プランクは静的なエクササイズで筋肉痛になり難いですが、人によっては筋肉痛になることもあります。今回は、プランクで筋肉痛になる理由と対策についてご紹介します。
結論から言うと、プランクはアイソメトリックトレーニング(静的なトレーニング)なので、基本的には筋肉痛になり難いです。
エクササイズは、アイソメトリックトレーニング、アイソトニックストレーニング、アイソキネティックトレーニングの大きく3つに分類することができます。
アイソメトリックトレーニングは、筋肉の長さを変えないインナーマッスルを鍛えるような静的なエクササイズです。主にプランクが当てはまります。
アイソトニックストレーニングは筋肉の長さを変える動的なエクササイズです。主に腕立て伏せやスクワット、またバーベルやダンベルを扱うベンチプレスなどが当てはまります。
アイソキネティックトレーニングは一定の速度で筋肉を収縮させるもので、主にリハビリ向けのエクササイズです。
以上から推察される通り、筋肉の長さを変化させないで実施するプランクは、基本的には筋肉痛になる可能性が非常に低いということが言えます。ただし、初心者を除いて、プランクで筋肉痛になる場合には何かしらの問題があるため、改善する必要があります。
前述した通り、プランクはアイソメトリックトレーニングに分類されることから、負荷がそこまで高くないエクササイズです。一方で、アイソメトリックトレーニングでも筋肉の長さを変えないようにして負荷を支えようとすることから、全く負荷がかからないわけではありません。特に、「プランクを実施する上での筋肉が十分に発達していない」という方や、「普段からあまり運動をしないという方」は、プランクを実施することで筋肉痛になる可能性があります。
このような場合、プランクを実施していく中で必要な筋肉が付くことで、プランクを実施しても筋肉痛にならなくなりますが、筋肉痛になる部位を分離して鍛えることも有効です。例えば、上腕二頭筋や上腕三頭筋が筋肉痛になる場合には、膝付きのプッシュアップ、脊柱起立筋が筋肉痛になる場合にはバックエクステンション等のエクササイズが有効です。
間違ったフォームでプランクを実施した場合、プランクで身体を支えるために使用される筋肉が適切に使われないことで筋肉痛になる可能性があります。筋肉痛になる場合には、まだ問題ありませんが、これを長い間続けていくなかで関節系に負担を感じるようになった場合には注意する必要があります。このような状態になると、怪我をする可能性が非常に高くなります。
このような場合には、自身の実施しているプランクのフォームを見直す必要があります。具体的には、第三者にアドバイスをもらうことはもちろんですが、鏡で自身の実施している状態を見ながらプランクを実施することや、携帯で撮影してフォームを見直すことも有効です。
プランクは、自身の体重を支えることで負荷を与えるエクササイズであることから、体重が重いと必然的にプランクの負荷は増大します。そのため、体重が重すぎる状態でプランクを実施すると、負荷の低いとされているプランクでも筋肉痛になる可能性があります。これは、プランクだけに限った話ではなく、スクワットやプッシュアップなどの自重トレーニング全般に言えることです。体重が重すぎた状態でプランクを実施すると、筋肉痛だけではなく、関節を痛める原因にもなる可能性があります。
このような場合には、まずは体重を減らすことが重要です。具体的には、有酸素運動と食事制限を実施することで効率的に体重を落とすことが期待できますが、その際に、かならず、筋トレも一緒に実施するようにしましょう。筋トレで筋肉をつけることで、太りにくい身体になることを期待できます。
プランクでは、比較的筋肉痛になり難いということが分かりましたが、もう少し深く理解するためには、筋肉痛及び筋肥大のメカニズムについて理解する必要があります。
筋肉痛の原因については諸説ありますが、近年よく言われているのは「何らかのエクササイズを行うことで筋繊維が損傷し、それを修復する段階で炎症が発生する」というものです(筋肉痛という非常に身近な存在も、実はそのメカニズムについてはよくわかっていません)。この修復する段階で、元々の筋肉よりも筋肉量が多い状態まで回復することで筋肉は成長します。これを超回復と呼びます。
ただ、同じエクササイズを同じタイミングで同じ回数を継続していると筋肉がその刺激に慣れていき、筋肉の成長が遅れるということがあるため注意しましょう。
以上を考えると、筋肉痛がないと筋肉が成長しないような印象を受けますが、単純にはそういうことではありません。人によって「筋肉痛が来ない方が良い」、「筋肉痛が来なくても筋肥大する」という見解もあり、これも諸説あります。
