腕立て伏せは、筋肉量が足りないとそもそも実施するのが比較的難しいエクササイズです。今回は、腕立て伏せができない原因とその対策についてご紹介します。
腕立て伏せは、「刺激を与える部位」という観点では上腕三頭筋及び大胸筋が該当しますが、実際に実施する上では、特に、上腕三頭筋が大きな役割を担っています。つまり、腕立て伏せが実施できない場合には、上腕三頭筋の筋量不足について疑うべきです。上腕三頭筋は日常生活を送っている限りでは特に負荷がかかる場面は少ないため、上腕三頭筋不足の場合には後述するように、初心者向けの腕立て伏せをしながら上腕三頭筋を鍛えるための種目を実施する必要があります。
これは、「筋力不足」と関係していますが、体重が重いほど腕立て伏せに必要な筋肉量は増大し、腕立て伏せを実施する上での難度が上がります。このため、体重が重すぎると感じている場合には、若干ダイエットを行ってから腕立て伏せを実施するのも一つの手です。ただし、これはあくまでも自身の体重と筋肉量の関係であるため、自身が現在で体重を減らす必要があるのかどうかというのは結構分かりづらいものがあります。そのため、腕立て伏せをできない場合には、極端な場合を除いては上腕三頭筋をつけることを意識するようにしましょう。
これは、「根本的に腕立て伏せができない原因」ではなく、「腕立て伏せを正しくできない原因」です。腕立て伏せを正しく実施するためには、上半身から下半身までを一直線にする必要があり、このとき重要になるのが体幹の筋肉です。体幹の筋肉が十分でないと、下半身が下がった状態になり、このままでは「正しい腕立て伏せ」を実施することは困難であると言えます。この場合には、後述するような初心者向けの腕立て伏せよりもプランク、ハイプランクなどの体幹を鍛えるエクササイズを中心に実施するのがおすすめです。
腕立て伏せでは、肘、手首関節を稼働させることで身体の上げ下げを行うため、手首の柔軟性が足りないと身体をうまく下げることが困難となります。具体的には、脇を締めるタイプの腕立て伏せの場合には、前後方向の手首の柔軟性が、脇を空けるタイプの腕立て伏せの場合には左右方向の手首の柔軟性が重要です。このため、実際に腕立て伏せを実施して、手首に違和感を感じる方は腕立て伏せの前や風呂上がりにしっかりと手首を伸ばす柔軟運動を実施しましょう。また、手首を痛めている場合には、しばらく腕立て伏せの実施を控えるようにしましょう。
腕立て伏せを実施する上で、前述した手首以上に重要となる関節が肘関節です。腕立て伏せの種目の特性上、肘関節に負荷を与えないで実施することは難しく、必然的に、多かれ少なかれ肘に負担はかかってしまいます。そのため、肘関節を怪我していると身体の上げ下げを行う度に肘に痛みが走り、腕立て伏せを満足に実施することが困難となります。そのため、腕立て伏せを1〜2回実施して肘に痛みが走る場合にはすぐに運動をやめて、しっかりと肘のケアを行うようにしましょう。腕立て伏せを実施することで肘を怪我するということはほとんどありませんが、その他のエクササイズで痛めている場合があるため、肘に違和感がある場合には注意深く実施する必要があります。
腕立て伏せを実施する上で、肘、手首を正しく使うことができると、腕立て伏せを効率良く実施することができます。これを言い換えると、腕立て伏せができない人の多くは、手の配置する部分が悪く、また肘の曲げ方が悪い場合がほとんどのケースであると言えます。これらの問題は、腕の筋肉がないのを関節の動きでカバーしようとしているからこそ起きているため、まずは無理をするのではなく、自身のできる範囲で筋肉をつけながら実施することが重要です。
腕幅が狭いのに肘が横に出る。
下半身が落ちる。
動作がコントロールできていない。
トップポジションで肘が伸び切る。
ボトムポジションで膝が付く。
初心者の場合、腕立て伏せは5〜10回3セットを実施します。
筋トレ初心者の場合、腕立て伏せはかなり負荷の高いエクササイズであることから、まずは、5〜10回3セットで丁寧に実施しましょう。場合によっては、腕立て伏せができないことも想定されるため、その場合には、後述するように、初心者向けの腕立て伏せを実施するようにしましょう。
腕立て伏せに少し慣れた方の場合、腕立て伏せは10〜12回3セットを実施します。
腕立て伏せは、慣れてくると比較的高回数も実施することができるようになります。ただし、高回数を実施するとフォームが崩れやすくなるため、基本的には10〜12回3セットを目標に実施しましょう。
上級者の場合、腕立て伏せは、ベンチプレス、チェストプレスなどのエクササイズと組み合わせて実施します。
上級者が腕立て伏せを実施する場合、大胸筋を鍛えるエクササイズであるベンチプレス、チェストプレスなどの種目に対する仕上げの種目として実施します。この場合、ベンチプレス、チェストプレスは10〜12回3セット実施できる重量で実施し、腕立て伏せは12〜15回3セット実施するようにしましょう。
インクラインプッシュアップは、12〜15回を3セットを目安に実施します。
インクラインプッシュアップは、プッシュアップという名前が付いていますが、そこまで負荷の高いエクササイズではありません。このため、12〜15回を目安に実施します。
