ワイドプッシュアップは、大胸筋をメインに鍛えるプッシュアップです。今回は、女性向けのワイドプッシュアップのやり方及びコツについてご紹介します。
ワイドプッシュアップは英語で「wide pushup」で、「広いプッシュアップ」を意味する種目です。この「広い」は手幅の大きさを意味しており、手幅が大きければ「ワイドプッシュアップ」、狭ければ「ナロープッシュアップ」となります(一方、その間で実施するプッシュアップは、「ミドルプッシュアップ」とは呼ばず「プッシュアップ」と呼びます。)。
ワイドプッシュアップは、通常のプッシュアップに対して、より大胸筋を稼働して実施します。言い換えると、上腕三頭筋を使えなくなることから、エクササイズ強度は増大します。トレーニングを十分に実施している方ではないと大胸筋が発達しているケースは多くないため、ワイドプッシュアップを実施するためにはそもそも通常のプッシュアップを十分に実施できている必要があります。
以上から、ワイドプッシュアップは、トレーニング初心者レベルを脱した方向けの種目であると言えます。
バストとは、「bust」、つまり、「上半身」を意味しますが、女性の場合には「胸部」を指します。
大胸筋とバストの関係について、大胸筋は筋肉であるのに対して、バストを構成する胸は基本的には脂肪であることから、大胸筋を鍛えると胸が小さくなると考える人が多いですが、必ずしもそうではありません(ボディビルダーや運動を生業としている方の場合がこの例外に当てはまり、以上のような職業柄で高頻度かつ高強度のトレーニングを行うとバストが減少する可能性があります)。これは、大胸筋のつき方及び役割からそのように言えます。
大胸筋は、バストの下に存在しバストの土台となります。これにより、大胸筋を鍛えると、よりしっかりとしたバストの土台を作ることを期待でき、これにより、バストアップを期待することができます。また、大胸筋を刺激することでバストの形を整えることも期待できます。
デコルテラインとは、「decollete line」、つまり、「襟ぐりを大きくくったライン」を意味します(フランス語です)。この「襟ぐりを大きくくった」とは、あまりな馴染みないかもしれませんが、ワンピースなど腕、胸元、背中を大きく出して仕立てたものを指します(このように仕立てたワンピースは非常に格式高い装いとされています)。つまり、デコルテラインとは、首筋から肩周り、胸の上部のラインまでを指します。
一般的な日常生活の中ではデコルテラインが目立つ服というのはあまり着ることはありませんが、少し胸元が目立つカジュアルな服装や、デコルテのそもそもの語源となっている格調高い服装を着用する場合には、見栄えという観点で非常に重要な部位です。
大胸筋は、鎖骨と接続しているため、大胸筋を鍛えることで鎖骨周辺がスッキリとした状態になり、これにより、デコルテラインがきれいに見えるようになることが期待できます。
姿勢が悪くなっている状態は、猫背もしくは反り腰になっている状態であると考えられます。
猫背は、前屈みの姿勢を長時間取ることで骨盤が後傾することで発生します。特に、現代人は、長時間デスクワークをすることが多いことから、長時間前屈みの姿勢をとることで猫背になってしまっている可能性が挙げられます。
反り腰は、腹筋及び背筋のバランスが崩れ、前側にかかった重みを背中が側で支えるようにすることで骨盤が前傾することで発生します。特に、筋肉量が少ない女性に発生しやすいと言われています。
特に猫背になっている状態は、大胸筋が凝り固まっている状態であり、これにより胸を張る動作が実施困難になっています。このため、大胸筋を鍛えることで、大胸筋周りの血流を改善することにより、胸を張りやすい状態を作り、これにより猫背の改善効果を期待できます。
代謝の改善をする働きがある筋肉というと、大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉の印象がありますが、実は大胸筋を鍛えても代謝の改善を期待できます。大胸筋は、そこまで印象がないかもしれませんが、実は身体の中の筋肉の大きさを比較した時、比較的、大きい筋肉に分類されます。このため、大胸筋を鍛えることで代謝の改善効果を期待できます。
ただし、やはり、前述したような大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉と比較すると、筋肉の大きさは劣るため、大胸筋を鍛える際には代謝の改善というよりは「大胸筋の形を作る」ということを主目的にしてトレーニングを行った方がよいかもしれません。全身の代謝を上げて、ダイエット効果を期待したい方には、なんといってもスクワットがおすすめです。
上腕三頭筋は、いわゆる二の腕と呼ばれる場所にある筋肉なので、女性の場合は鍛えることで二の腕を引き締めることができます。
ここでよく心配されるのが「女性も男性と同じように、鍛えすぎると腕が太くなるのではないか」という点ですね。女性も戦略的に筋トレを実施すれば腕は太くなりますが、自宅でできる範囲で毎日実施しても、男性ほどの筋肉が大きくなることは考えにくいといえます。男性ホルモンと呼ばれる「テストステロン」が少ないためです。
万が一腕が太くなってきてしまったら、筋トレを止めて、筋肉量が徐々に落ちるのを待ちましょう。
肩が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。
以上のような肩こりが発生している際には、肩をもみほぐす、もしくはトレーニングを行うことで血流改善をすることが有効とされているケースが多いです。ワイドプッシュアップでは、副次的に僧帽筋や三角筋にも負荷を与えることができるため、肩周りの筋肉を揉みほぐし、肩こりの改善効果を期待できます。
ワイドプッシュアップでは、大胸筋、三角筋、上腕三頭筋を鍛えることができるため、その他の効果として以下を期待できます。
筋トレの幅が広がる。
身体の見栄え改善。
女性の筋トレ初心者は、ワイドプッシュアップを4〜6回3セット実施します。
ワイドプッシュアップは、通常あまり筋肉のない大胸筋をメインターゲットとして稼働するため、筋トレ初心者は中々実施することが難しいです。そのため、まずはフォームをしっかり確認するという意味でも、まずは4〜6回3セット実施しましょう。
