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ダンベルフライのやり方と効果|重量と回数の設定方法を解説 

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ダンベルフライのやり方と効果|重量と回数の設定方法を解説 

ダンベルフライは、ダンベルを使って大胸筋を鍛える非常にオーソドックスなエクササイズの一つです。今回は、ダンベルフライのコツ及びやり方をご紹介します。

ダンベルフライとは

ダンベルフライとは、「dumbbell fly」、つまり、「ダンベルを用いて飛ぶ」ことを意味します。一見すると意味不明ですが、ダンベルフライの動作が、腕を蝶や羽虫の羽根のようにして動かすことから、この名前がついたと考えられます(一説には、ダンベルフライのフライは、「butterfly」を意味しているという説もあるようですが、真偽の程は不明です)。

ダンベルフライは、胸を鍛えるためのエクササイズで、筋肉の伸展に特化したエクササイズです。このため、それほどの重量を扱わなくても筋肉に対して十分な刺激を与えることが期待できます。その一方で、ダンベルのような重量物を持ってフライ運動(弧を描く運動)を実施することは意外と難しく、エクササイズ難易度は比較的高いです。また、筋肉の伸展に特化した種目であることから、比較的怪我をしやすい種目でもあります。このことから、ダンベルフライを行う際には、低重量でしっかりとフォームを固めてから行うことが強く推奨されます。

ダンベルフライは、大胸筋を鍛えることができるエクササイズですが、大胸筋はより詳細に分割すると大胸筋上部、中部、下部に分類することができます。何れの部位も広義の意味でのダンベルフライで鍛えることができ、大胸筋上部はインクラインダンベルフライ(上半身が下半身よりも上になった状態でのダンベルフライ)、大胸筋中部はダンベルフライ(上半身と下半身がフラットな状態でのダンベルフライ)、大胸筋下部はディクラインダンベルフライ(上半身が下半身よりも下になった状態でのダンベルフライ)で鍛えることが期待できます。

同じく大胸筋を鍛えることができるエクササイズとしてダンベルチェストプレスがありますが、ダンベルフライではより大胸筋にターゲットを絞って鍛えることが可能です。具体的には、ダンベルチェストプレスは、プレス種目であることから上腕三頭筋、三角筋に刺激が入り易いのに対して、ダンベルフライはきちんとしたフォームで実施するとほぼ大胸筋にしか刺激が入りません。このため、胸だけを鍛えたいという方にはダンベルチェストプレスよりもダンベルフライの方がオススメです。

ダンベルフライで鍛えられる筋肉の部位

ダンベルフライで鍛えられる部位

大胸筋中部

大胸筋は、前述した通り、大胸筋上部、中部、下部からなります。

大胸筋上部は、腕を肩よりも上に上げる動作、すなわち、屈曲動作を行う際に稼働される部位です。このため、腕を肩よりも上に上げる動作であるインクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます (これは、言い換えれば、三角筋の前部を鍛えるためのプレス系の種目でも大胸筋上部に刺激が入ってしまい、その逆に、前述した種目により大胸筋上部を鍛える際には三角筋前部にも刺激が入ってしまうことを意味します)。

大胸筋中部は、腕を90度まで上げて胸の前で閉じるような動作、すなわち、水平内転動作を行う際に稼働される部位です。このため、この動作を素直に行うダンベルフライは、大胸筋中部を鍛えるために有効な種目であると言えます (この「胸の前で閉じる」という動作が有効であることから多くの人は、チェストプレスのトップポジションにおいてダンベルを寄せるような動作を行いますが、玄人でないと負荷が抜けやすいためオススメできません)。

大胸筋下部は、90度に上げた腕の上腕部を身体に近づける動き、すなわち、内転動作を行う際に稼働される部位です。このため、身体を下側に配置して腕が下半身方向に動き易くなるディクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます。

以上の中でも、ダンベルフライで鍛えることができる部位は、大胸筋中部であり、大胸筋を鍛える上では最も基本となる部位であると言えます。

大胸筋中部を鍛えることで、男性ならば厚い胸板、女性ならばバストアップ、姿勢改善、代謝の改善効果を期待できます。

男性ならば厚い胸板

男性としての逞しさを測る上で、胸板の厚さは非常に重要です。胸板が厚いことで、上半身の印象は非常に大きく変わります。胸板の厚さは、服を脱いだときの印象はもちろんですが、服を着ているときの印象にも大きく関係します。胸板が厚いと服を着たときに胸周りがぴしっとすることで、見栄えが大きく改善します。このため、特に男性の場合には、服を着たときのシルエットも良くなり、スタイルが改善することが期待できます。