インクラインプッシュアップでは、身体の角度によって負荷が異なり、角度がキツくつくほど(=直立した状態に近くなるほど)負荷が弱くなります。このため、12〜15回を実施できる身体の角度を見つけ、その状態から身体の角度を少しずつ浅くしていくと効率的です。
12〜15回実施できる身体の角度を設定する。
台所の台などで実施しても効果的。
肩甲骨を常に寄せた状態を作る。
身体はゆっくり下げる。
トップポジションで肘を真っ直ぐにしない。
膝付きワイドプッシュアップは、10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
膝付きワイドプッシュアップは、膝をついている分、ワイドプッシュアップよりも負荷は小さいですが、それでも、ワイドにしている分、かなり負荷は高いです。このため、10〜12回を目標に実施し、できない場合には、休みながらでも良いのできちんと10〜12回を実施し、それを3セット行うということを繰り返します。
これを繰り返していくうちに、休憩なしで10〜12回ができるようになり、最終的には膝をつかなくてもワイドプッシュアップを実施できるようになることが期待できます。
上半身から下半身までを一直線。
身体はゆっくり下げる。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
実施中は常に肩甲骨を寄せる。
リバースプッシュアップは、12〜15回を3セット実施します。
リバースプッシュアップは、プッシュアップという名前付きますが、エクササイズ強度はプッシュアップほど高くありません。そのため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定である12〜15回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
やや負荷が高いと感じた場合には、脚を完全に伸ばし切るのではなく、脚をやや曲げた状態で実施するようにして12〜15回を目標に実施し、それができたら徐々に脚を伸ばしていきましょう。
トップポジションで肘をロックしない。
身体の動きをしっかりとコントロールする。
負荷が高すぎると感じた場合には、脚を少し曲げ、踵と身体の距離を短くする。
脇締めプッシュアップは、12〜15回を3セット実施します。
脇締めプッシュアップは、ワイドプッシュアップとは異なり、脇を締めることで上腕三頭筋の力を発揮しやすくなるため、通常のワイドプッシュアップよりも実施しやすくなります。このため、通常の筋トレの標準的な回数である12〜15回3セットを目標に実施しましょう。
実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
身体を下げるときはゆっくりにする。
上半身から下半身は常に一直線で実施する。
プッシュアップがどうしてもできない!という方は、下記で紹介するエクササイズをまず挑戦してみましょう。
プランクは、まずは30秒を3セット実施します。
プランクは、動作自体は膝付きプランクに対して、脚を伸ばして実施するだけですが、体重をつま先と両腕で支えることになるため、比較的負荷が高いエクササイズです。そのため、まずは、30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
臀部を"張る"(=外旋する)ようなイメージを持つ。
正面を向く。
ハイプランクは、まずは30秒を3セット実施します。
ハイプランクは、腕立て伏せの身体を上げた状態を維持するエクササイズであり、腕に筋肉がある方は比較的簡単に実施することができますが、それとは逆に、腕に筋肉がないと実施するのが中々難しくなります。そのため、エクササイズ強度は、人によりますが、プランクと同じくらいであり、プランクと同様に30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
お尻をやや上げるイメージ。
目線は正面。
インバーテッドロウは、12〜15回を3セット実施します。
インバーテッドロウは、広背筋を使うエクササイズでもあることから、腕の筋肉が十分に発達していなくても実施することができ、プッシュアップと比較すると負荷はそこまで高くありません。そのため、通常の筋トレの標準的な回数である12〜15回3セットを目標に実施しましょう。
肘を引く。
ゆっくり戻す。
上腕と脇の角度、肘の角度が90度。
負荷が高い場合には、脚はやや曲げる。
グリップの幅、向きで様々なバリエーションで実施可能。
可動域を限定した腕立て伏せは、5回3セットから始め、10回3セットできるようになったら可動域を少しずつ大きくします。
可動域を限定した腕立て伏せは、腕立て伏せを実施するためのエクササイズとして、最初はかなり可動域を限定した状態から5回3セットを実施しましょう。10回3セットできるようになったら可動域を少しずつ大きくし、最終的には正しい腕立て伏せを実施することを目指しましょう。
フル可動域で実施しない。
必要ならば、膝を付いて実施する。
少しずつ可動域を大きくする。
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