数多くある腹筋のエクササイズの中でも最も強度が高い種目に腹筋ローラーがあります。今回の記事では、腹筋ローラーの基本的な使い方、注意点、効果についてご紹介します。
腹筋ローラーまたはアブローラー(英語名:ab wheel)は腹筋を鍛えるための道具ですが、この道具を使う種目そのものを指す場合も多いです。腹筋を鍛える種目・マシンは数多く考案されている中で、腹筋ローラーは最も負荷の大きいエクササイズの一つです。そのため、正確に実施するのは非常に難しいのですが、やり方を工夫することで、腹筋、背筋、腕の筋肉が十分に発達していない方でも実施することが可能です。
腹筋を鍛えられる他のアイテムには、ダンベルやトレーニングチューブ、シットアップ台などがあります。
腹筋ローラーで鍛えられる部位は、
腹筋(厳密には腹直筋といわれ、腹筋の中央位置する筋肉です。いわゆる「シックスパック」と呼ばれる部分)
腹斜筋(肋骨直下の横腹上部の筋肉)
腕(厳密には上腕二頭筋で、いわゆる「力こぶ」といわれる部分)
上腕三頭筋(いわゆる「二の腕」といわれる部分)
背中(厳密には脊柱起立筋で、背中の中央部に縦に二本走る筋肉)
広背筋(脇の下から横腹にかけて脊柱起立筋の外側を走る筋肉)
三角筋(肩の筋肉)の前部
です。
「腹筋種目なのに鍛えられる部位が多すぎでは?」と思う方がいらっしゃるかと思いますが、腹筋ローラーの負荷が高すぎることが原因です。そのため、筋肉があまり発達していない初心者の方には難しい種目といわれています。トレーニング上級者は腹筋ローラーを実施すると、腹筋に集中して刺激が入るようになります。
特に腹筋ローラーを始めたばかりの方は、腹筋ローラーを実施すると前述した腹筋以外の部分にも刺激が入ります。ただし、これは当然のことなのであまり気にしないようにしましょう。 中級者以上の方でもしっかり腕のトレーニングをした後は、腹筋ローラーが十分にできないという現象が発生することもあります。
これだけ色々な筋肉が刺激されるので、ダイエット効果ももちろんあり、痩せたい方にもおすすめのエクササイズです。腹筋・背中の筋肉量が増え、代謝があり、カロリー消費量がアップします。
肘を少し曲げて腹筋ローラーの所定部分を持ち、ローラーとつま先(両足のつま先は互いが接するくらいの位置関係が教科書的です)で身体を支える姿勢になります。慣れていないと、この姿勢だけでも相当きついです。
トップポジションは、ローラーがだいたい顎(あご)の真下にくるよう設定し、目線は床に向けます。このとき、上半身は床と平行、下半身は膝が少し曲がる程度に自然に設定します。
この状態からゆっくりとローラーを動かして、鼻が床に付くか付かないか位までゆっくり上体を下げていき(ボトムポジション)、そこからローラーを身体がトップポジションにくるまで戻します。
トレーニングにおける「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。多くは筋肉がピンっと張った状態です。反対に「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。その間を「ミッドレンジ」といいます。種目によって最も負荷のかかる状態が違い、腹筋ローラーの場合はボトムポジションで一番負荷がかかります。
初心者の方は、膝(ひざ)をつけて床につけて腹筋ローラーを実施します。通称「膝コロ」です。
教科書的な腹筋ローラーの使い方は、つま先立ちになって腹筋ローラーを行いますが、初心者の方には負荷が高すぎます。ローラーと下半身を支える部分の距離が大きいためで、これではボトムポジションにもっていくことができない、またボトムポジションにもっていってもトップポジションに戻れないという問題が発生します。
膝立ちにすれば、腹筋ローラーと下半身を支える部分との距離が短くなり、初心者の方でも実施可能です。膝立ち腹筋ローラーは、上級者レベルになっても非常に有効なエクササイズであり、まさに全ての方にオススメできる腹筋のエクササイズといえます。
身体をトップポジションからボトムポジションまでもっていき、トップポジションに戻さずゆっくり倒れる超初心者向けの腹筋ローラーを「膝コロン」といいます。
上級者向けとしてよく紹介されるのが、立った状態から腹筋ローラーを実施する、通称「立ちコロ」ですが、あまりおすすめしません。トップポジションが立った状態なのですが、これでは刺激が完全に抜けてしまい、腹筋にほぼ負担がなく、非効率的なエクササイズといえます。
上級者向け腹筋ローラーには、台を使いつま先を床よりも高い位置に設定するものがおすすめです。このやり方では、ボトムポジションでは身体が一直線に近い状態になり腹筋が伸展し、身体を維持するのがとても難しくなります。また、ボトムポジションからトップポジションに戻すときも大きな負荷がかかります。
もう一つの上級者向けのやり方に、背中に重りを載せるパターンもあります。背中に載せる重りの重さが大きいほど負荷が大きくなります。この方法はとても単純ですが、腹筋ローラーの負荷を高めるためには非常に有効です。実施する上での欠点として、一人ではできず、ペアになって相手の方に重りを載せてもらう必要があります。
以上の「重りを載せると負荷が高まる」ということですが、言い換えれば「体重が重い人ほど腹筋ローラーを行うことは困難になる」ということも表しています。腹筋ローラーを実施していくなかで自身の体重によって練度に差が出てしまう原因の一つです。
エクササイズには鍛えている部分の負荷が抜けない範囲があり、この範囲の中でエクササイズを行うことが重要です。腹筋ローラーでは、トップポジションの設定を、前述した通り、顎の真下に設定することが重要です。人によってはローラーが腹部直下に来るくらいまで戻す人もいますが、それだと刺激が抜けてしまうため非効率です。