ただし、大胸筋を鍛えて胸板を厚くする場合、ある一定まで見栄えを改善する効果がありますが、鍛えすぎると胸板が原因で服が入らなくなる可能性があります。このため、あくまでも、服を着た時の見栄えを改善する目的で大胸筋を鍛える方は、鍛えすぎないように注意する必要があります。

女性ならばバストアップ効果

大胸筋とバストの関係について、大胸筋は筋肉であるのに対して、バストを構成する胸は基本的には脂肪であることから、大胸筋を鍛えると胸が小さくなると考える人が多いですが、必ずしもそうではありません(ボディビルダーや運動を生業としている方の場合がこの例外に当てはまり、以上のような職業柄で高頻度かつ高強度のトレーニングを行うとバストが減少する可能性があります)。これは、大胸筋のつき方及び役割からそのように言えます。大胸筋は、バストの下に存在しバストの土台となります。これにより、大胸筋を鍛えると、よりしっかりとしたバストの土台を作ることを期待でき、これにより、バストアップを期待することができます。また、大胸筋を刺激することでバストの形を整えることも期待できます。

猫背などの姿勢改善

姿勢が悪くなっている状態は、猫背もしくは反り腰になっている状態であると考えられます。

猫背は、前屈みの姿勢を長時間取ることで骨盤が後傾することで発生します。特に、現代人は、長時間デスクワークをすることが多いことから、長時間前屈みの姿勢をとることで猫背になってしまっている可能性が挙げられます。

反り腰は、腹筋及び背筋のバランスが崩れ、前側にかかった重みを背中が側で支えるようにすることで骨盤が前傾することで発生します。特に、筋肉量が少ない女性に発生しやすいと言われています。

ここで、特に、猫背になっている状態は、大胸筋が凝り固まっている状態であり、これにより、胸を張る動作が実施困難になっている状態です。このため、大胸筋を鍛えることで、大胸筋周りの血流を改善することにより、胸を張りやすい状態を作り、これにより猫背の改善効果を期待できます。

代謝の改善

代謝の改善をする働きがある筋肉というと、大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉の印象がありますが、実は大胸筋を鍛えても代謝の改善を期待できます。大胸筋は、そこまで印象がないかもしれませんが、実は身体の中の筋肉の大きさを比較した時、比較的、大きい筋肉に分類されます。このため、大胸筋を鍛えることで代謝の改善効果を期待できます。ただし、やはり、前述したような大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉と比較すると、筋肉の大きさは劣るため、大胸筋を鍛える際には代謝の改善というよりは「大胸筋の形を作る」ということを主目的にしてトレーニングを行った方がよいかもしれません。

三角筋前部(副次的)

三角筋は、三角筋前部、三角筋中部、三角筋後部からなります。

三角筋前部とは、肩の前部についている筋肉、つまり、大胸筋上部の上側に位置する筋肉です。三角筋前部が発達していると、大胸筋との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えることに繋がります。

三角筋中部とは、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩の張り出し感に繋がります。

三角筋後部とは、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になります。

大胸筋を鍛える種目の場合、大胸筋上部と接続している三角筋の前部にも自然と刺激が入ることが多いです。ダンベルフライは、三角筋中部の種目ですが、ボトムポジションでは大胸筋全体が伸展するような動作になるため、これに伴って三角筋前部にも刺激が入ります。

一方で、ダンベルフライは、三角筋を鍛えるエクササイズではありません。大胸筋に刺激を与えるエクササイズであるという点から、三角筋の前部にも刺激が入る可能性もあります。ダンベルフライを実施したばかりで、三角筋前部が十分に発達していない場合には三角筋前部に刺激が入る感覚があっても問題ありません。一方で、ダンベルフライを実施してかなり日が経っているのにも関わらず、三角筋前部に大きな刺激が入る感覚がある場合にはフォームが間違っている可能性が高いです。具体的には、後述するように肩甲骨がしっかりと寄っていない可能性、ダンベルを下ろす場所が悪い可能性が高いです。このため、ダンベルフライをしていて肩に刺激が入るような感覚がある場合には、一旦、重量を減らして軽い重量できちんとフォームを確認することが重要です。

基本的なダンベルフライのやり方

フォーム

  1. 肩甲骨を寄せた状態で、仰向けになった状態でダンベルを平行(=持ち手が平行)となるように把持する。このとき、ボトムポジションで脇の角度が90度となるようにする。
  2. 大胸筋を使うことで、大胸筋が十分にストレッチする部分まで、大胸筋が開くようにダンベルを平行に動かす。
  3. ダンベルが三角筋前部の上にくる部分まで戻す。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

