ステップアップは、台もしくは椅子を利用して実施するトレーニングで、下半身を手軽に強化することができる種目です。今回は、ステップアップのやり方及びコツをご紹介します。
ステップアップとは、「step up」、つまり、「上方向に歩く」ことを意味します。何もない状態で上方向に歩くことは不可能ですが、台や椅子を使うことで上方向に歩くことができるようになるため、ステップアップでは必然的に台や椅子が必要です(階段でも実施することができます)。
以上より、ステップアップは、実施するのに基本的には自宅にあるもので実施することができます。このため、自宅で手軽に下半身を鍛えることができるエクササイズです。しかも、後述するように、ステップアップで鍛えることができる部位は下半身の中でも多岐に渡るため、一見単純そうに見えますが非常に効率の良いエクササイズです。また、台の高さを変えたり、手に重りを持つことで簡単に負荷を調整できるため、特に自宅でトレーニングしている方にはぜひ取り入れて頂きたい種目です。
ステップアップでは、大臀筋を鍛えることが期待できます。
ステップアップは、高さのあるものに対して片脚を乗せて、それを支点にして身体を持ち上げます。このため、一時的にではありますが、支点となる大臀筋に刺激が入ります。大臀筋は、単一の筋肉では身体の中で最も大きい筋肉であり、これに伴って、お尻の中で最も大きい筋肉であると言えます。つまり、お尻の大部分は大臀筋が占めていることから、大臀筋を鍛えることでお尻周りの脂肪の燃焼が促され、これにより、お尻の引き締め効果を期待できます。
また、大臀筋が弱いと、お尻を支える力が弱まり、これによりお尻の筋肉がお尻全体の重さを支えきれなくなり、お尻が垂れ下がります。お尻が垂れ下がると、まずはお尻の下部から垂れ下がり始め、徐々にお尻の上部も垂れ下がることで、最終的にはお尻全体が垂れ下がります。ステップアップにより、大臀筋を鍛えることでお尻全体が自重で下に垂れ下がることを防ぎ、これにより、ヒップアップ効果も期待できます。
ステップアップでは、大腿四頭筋及びハムストリングスを鍛えることが期待できます。
脚の筋肉の大部分を占める大腿部は、表側が大腿四頭筋、裏側がハムストリングスからなります。一般的なトレーニングの場合、どちらか一方を鍛えることができる種目が多い中で、ステップアップではこれら2つの筋肉を同時に鍛えることが期待できます。このことから、大腿の表側も裏側もバランス良く刺激することができ、これにより脚の引き締め効果を期待できます。
一方で、ステップアップで負荷を高める際に、ダンベルやバーベルを持って実施する際には注意が必要です。ダンベルやバーベルを使用して、負荷をどんどん高めていくと、それに伴って大腿四頭筋及びハムストリングスが筋肥大する可能性が高くなります。こうなった場合、筋肉で脚が太くなる可能性が高くなるため、しなやかな脚を目指す場合にはあくまでも自重で回数やテンポを工夫しながら負荷を調整することが重要です。
ステップアップは、連続的に行うと有酸素運動のように息を上げるエクササイズとして実施することも可能です。
階段を登る動作を考えると非常に分かりやすいですが、何段も何段も階段を登っていると自然と息が上がっていきます。これは、ステップアップでも同様であり、ステップアップの回数を増やして実施すると自然と息が上がります。これにより、心肺機能を向上させることが期待できます。心肺機能の向上は、ダイエットに対して直接的な関係はありませんが、改善することでジャンピングスクワットを初めとする有酸素運動の強度を高めることが可能であるため、間接的にダイエット効果があると言えます。また、スクワットのような無酸素運動でも心肺機能は必要であるとされており、一部の無酸素運動のパフォーマンスを改善することも期待できます。
ステップアップは、前述した通り大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングスという下半身の筋肉を鍛えることが可能です。
以上の筋肉は、身体の中で占める割合が比較的大きい筋肉です。このため、ステップアップは比較的サイズの大きい筋肉を刺激することに適したトレーニングであるということが言え、これにより、これらの筋肉をサイズアップさせることで代謝の改善を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、これによりダイエット効果を期待できます。
以上は、ステップアップがサイズの大きい筋肉を刺激できるという特徴によるものでしたが、前述した通り、ステップアップは有酸素運動としての側面も強いです。この特徴からも、ダイエット効果を期待できるエクササイズと説明できます。以上から、ステップアップは、二重の側面でダイエットに適したエクササイズであると言えます。
ステップアップは、片脚を12〜15回を実施するようにしましょう。
