ワイドプッシュアップは、大胸筋をメインに鍛えることを期待できます。今回は、大胸筋の上部と下部を鍛えるためのワイドプッシュアップのやり方及びコツについてご紹介します。
ワイドプッシュアップは、大胸筋中部を鍛えるための種目ではありますが、工夫することで大胸筋の上部と下部を鍛えることもできます。
大胸筋は大きく分けて3つの部位からなり、大胸筋の上部、中部、下部です。通常のワイドプッシュアップでは大胸筋中部を鍛えることができます。
以上を言い換えると、一般的に発達していることが多い部位は大胸筋中部です。大胸筋上部、下部は意識的にトレーニングを実施していないと鍛えることが難しい部位であると言えます。
その他のエクササイズでも同様ですが、ワイドプッシュアップでも頭が上に来ると大胸筋上部を鍛えることができ、下に来ると大胸筋下部を鍛えることができます。両者を比較すると、大胸筋上部を鍛える方がエクササイズ難易度は低いです。
筋トレ初心者は、大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップを6〜8回3セット実施します。
大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップは、大胸筋の中でもあまり発達していないことが多い大胸筋上部、下部をメインターゲットとして稼働するため、筋トレ初心者は中々実施することが難しいです。そのため、まずはフォームをしっかり確認するという意味でも、まずは6〜8回3セット実施しましょう。
大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、8〜10回3セット実施します。
大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップは慣れてくると、大胸筋上部、下部の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、8〜10回3セット実施するようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップを実施する際には、その他の大胸筋上部、下部を鍛える種目と組み合わせて実施します。
筋トレ上級者が大胸筋上部、下部を鍛えるワイドプッシュアップを実施する場合には、ウォーミングアップ種目として実施します。本番種目として大胸筋上部を鍛えるならば、インクラインバーベルベンチプレス、インクラインダンベルベンチプレスなどを、大胸筋下部を鍛えるならばディクラインバーベルベンチプレス、ディクラインダンベルベンチプレスなどを実施するのがおすすめです。この場合、ワイドプッシュアップを12〜15回を実施し、以上の種目を10〜12回3セット実施しましょう。
ワイドプッシュアップでは、肩甲骨を常に寄せることで大胸筋を伸展した状態を作り出すことができ、効率的に大胸筋を刺激できます。
フリーウェイトやマシンを使った大胸筋を鍛えるエクササイズでは、肩甲骨を寄せることが必要とされています。これは、肩を痛めないだけではなく、大胸筋を伸展させるために必要なテクニックです。ワイドプッシュアップでも同様であり、やや難易度が高いですが肩甲骨を常に寄せる必要があります。
ワイドプッシュアップで肩甲骨を寄せる際には、通常のプッシュアップのポジションになったら、肩甲骨の緊張を解き肩甲骨が寄るようにします。この状態を可動域のすべての中で維持するようにします。
ワイドプッシュアップでは、その他のエクササイズと同様に大胸筋に負荷が入っている中で実施する必要があります。そのためには、トップポジションで肘を伸ばし切らないようにする必要があります。
トップポジションで肘を伸ばし切ってしまうと、確かに大胸筋が外側から収縮させるようにすることができますが、前述した「肩甲骨を寄せる」ということを意識しづらくなります。そのため、ワイドプッシュアップではトップポジションにおいて肘をやや曲げておく必要があり、そのようにすることで大胸筋に常に負荷が入った状態になります。
ワイドプッシュアップを実施する際に、大胸筋に効率的に負荷を与えるためには上半身から下半身までを一直線にする必要があります。この様にすることで、大胸筋を稼働して動かす部分が増大することに伴いエクササイズ強度が増大するためです。
通常のプッシュアップと同様に、ワイドプッシュアップでは上半身と下半身の接続部である臀部が下方に落ちやすくなります。このようになってしまうと、大胸筋で動かす部分は上半身だけになってしまい、エクササイズ効率が低下するため注意が必要です。
特に、筋トレ初心者の場合には上半身から下半身までを一直線に保つのは非常に難しいことが多いです。そのため、鏡を見ながら実施したり、ビデオで撮影したり、第三者にアドバイスをもらって実施するのも有効です。
ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、種目に応じて大胸筋上部、下部の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中で大胸筋上部、下部の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。ワイドプッシュアップでは、身体を下げるときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐きます。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
インクラインバーベルベンチプレスは、10〜12回3セット実施します。
インクラインバーベルベンチプレスは、エクササイズ強度が非常に高い種目である一方で重量を扱いやすい種目でもあります。そのため、フォームが非常に崩れやすいことから、まずはフォームをしっかり身につけるために10〜12回3セット実施しましょう。
肘を伸ばし切らない。
バーベルを下げすぎない。
床に対して肘は常に垂直。
ベンチの角度が高いほど負荷は高まるが、三角筋前部にも刺激が入るようになる。
インクラインダンベルベンチプレスは、12〜15回3セット実施します。
インクラインダンベルベンチプレスは、インクラインバーベルベンチプレス以上に重量を扱いやすい種目であることから、フォームを崩しやすいという特徴があります。そのため、まずはフォームをしっかり身につけるために12〜15回3セット実施しましょう。
肘を伸ばし切らない。
ダンベルを下げすぎない。
ダンベルの軌道は弧を描くのではなく、直線。
床に対して肘は常に垂直。
ベンチの角度が高いほど負荷は高まるが、三角筋前部にも刺激が入るようになる。
インクラインダンベルフライは、10〜12回3セット実施します。
インクラインダンベルフライは、大胸筋上部を伸展させる種目であり、非常に効率的である一方で非常に怪我をしやすい種目です。そのため、まずはフォームをしっかり身につけるために10〜12回3セット実施しましょう。
肘を動かすのではなく大胸筋を動かすことを意識。
肘の角度は常に固定(肘を真っ直ぐにしない)。
ダンベルを下げすぎない。
ダンベルを戻しすぎない。
ディップスは、8〜10回3セット実施します。
ディップスは自重で実施するエクササイズではありますが、非常の負荷の高い種目です。そのため、特に筋トレ初心者の場合にはフォームをしっかり身につけるために8〜10回3セットを丁寧に実施しましょう。
下半身をできるだけ後方にもってくることで、自身の体重により大胸筋を伸展させることを意識する。
身体の動きをコントロールする。
肘を伸ばし切らない。
ディクラインバーベルベンチプレスは、10〜12回3セット実施します。
ディクラインバーベルベンチプレスは、非常に高重量を扱うことができる種目ですが、特に初心者のうちはフォームをしっかり身につける必要があります。そのため、まずは10〜12回3セット実施しましょう。
肘を伸ばし切らない。
バーベルを下げすぎない。
床に対して肘は常に垂直。
バーベルを頭側に持ってきすぎない。
ディクラインダンベルベンチプレスは、12〜15回3セット実施します。
ディクラインダンベルベンチプレスは、ディクラインバーベルベンチプレス以上に重量を扱いやすい種目であることから、フォームを崩しやすいという特徴があります。そのため、まずはフォームをしっかり身につけるために12〜15回3セット実施しましょう。
肘を伸ばし切らない。
ダンベルを下げすぎない。
ダンベルの軌道は弧を描くのではなく、直線。
床に対して肘は常に垂直。
ダンベルを頭側に持ってきすぎない。
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