初心者

筋トレ初心者の場合、ダンベルフライは12〜15回を3セット実施しましょう。

ダンベルフライは、基本的には大胸筋のみを狙う比較的負荷の高いエクササイズです。初心者の場合には、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。

少し慣れたら

ダンベルフライに少し慣れた方の場合、ダンベルフライは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施するようにしましょう。

ダンベルフライに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。

上級者

筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにしましょう。

アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、オススメの方法です。

スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルフライと一緒に実施するならばダンベルチェストプレスやベンチプレス、プッシュアップなどを実施するのがオススメです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。

毎日やってよい?

ダンベルフライは毎日実施することはオススメできません。

ダンベルフライは、正しく実施すると大胸筋に対して強烈な伸展の刺激を与えます。これにより、強烈な筋肉痛が発生することが多く、大胸筋はかなり疲弊した状態になります(たとえ、筋肉痛が発生していなくても大胸筋はかなり疲弊した状態であることが多いです)。この状態で続けてダンベルフライを実施するのは効率的ではなく、それを実施する余裕があるならば他のエクササイズを実施した方が良いです。このため、ダンベルフライを実施する頻度は、週に1〜2回程度で十分であり、2回実施する場合には隔日を大きくして設けるようにしましょう。

重さ

初心者

筋トレ初心者のダンベルフライの目安の重量は3〜5kg程度です(自身の体重にもよります)。

ダンベルフライは、大胸筋の伸展種目であるため、3〜5kgで実施しても比較的大きな負荷を大胸筋に与えることが期待できます。ただし、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルフライを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。

少し慣れたら

ダンベルフライに少し慣れた方のダンベルフライの目安の重量は5〜10kg程度です(自身の体重にもよります)。

ダンベルフライも、他のエクササイズと同様に慣れてくると少しずつですが、重量を扱えるようになります (ただし、ダンベルフライは大胸筋のみを稼働させる筋トレであるため、その重量の伸びは比較的ゆるやかです)。ただし、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルフライを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。

筋トレ上級者

筋トレ上級者のダンベルフライの目安の重量は30 kg以上です(自身の体重にもよります)。

筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ダンベルフライで30 kg以上を扱うことができれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、ダンベルフライはそこまで重量にこだわる種目ではないため、上級者になり高重量を扱うようになったら、むしろ自身の現在のフォームを見直すことが重要です。

ダンベルの種類

重量固定式

重量固定式とは、ダンベルに予めいくらかの重量が設定されているものです。重量固定式のダンベルのメリットとして、複数種類の重量を用意することでダンベルの重量変更をしやすいということが挙げられます。一方で、重量固定式のダンベルのデメリットとして、基本的に価格は高く、かつ、複数種類の重量を揃える必要があるため、金銭的なコストが高くなります。

金属タイプ

金属タイプとは、ダンベルの重り部分が金属が剥き出しになっているものです。ジムによく置いてあるのがこのタイプであり、重量が正確であるというメリットがあります。一方で、金銭的なコストが高く、これにより、複数の重量を揃えようとすると金額が膨大になります。後述するラバータイプは使い込んでいると握っている所から劣化していき、金属部が剥き出しになってくるため、それが憚られるという方は最初から金属が剥き出しになっているものを購入するのが無難です。

ラバータイプ

ラバータイプとは、ダンベルの重り部分がラバーで覆われたタイプです。比較的お手頃な値段で購入できるというメリットがあります。一方で、使い込んでるとラバー部分が腐食し、金属部が剥き出しになる恐れがあります(金属タイプとは異なりラバーで被覆されることが前提で作ってあるため表面処理がされておらず、金属部は汚いことが多いです)。自宅でトレーニングをする限りでは、ラバーで覆われたものを購入する方がオススメです。この理由としては、価格が安いことはもちろんですが、ラバーが付いているためダンベルがフローリングでも転がり難く、フローリングを傷つけにくいためです。

重量可変式

重量可変式は、ダンベルの重量を変更できるものです。重量可変式ダンベルのメリットとして、ダンベル1つで複数種類の重量を設定できるため、ダンベルを複数種類購入する必要がないことが挙げられます。一方で、重量可変式のダンベルのデメリットとして、製造元を吟味しないと安全性に問題があることがあり、それに伴って、きちんとしたものを購入する必要があり、そういった場合には初期投資にかかる価格金銭的コストはこちらも大きくなります。

