるようにのせて、この状態でもう片方の手を掌を上に向けている腕の肘の部分にのせ、上腕を支点にするようにして体重をかけることで大円筋のストレッチを促します。左右で10-20秒間3セット実施しましょう。
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