1. Fily
  2. Fitness
  3. ワイドプッシュアップで肩が痛い原因。対処法と正しいフォームを解説

ワイドプッシュアップで肩が痛い原因。対処法と正しいフォームを解説

公開日

更新日

ワイドプッシュアップで肩が痛い原因。対処法と正しいフォームを解説

ワイドプッシュアップは実施方法によっては肩が痛いと感じることがあります。今回は、ワイドプッシュアップで肩が痛いと感じる原因と対策についてご紹介します。

ワイドプッシュアップとは

ワイドプッシュアップは英語で「wide pushup」で、「広いプッシュアップ」を意味する種目です。この「広い」は手幅の大きさを意味しており、手幅が大きければ「ワイドプッシュアップ」、狭ければ「ナロープッシュアップ」となります(一方、その間で実施するプッシュアップは、「ミドルプッシュアップ」とは呼ばず「プッシュアップ」と呼びます。)。

ワイドプッシュアップは、通常のプッシュアップに対して、より大胸筋を稼働して実施します。言い換えると、上腕三頭筋を使えなくなることから、エクササイズ強度は増大します。トレーニングを十分に実施している方ではないと大胸筋が発達しているケースは多くないため、ワイドプッシュアップを実施するためにはそもそも通常のプッシュアップを十分に実施できている必要があります。

以上から、ワイドプッシュアップは、トレーニング初心者レベルを脱した方向けの種目であると言えます。

ワイドプッシュアップで肩が痛い原因

肩甲骨を寄せていない

ワイドプッシュアップを実施する際に、肩甲骨を寄せて実施していないと肩が痛いと感じる原因になり得ます。

ワイドプッシュップに限らず、大胸筋を鍛えるほぼ全てのエクササイズでは、肩甲骨をしっかり寄せる必要があります。これは、大胸筋を伸展することに加えて、肩関節が稼働することを防ぐことで肩が負傷することを防ぐ目的があります。このため、肩甲骨を寄せて実施していないと肩が痛いと感じることがあります。

この場合、ワイドプッシュアップを実施する際に、肩甲骨をしっかり寄せて実施します。動作を実施している中で、肩甲骨を寄せた状態が崩れないようにしましょう。

体重が重すぎる

ワイドプッシュアップを実施する際に、体重が重すぎると肩が痛いと感じることがあります。

ワイドプッシュアップは自重トレーニングであることから、エクササイズ強度を決定するのは自身の体重です。このため、体重が重すぎる状態でワイドプッシュアップを実施すると肩が痛いと感じることがあります。

この場合には、食事制限や有酸素運動により体重を落とすことが重要です。プランクなどのやや負荷の小さいトレーニングを組み合わせながら、太りにくい身体を実現するようにしましょう。

回数を実施しすぎている

ワイドプッシュアップを実施する際に、回数を実施し過ぎていると肩が痛いと感じることがあります。

ワイドプッシュアップは、正確なフォームで実施するとエクササイズ強度が高い種目であるため、そもそも回数を実施することは向いていません。一方で、回数を多く実施し過ぎると、フォームを崩し、結果として肩が痛いと感じることがあります。

この場合には、ワイドプッシュアップの回数を減らします。多くても12〜15回実施すれば十分であり、逆を言えば、それだけしかできないようにしっかりとフォームを確認しましょう。

肩を痛めている

ワイドプッシュアップを実施する際に、当たり前ですが、肩を痛めながら実施すると肩が痛いと感じる原因になります。

肩は、一度怪我をすると比較的治りにくい部位であり、肩、胸、腕を使う動作をするときに支障をきたします。

これを防ぐためには、肩に異変を感じた場合には、トレーニングの実施を控えることであり、場合によっては病院の受診も検討しましょう。

肩が痛くならないワイドプッシュアップのやり方

ワイドプッシュアップ

フォーム

  1. 手幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る。
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

初心者

筋トレ初心者は、ワイドプッシュアップを6〜8回3セット実施します。

ワイドプッシュアップは、通常あまり筋肉のない大胸筋をメインターゲットとして稼働するため、筋トレ初心者は中々実施することが難しいです。そのため、まずはフォームをしっかり確認するという意味でも、まずは6〜8回3セット実施しましょう。

少し慣れたら

ワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、8〜10回3セット実施します。

ワイドプッシュアップは慣れてくると、大胸筋の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、ワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、8〜10回3セット実施するようにしましょう。

上級者

筋トレ上級者の場合、ワイドプッシュアップを実施する際には、その他の大胸筋を鍛える種目と組み合わせて実施します。

筋トレ上級者がワイドプッシュアップを実施する場合には、ウォーミングアップ種目として実施します。本番種目として、インクラインワイドプッシュアップや膝付きワイドプッシュアップを実施します。この場合、ワイドプッシュアップを12〜15回を実施し、後述した種目は10〜12回3セット実施しましょう。