おすすめのダンベル3選

クロームダンベル(IVANKO)

IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。

ダンベルの種類としては固定式です。

イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。

また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。

アジャスタダンベル(FLEXBELL)

FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。

ダンベルの種類は可変式です。

本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。

1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。

ダンベル 2個セット(PROIRON)

PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。

ダンベルの種類は固定式です。

本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。

ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。

ダンベルフライの効果を高める方法

高重量を扱いすぎない

そもそも、ダンベルフライは基本的には高重量を扱う種目ではありません。ダンベルフライは、基本的には大胸筋のみを狙う単関節種目です。

単関節種目は、アイソレーション種目と呼ばれており、その名の如く、1つの関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、重量が扱い辛いということがデメリットとして挙げられますが、ターゲットとなる部位にのみ刺激が入るということがメリットとして挙げられます。

一方で、多関節種目は、複合関節種目、または、コンパウンド種目と呼ばれており、その名の如く、多数の関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、ターゲットとなる部位以外にも刺激が入ってしまうことがデメリットとして挙げられますが、高重量を扱い易いということがメリットとして挙げられます。

ダンベルフライとよく似たダンベルチェストプレスは多関節種目に分類され、これにより、基本的には高重量を扱う種目です。その一方で、ダンベルフライは単関節種目に分類され、これにより、基本的には重量を扱いません。ダンベルフライで重量を扱う方法もありますが、これはかなり上級者向けのやり方であり、あまり慣れていない状態で高重量を扱うと高確率で怪我をします。このため、ダンベルフライは低重量でしっかりとフォームを意識しながら実施するようにしましょう。

肩甲骨を寄せる

大胸筋を鍛えるエクササイズでは、副次的に、三角筋に刺激が入ることが多く、これが怪我の原因となります。大胸筋を鍛えるエクササイズで三角筋に刺激が入る原因は、肩甲骨が寄っていないことにあります。肩甲骨が寄っていないことで、ダンベルがボトムポジションにきたときに大胸筋が伸展するのではなく、三角筋の前部が伸展する状態になります。これにより、三角筋前部に無理な負荷がかかり、これが怪我の原因となります。言い換えれば、大胸筋を鍛えるエクササイズではできるだけ三角筋前部へ刺激が入らないように肩甲骨を寄せることが重要です。このテクニックは、一般的にベンチプレスで重要とされているものですが、大胸筋を鍛えるダンベル、バーベル、マシントレーニングにも応用可能であるため、しっかりと意識して実践できるようになりましょう。

ダンベルを下げすぎない

ダンベルフライは、そもそもの負荷が非常に高いエクササイズです。大胸筋の伸展を狙った種目であるという観点から考えると、ボトムポジションを深く設定すればするほど負荷が高くなるのは必然的ですが、そこまで深く設定しなくても十分に負荷を与えることが期待できます。むしろ、深く下げすぎると重量を扱い辛くなるという問題や、怪我を誘発しやすくなるという問題があるため、基本的にはダンベルフライではダンベルを下げすぎないことを意識するようにしましょう(初心者レベルを脱したらこの限りではありません。あえてボトムポジションを深く設定して過伸展を狙って鍛えるというやり方もありますが、重量設定が難しいです)。

ダンベルを上げすぎない

ダンベルフライは、ダンベルが円弧を描くような軌道を描きます。マシンで例えるとペックフライの軌道とよく似ており、これにより、大胸筋の内側に刺激を入れるため身体の正中線上までダンベルを上げ切る人もいますがこれは間違いです。ダンベルフライの有効可動域は非常に狭く、基本的にはダンベルが肩のラインよりも内側に入ると刺激が抜けます。そもそも、大胸筋の内側を鍛えるという目的に対して、ダンベルフライはトップポジションでの負荷が抜けやすい種目であることから、目的とトレーニングの特徴が合致していません。このため、大胸筋の内側を鍛えたいならば前述したペックフライなどのマシンを扱い、ダンベルフライのようなフリーウェイトのトレーニングではより大胸筋全体を鍛えることを意識するようにしましょう。

肘の角度を常に固定(肘を伸ばし切らない)