腹筋はお腹が曲がった状態(つまり筋肉が縮んだ状態)で最も負荷がかかります。腹筋ローラーというくらいですから、腹筋に負荷がかかるのが重要であり、身体を常に「くの字」にする意識が大切です。ボトムポジションで「万歳」の状態になった場合でも「くの字」を保持するよう意識しましょう。ボトムポジションで身体が一直線になるのが間違いなわけではありませんが、「くの字」を意識することでより効率的に腹筋を鍛えることができます。
腹筋ローラーは前述した通り副次的に、腹筋以外の部位にも大きな刺激が入ります。そのため、意図せずとも腹筋以外の部位がキツくなり、腹筋以外への部位への意識が大きくなりがちです。しかし、腹筋ローラはあくまでも腹筋を鍛えるためのエクササイズですので、難しいですが腹筋を意識することが重要です。
腹筋ローラーは、その運動の性質上、ボトムポジションを深く設定すればするほど負荷を高めることができます。言い換えれば、ボトムポジションを浅く設定すれば、負荷を低減させることができ、腹筋ローラを始めたばかりの方は、ボトムポジションを高めに設定して、まずは、腹筋ローラーの刺激に慣れるという実施方法もあります。
腹筋ローラーは、非常に強度が高く、怪我をしやすい種目なのですが、最も怪我をしやすいといわれているのが腰です。腹筋ローラーで腰を痛める原因はいくつかありますが、その最たる例として腰を反ってしまうことが挙げられます。腹筋ローラーの効果を高めるためには身体が「くの字」になる様にして実施することが推奨されますが、これは腹筋への刺激を高めるとともに、怪我をするリスクを減らすという目的もあります。
腹筋ローラーですが、腹筋ローラのエクササイズの特性上、ボトムポジションで粘れないと床に顔面が直撃することになります。これは大変危険ですので、たとえ潰れてしまっても太ももから落ちるようにしましょう。台を使った上級者向けの腹筋ローラーではさらにそのリスクが高まりますので注意しましょう。
腰の力で身体を動かすのではなく、ローラーを動かすことに集中し、手のローラーの動きのみでトップポジションからボトムポジションへ、ボトムポジションからトップポジションへ移行することが重要となります。腰主導で腹筋ローラーを実施すると、腰痛の原因になりますので注意しましょう。
掌屈(しょうくつ)とは、「手首を手のひらの方に折り曲げること」を意味します。手首に負担がかかることは避けられないのですが、そこで手首を掌屈させることで手首への負荷を軽減することが可能です。また、手首を掌屈させることで力を発揮しやすくなり、ボトムポジションで顔から崩れ落ちるのを防ぎます。
腹筋ローラーでは、ボトムポジションで身体がほぼ真っ直ぐになった状態をキープするのですが、この際に肘を伸ばすとかなりの確率で潰れてしまいます。肘が伸び切ってしまうと腹筋ローラーを介して、身体を支えるために使う力を伝達しにくくなるためです。このために、肘はやや曲げた状態で行うことが重要です。
腹筋ローラーの頻度ですが、まず週に1回、腹筋のエクササイズとして取り入れるのがよいでしょう。
腹筋ローラーは非常に負荷の高いエクササイズなので、毎日実施すると筋肉痛が治りきっていない状態で実施することになり非効率的です。また、腹筋は、多方向から様々な刺激を入れることで発達すると言われていることから(つまり腹筋を特定の刺激に慣れさせないということ)、週に1回腹筋ローラーを実施する日を作り、その他の日は異なる腹筋のエクササイズを実施するのがおすすめです。
実際のエクササイズ内容としては、初心者の方は膝つきで1セット10回を3セットできるようになるのが目標です。つま先立ちの腹筋ローラーができるという方は、膝付きの腹筋ローラーを1セット15回を1セット→つま先立ちの腹筋ローラーを1セット10回を3セット→膝付きの腹筋ローラーを1セット12-15回を1セットというように行うとよいでしょう。
ウルフヨック社は可変ダンベルなどの自宅トレーニング用品が有名な会社なのですが、腹筋ローラーのクオリティーも高くおすすめです。この製品はローラーの中央の部分が床と接しない2輪のような構造になっており、幅広かつ安定的なので、特に初心者の方におすすめです。また、ローラーのラバー部分の凹凸形状の作りも秀逸で、しっかりと床との摩擦を感じながら腹筋ローラーを動かすことができます。
ゴールドジムは、THINKフィットス社が運営するトレーニング特化型ジムです。一般的な腹筋ローラーだと2つの車輪が独立したタイプが多いのですが、この製品は2つの車輪がほぼ一体化しています。そのため、一般的な1輪タイプの腹筋ローラーよりは刺激が小さくなるものの、一般的な2輪タイプの腹筋ローラーよりは刺激が大きくなります。また、グリップを維持しやすい作りになっています。グリップ部分が腹筋ローラーと接する作りになっており、使っていくうちにこの部分から摩耗して破損していきます。これを防ぐためには腹筋ローラーとグリップの間にワッシャーを噛ませるのがおすすめです。
アディダスはスポーツアパレルが有名ですが、トレーニングチューブなど自宅トレーニング用品も販売しています。この製品の特徴は、シンプルな作りです。近年の腹筋ローラーブームで、各社ローラーの数を増やしたり、ローラーの形状を工夫するなどして多種多様な製品が出回っており、この影響でシンプルな腹筋ローラーがどんどん少なくなっています。一方、この製品は、ローラー径、ローラー幅、ローラーの数のどれをとっても標準的な作りで、だからこそ中級者レベル以上のトレーニーにはおすすめです。購入した際に、グリップをはめる必要があり、これが中々難儀なのですが、油を塗布すると簡単にはめることができます。
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