腹直筋とは、お腹の部分にある筋肉です。腹直筋と聞くと、なんとなく馴染みのない感じがしてしまいますが、所謂、我々が「腹筋」と呼ぶ筋肉は腹直筋を指します(厳密には、腹筋は、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の総称であると想定されます)。
筋トレを少ししたことがある人ならば、「シックスパック」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、シックスパックとは特に腹直筋が身体の表面に浮き出た状態を指します(シックスパックは人によって様々な形をしており、エイトパックだったり、フォーパックだったりします)。
自身のお腹を見てみるとわかりますが、お腹は縦に比較的長くなっており、このことから腹直筋は上部と下部に分けることができます。バランスの良い腹直筋を作るためには、両者をしっかり鍛える必要がありますが、特に重要なのが、腹直筋の下部です。腹直筋の上部は、脂肪が薄いため、エクササイズを実施すると比較的すぐに効果を実感できる部位です。一方、腹直筋の下部は、一般的には脂肪が厚いため、かなりしつこくエクササイズをすることに加えて、有酸素運動をしないとなかなか効果を実感することが難しい部位です。
プランクで筋肉痛になる確率が最も高いのが腹直筋であり、実施した後にはしっかりとストレッチをすることが推奨されます。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋、最長筋、棘筋からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。
脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持するために大きな役割を担っています。そのため、脊柱起立筋は、身体が横になることで姿勢を維持する必要がなくなった状態を除いて、常に働いている筋肉であるといえます。
脊柱起立筋は、腹直筋と比較するとそこまで筋肉痛になる可能性が大きい部位ではありませんが、人によってはプランクを実施すると、筋肉痛を感じる部位です。
三角筋は肩の筋肉であり、前部、中部、後部からなります。
三角筋前部とは、肩の前部についている筋肉、つまり、大胸筋上部の上側に位置する筋肉です。ここで、大胸筋とは、胸の筋肉で上部、中部、下部に分けることができます。大胸筋の中で三角筋と密接な関係があるのは、前述した通り、大胸筋の上1/3が該当する大胸筋上部です。三角筋前部が発達していると、大胸筋上部との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えることに繋がります。
三角筋中部とは、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩の張り出し感に繋がります。
三角筋後部とは、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になります。
三角筋の中でも三角筋前部がプランクにより筋肉痛を誘発しやすい部位ですが、基本的には筋トレ初心者の方が筋肉痛になりやすい部位です。
上腕三頭筋は、上腕の後ろ側についている筋肉です。
上腕三頭筋は、外側頭、長頭、内側頭からなります。外側頭は上腕三頭筋の外側の筋肉であり、長頭は上腕三頭筋の内側の筋肉であり、これらの内側に内側頭があります。内側頭と外側頭を合わせて短頭ということもあります。
上腕三頭筋は、上腕を形成する上で最も大きい筋肉です。このため、腕を太くしたいと考える場合、多くの人は力コブである上腕二頭筋を鍛えようとしますが、上腕三頭筋を鍛える方が効率的です。
上腕三頭筋は、三角筋前部と同様に、筋トレ初心者の方が筋肉痛を感じることが多い部位です。
大胸筋は、前述した通り、大胸筋上部、中部、下部からなります。
大胸筋上部は、腕を肩よりも上に上げる動作、すなわち屈曲動作を行う際に稼働される部位です。このため、腕を肩よりも上に上げる動作であるインクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます (言い換えれば、三角筋の前部を鍛えるためのプレス系の種目でも大胸筋上部に刺激が入ってしまい、その逆に、前述した種目により大胸筋上部を鍛える際には三角筋前部にも刺激が入ってしまうことを意味します)。
大胸筋中部は、腕を90度まで上げて胸の前で閉じるような動作、すなわち水平内転動作を行う際に稼働される部位です。このため、この動作を素直に行うダンベルフライは、大胸筋中部を鍛えるために有効な種目であると言えます (この「胸の前で閉じる」という動作が有効であることから多くの人は、チェストプレスのトップポジションにおいてダンベルを寄せるような動作を行いますが、玄人でないと負荷が抜けやすいためオススメできません)。