ワイドプッシュアップで効果を高める方法

肩甲骨を常に寄せる

ワイドプッシュアップでは、肩甲骨を常に寄せることで大胸筋を伸展した状態を作り出すことができ、効率的に大胸筋を刺激できます。

フリーウェイトやマシンを使った大胸筋を鍛えるエクササイズでは、肩甲骨を寄せることが必要とされています。これは、肩を痛めないだけではなく、大胸筋を伸展させるために必要なテクニックです。ワイドプッシュアップでも同様であり、やや難易度が高いですが肩甲骨を常に寄せる必要があります。

ワイドプッシュアップで肩甲骨を寄せる際には、通常のプッシュアップのポジションになったら、肩甲骨の緊張を解き肩甲骨が寄るようにします。この状態を可動域のすべての中で維持するようにします。

肘を伸ばし切らない

ワイドプッシュアップでは、その他のエクササイズと同様に大胸筋に負荷が入っている中で実施する必要があります。そのためには、トップポジションで肘を伸ばし切らないようにする必要があります。

トップポジションで肘を伸ばし切ってしまうと、確かに大胸筋が外側から収縮させるようにすることができますが、前述した「肩甲骨を寄せる」ということを意識しづらくなります。そのため、ワイドプッシュアップではトップポジションにおいて肘をやや曲げておく必要があり、そのようにすることで大胸筋に常に負荷が入った状態になります。

上半身から下半身を一直線

ワイドプッシュアップを実施する際に、大胸筋に効率的に負荷を与えるためには上半身から下半身までを一直線にする必要があります。この様にすることで、大胸筋を稼働して動かす部分が増大することに伴いエクササイズ強度が増大するためです。

通常のプッシュアップと同様に、ワイドプッシュアップでは上半身と下半身の接続部である臀部が下方に落ちやすくなります。このようになってしまうと、大胸筋で動かす部分は上半身だけになってしまい、エクササイズ効率が低下するため注意が必要です。

特に、筋トレ初心者の場合には上半身から下半身までを一直線に保つのは非常に難しいことが多いです。そのため、鏡を見ながら実施したり、ビデオで撮影したり、第三者にアドバイスをもらって実施するのも有効です。

鍛えている部位の動きを意識

ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。

このため、最初は難しいですが、ワイドプッシュアップで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。ワイドプッシュアップでは、身体を下げるときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐きます。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

肩を痛めずに大胸筋を鍛える筋トレ

パームプレス

パームプレス

やり方

  1. 腕を上半身の前に出し、両手どうしで手のひらを押す(この状態で10〜15秒キープしても良い)。
  2. 1の状態を保ったまま、左右いずれかに腕を動かした状態で10〜15秒キープする。
  3. 2とは逆の方向に動かし、キープする。

回数

パームプレスは、各ポジションで10〜15秒キープした状態を3〜5セット実施します。

パームプレスは、自身の手のひらをできるだけ力を入れてお互いに押すことで負荷を入れるエクササイズであり、自身の力のかけ方によりますが、だいたい10〜15秒程度を目安に3セット実施するのがオススメです。

効果を高めるポイント

  • とにかく力を入れて手を押す。

  • 左右にツイストさせる。

  • プレートを正面に持って実施する。

  • バーベル、ダンベルトレーニングの後に実施する。

インクラインワイドプッシュアップ

やり方

  1. ベンチ台などに対して手幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  3. 2の状態まで素早く戻る。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

インクラインワイドプッシュアップは、まずは6〜8回3セット実施します。

インクラインワイドプッシュアップは、大胸筋の中でもあまり発達していないことが多い大胸筋上部をメインターゲットとして稼働するため、特に筋トレ初心者は中々実施することが難しいです。そのため、まずはフォームをしっかり確認するという意味でも、まずは6〜8回3セット実施しましょう。

効果を高めるポイント

  • 肩甲骨を常に寄せる。

  • 肘を伸ばし切らない。

  • 上半身から下半身までを一直線。

膝付きワイドプッシュアップ

膝付きワイドプッシュアップ

やり方

  1. 膝を付き、手幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

膝付きワイドプッシュアップは、12〜15回を3セット実施します。

ワイドプッシュアップは、比較的負荷の高いエクササイズです。このため、理想的には、つま先立ちで実施することが望ましいですが、負荷が高すぎる場合には膝付きで実施しても問題ありません。少しずつ負荷を増やしながら、最終的に12〜15回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。

効果を高めるポイント

  • 実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。

  • トップポジションで肘を伸ばし切らない。

  • 身体を下げるときはゆっくりにする。

  • 上半身から下半身は常に一直線で実施する。