ステップアップは、台の高さにもよりますが、単純なエクササイズである一方で負荷は小さくないエクササイズです。一方で、ステップアップで稼働する筋肉が前述した通り、元々、ある程度大きさのある筋肉であることから、ステップアップでは通常のトレーニングで推奨されている回数である12〜15回を3セットを目安に実施するようにしましょう。
脚のトレーニングのほぼ全ての種目は、実施しているときに上半身をどのように固定するかということが重要です。上半身をうまく固定できていないと下半身と上半身の繋ぎ目である腰に負担がかかるケースが多いです。特に、下半身のトレーニングは、前述した通り筋肉が大きいため、扱うことができる重量を比較的重くすることができることから、腰を怪我するリスクも増えます。これは、基本は自重で実施するステップアップでも同様であり、腰を曲げて実施するとターゲットとなる大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングスへの刺激が減少することに加えて、怪我をする原因となります。このため、背中を曲げずにしっかりと立てた状態(床に対して90度くらい)を意識して実施することを意識しましょう。
ステップアップは、台の高さを高くするほど負荷が高まります。これは、台が高いほど、身体を上げる距離が大きくなるためです。一方で、1回1回の負荷が高くなると、1回実施した際にフォームが崩れる確率が高まります。特にステップアップでフォームが崩れやすくなるのは上半身であり、上半身のフォームが崩れてしまうと前述した通り、ステップアップの運動効率が減少することに加えて、怪我をする原因にもなります。また、台が高すぎると、脚を下ろした際の膝や脚首への負担も高まります。以上の理由から、台を高くすること自体は効果を高めるために効果的であるものの、怪我をするリスクも高まるため、それを考慮に入れる必要があります。
ステップアップは、台を使って身体を持ち上げる動作で負荷が入るエクササイズです。このため、身体が重いほどターゲットとなる部位に入る刺激は増大します。身体自体の重さを急に重くすることはできないため、ここで有効になるのがダンベルとバーベルです。ダンベルを両手に持つ、もしくは、バーベルを背負った状態でステップアップを実施するとステップ台を使って上げる身体の重量が増大するため、ステップアップの効果を高めることが可能となります(両者を比較した場合、バーベルを背負って実施する方がステップアップの強度自体は増大します)。ただし、ダンベルやバーベルの重量設定を重すぎると、前述したように腰が曲がる原因にもなるため注意しましょう。
ステップアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのこれらの動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ステップアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ステップアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ステップアップでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
スクワットは12〜15回3セットを目安に実施します。
スクワットというエクササイズ自体は比較的負荷の高いエクササイズですが、自重で実施するスクワットはバーベルなどを用いて行うスクワットと比較して負荷をかなり低減することが期待できます。このため、一般的なトレーニングで推奨とされている回数である12〜15回を目安に実施するようにしましょう。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
ワイドスクワットは、12〜15回3セットを目安に実施します。
ワイドスクワットは、通常のスクワットと比較して股関節周りに負担をかけやすい種目です。ただし、自重で行う場合にはその限りではなく、一般的なトレーニングで推奨とされている回数である12〜15回を目安に実施するようにしましょう。
膝をロック しない(=真っ直ぐにしない)。
ボトムポジションを低く設定しすぎない。
しゃがむときはゆっくり、立ち上がるときは素早く実施。
ランジは、12〜15回3セットを目安に実施します。
ランジは、ステップアップと非常に似ているトレーニングです。ステップアップ台が低い場合には、ステップアップの方が負荷が小さいですが、ある程度の高さになるとランジもステップアップもほぼ同様の負荷のエクササイズとなります。このため、基本的には、ステップアップでの実施回数と同様の12〜15回3セットを目安に実施します。
上半身を曲げない。
足を前に出し過ぎない。
ボトムポジションで体重を受け切る。
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