大胸筋下部は、90度に上げた腕の上腕部を身体に近づける動き、すなわち、内転動作を行う際に稼働される部位です。このため、身体を下側に配置して腕が下半身方向に動き易くなるディクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます。
プランクを実施した場合に大胸筋が筋肉痛になるケースは稀ですが、腕幅によってはなる場合があります。ただし、大胸筋は、三角筋、上腕三頭筋と同様に筋トレ初心者の方が筋肉痛を感じることが多い部位です。
大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。
お尻には、大臀筋の他に、中臀筋と小臀筋という筋肉があります。中臀筋はお尻の外側についている筋肉、小臀筋はお尻の中で最もインナー部分に存在する筋肉です。ただ、両者ともに大臀筋と比較すると、筋肉としては小さいため、お尻を効果的に鍛えたいならば大臀筋を鍛えると効率的です。
プランクを実施した場合に、プランクを大臀筋のトレーニングとして割り切って実施している場合には大臀筋が筋肉痛になる場合があります。
ハムストリングスとは、太ももの裏側に位置する3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称です。「ハムストリング」と表記される場合もありますが、以上のように3つの筋肉で構成されていることを考慮して、ここでは「ハムストリングス」と呼称します。どちらで呼称しても問題ありません。
ハムストリングスは、太ももの前側にある大腿四頭筋と比較するとサイズは小さくなりますが、それでも筋肉の大きさとしては身体の中でも非常に大きい部類に分類することができます。
プランクを実施した場合にはハムストリングスが筋肉痛になることはほとんどありませんが、人によっては筋肉痛を感じる部位です。
筋肉痛があるときは、プランクは休むようにしましょう。
前述した通り、筋肉は休ませるときに成長するものであるため、筋肉痛があるときは思い切って休む方が良いです。このとき、全身の複数箇所に筋肉痛がある場合には、エクササイズ自体を休むべきですが、特定の箇所、例えば腹筋や腕だけ筋肉痛という場合には、それらを刺激しないエクササイズを実施することや、軽い有酸素運動を行いアクティブレスト(あえて疲労時に体を軽く動かすことで血流を良くして、疲労物質の排出を促す疲労回復法)を行うことで筋肉痛の回復を促すことも効果的です。
前述した通り、一般的には筋肉痛は筋肉が修復するときに発生する炎症作用と考えられています。時間をかけて、栄養が行き渡ることでその炎症が治まり、これにより筋肉痛が治るというのが通常の筋肉痛が快方するパターンです。一方で、筋肉痛が治らないという場合には、その栄養が足りていない可能性があります。具体的には、筋肉の材料であるタンパク質の摂取はもちろんですが、タンパク質の合成に必要な炭水化物、さらに、タンパク質の代謝を促したり体調を整えるマルチビタミンをしっかり摂取できているか確認しましょう。
人間は睡眠しているときに成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは筋肉の修復と成長に大きく関与しています。成長ホルモンが分泌される時間が22:00〜2:00くらいと言われており、この時間にしっかりと睡眠を取ることで成長ホルモンがきちんと分泌され、筋肉の修復と成長が促されます。以上を言い換えると、睡眠がしっかりと取れていない場合には成長ホルモンが十分に分泌されていない場合があり、筋肉痛が長引く原因となる可能性があります。そのため、筋肉痛が中々治らないと感じる場合には、きちんと睡眠をとれているかを確認しましょう。
運動の直後には、酷使した筋肉をケアするためにストレッチが重要であると言われています。ストレッチには、凝り固まった筋肉をほぐし血流を改善する働きがあることから、運動後にストレッチを実施することで筋肉痛を効果的に予防することが期待できます。ストレッチをする段階ですが、できるだけ、運動を実施した直後にやるのがよく、その他には、お風呂などで身体をあたため血流が良くなったときに実施するのがおすすめです。実施するときは、息をはきながらゆっくり実施するようにしましょう。
太ももやお尻などの大きい部位の場合、1週間近く筋肉痛が続くということはあります。しかし2週間も3週間も続く場合は、筋肉痛ではなくなんらかの怪我をしている可能性が高いです。特に、そもそもプランクは筋肉痛になるほど負荷の高いエクササイズではないため、2週間も3週間も筋肉痛が続くようならば、それは筋肉痛というよりはどこかを故障している可能性が高いということが言えます。その場合には、病院に行き然るべき処置を受けるようにしましょう。
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