力学的に考えると、ダンベルフライは大胸筋を支点にしてダンベルを動かすことで大胸筋に負荷を与えるエクササイズです。このため、支点からの距離、すなわち腕をまっすぐにするほど負荷が高まるように思えますが、怪我の原因となるため腕をまっすぐにすることは避けるべきです。腕を構成する上腕と前腕は肘関節で接続しているため、腕をまっすぐにするほど肘関節に対する負荷が増大します。これにより、肘を怪我する原因となる可能性が高いです。ダンベルフライでは、肘をまっすぐにせずに前腕と上腕が150度位になるようにやや肘を曲げた状態を作るようにしましょう。

大胸筋の動きを意識

ダンベルフライに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大胸筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大胸筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

特にダンベルフライの場合には、ダンベルを把持した状態で腕以下が弧を描くような軌道を描くことで、大胸筋が伸展、収縮することを意識するとより効果的です(この「弧を描く」というのが非常に重要で、これを意識しないとパラレルグリップダンベルチェストプレスのような動きになり、ダンベルフライではなくなるため注意しましょう)。

動作のスピード

ダンベルフライに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

ダンベルフライに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルフライでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

ダンベルフライと一緒にやるべき筋トレ

パームプレス

なぜ一緒にやるのがおすすめか

パームプレスは、ダンベルフライと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。

パームプレスは、大胸筋を鍛えることができる静的なエクササイズです。ダンベルフライと比較すると、ダンベルフライの方が負荷が高くなります。実際に実施する場合には、ダンベルフライを実施した後にパームプレスを実施することで効率的に大胸筋を鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 腕を上半身の前に出し、両手同士で手のひらを押す(この状態で10〜15秒キープしても良い)。
  2. 1の状態を保ったまま、左右いずれかに腕を動かした状態で10〜15秒キープする。
  3. 2とは逆の方向に動かし、10〜15秒キープする。

回数

パームプレスは、各ポジションで10〜15秒キープした状態を3〜5セット実施します。

パームプレスは、自身の手のひらをできるだけ力を入れてお互いに押すことで負荷を入れるエクササイズであり、自身の力のかけ方によりますが、だいたい10〜15秒程度を目安に3セット実施するのがオススメです。

効果を高めるポイント

  • とにかく力を入れて手を押す。

  • 左右にツイストさせる。

  • プレートを正面に持って実施する。

  • バーベル、ダンベルトレーニングの後に実施する。

ワイドプッシュアップ

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ワイドプッシュアップは、ダンベルフライと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。

ワイドプッシュアップは、大胸筋を鍛えることができるエクササイズです。ダンベルフライと比較すると、ダンベルフライの方がエクササイズ強度は高いです。実際に実施する場合には、ダンベルフライを実施した後にワイドプッシュアップを実施することで効率的に大胸筋を鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 手幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

ワイドプッシュアップは、12〜15回を3セット実施します。

ワイドプッシュアップは、比較的負荷の高いエクササイズです。このため、理想的には、つま先立ちで実施することが望ましいですが、負荷が高すぎる場合には膝付きで実施しても問題ありません。少しずつ負荷を増やしながら、最終的に12〜15回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。

効果を高めるポイント

  • 実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。

  • トップポジションで肘を伸ばし切らない。

  • 身体を下げるときはゆっくりにする。

  • 上半身から下半身は常に一直線で実施する。

ダンベルチェストプレス

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ダンベルチェストプレスは、ダンベルフライと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。

ダンベルチェストプレスは、大胸筋を鍛えることができるエクササイズです。ダンベルフライと比較すると、基本的にはエクササイズ強度はほぼ同じくらいです。実際に実施する場合には、どちらを先に実施しても問題なく、両方を合わせて実施することで効率的に大胸筋を刺激することを期待できます。

やり方

  1. 肩甲骨を寄せた状態で、ダンベルを持って仰向けになる。
  2. 脇の角度を90度にしてゆっくりダンベルを下げ、大胸筋が十分にストレッチする部分(ダンベルと大胸筋が付くか付かないか)までダンベルを下げる。
  3. 肘の角度が100度になるくらいまでダンベルを戻す。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ダンベルチェストプレスは、12〜15回を3セット実施します。

ダンベルチェストプレスは、高重量を比較的扱い種目ですが、怪我をしやすい(特に肘、肩を痛め易い)種目です。このため、ダンベルの重量設定に注意しながら12〜15回を3セット実施できるようにしましょう。あくまでも、「ぎりぎり12〜15回を実施できる重量」を選択することが重要であり、楽に12〜15回を実施できる重量を選択しないようにしましょう。

効果を高めるポイント

  • 肘を伸ばし切らない。

  • ダンベルを下げすぎない。

  • ダンベルの軌道は弧を描くのではなく、直線。

  • 床に対して肘は常に垂直。