女性でワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、6〜8回3セット実施します。
ワイドプッシュアップは慣れてくると、大胸筋の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、ワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、6〜8回3セット実施するようにしましょう。
女性の筋トレ上級者の場合、ワイドプッシュアップを実施する際には、その他の大胸筋を鍛える種目と組み合わせて実施します。
女性の筋トレ上級者がワイドプッシュアップを実施する場合には、本番種目として実施します。ウォーミングアップ種目として、膝付きワイドプッシュアップやハイプランクなどを実施するのがおすすめです。この場合、ワイドプッシュアップを12〜15回を実施し、膝付きワイドプッシュアップは15〜18回、ハイプランクは45〜60秒3セット実施しましょう。
ワイドプッシュアップでは、肩甲骨を常に寄せることで大胸筋を伸展した状態を作り出すことができ、効率的に大胸筋を刺激できます。
フリーウェイトやマシンを使った大胸筋を鍛えるエクササイズでは、肩甲骨を寄せることが必要とされています。これは、肩を痛めないだけではなく、大胸筋を伸展させるために必要なテクニックです。ワイドプッシュアップでも同様であり、やや難易度が高いですが肩甲骨を常に寄せる必要があります。
ワイドプッシュアップで肩甲骨を寄せる際には、通常のプッシュアップのポジションになったら、肩甲骨の緊張を解き肩甲骨が寄るようにします。この状態を可動域のすべての中で維持するようにします。
ワイドプッシュアップでは、その他のエクササイズと同様に大胸筋に負荷が入っている中で実施する必要があります。そのためには、トップポジションで肘を伸ばし切らないようにする必要があります。
トップポジションで肘を伸ばし切ってしまうと、確かに大胸筋が外側から収縮させるようにすることができますが、前述した「肩甲骨を寄せる」ということを意識しづらくなります。そのため、ワイドプッシュアップではトップポジションにおいて肘をやや曲げておく必要があり、そのようにすることで大胸筋に常に負荷が入った状態になります。
ワイドプッシュアップを実施する際に、大胸筋に効率的に負荷を与えるためには上半身から下半身までを一直線にする必要があります。この様にすることで、大胸筋を稼働して動かす部分が増大することに伴いエクササイズ強度が増大するためです。
通常のプッシュアップと同様に、ワイドプッシュアップでは上半身と下半身の接続部である臀部が下方に落ちやすくなります。このようになってしまうと、大胸筋で動かす部分は上半身だけになってしまい、エクササイズ効率が低下するため注意が必要です。
特に、筋トレ初心者の場合には上半身から下半身までを一直線に保つのは非常に難しいことが多いです。そのため、鏡を見ながら実施したり、ビデオで撮影したり、第三者にアドバイスをもらって実施するのも有効です。
ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、ワイドプッシュアップで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。ワイドプッシュアップでは、身体を下げるときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐きます。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
パームプレスは、ワイドプッシュアップと同様に大胸筋の内側を鍛えることができるためです。
パームプレスは、大胸筋の内側を鍛えることができる静的なエクササイズです。ワイドプッシュアップと比較すると、ワイドプッシュアップの方が負荷が高くなります。実際に実施する場合には、ワイドプッシュアップを実施した後にパームプレスを実施することで大胸筋を効率的に鍛えることを期待できます。
パームプレスは、各ポジションで10〜15秒キープした状態を3〜5セット実施します。
パームプレスは、自身の手のひらをできるだけ力を入れてお互いに押すことで負荷を入れるエクササイズであり、自身の力のかけ方によりますが、だいたい10〜15秒程度を目安に3セット実施するのがオススメです。
とにかく力を入れて手を押す。
左右にツイストさせる。
プレートを正面に持って実施する。
バーベル、ダンベルトレーニングの後に実施する。
ハイプランクは、ワイドプッシュアップと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。
ハイプランクは、大胸筋を鍛えることができるエクササイズです。ワイドプッシュアップと比較すると、ワイドプッシュアップの方が負荷が高くなります。実際に実施する場合には、ハイプランクを実施した後にワイドプッシュアップを実施することで大胸筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ハイプランクは、まずは30秒を3セット実施します。
ハイプランクは、腕立て伏せの身体を上げた状態を維持するエクササイズであり、腕に筋肉がある方は比較的簡単に実施することができますが、それとは逆に、腕に筋肉がないと実施するのが中々難しくなります。そのため、エクササイズ強度は、人によりますが、プランクと同じくらいであり、プランクと同様に30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
大胸筋にも刺激を与える場合には、手幅をやや広めに設定する。
お尻をやや上げるイメージ。
目線は正面。
膝付きワイドプッシュアップは、ワイドプッシュアップと同様に大胸筋を鍛えることができるためです。
膝付きワイドプッシュアップは、ワイドプッシュアップの基本となる種目です。ワイドプッシュアップを正確に実施するためにはまずは膝付きワイドプッシュアップをマスターする必要があります。実際に実施する場合には、膝付きワイドプッシュアップをウォーミングアップ種目として実施し、ワイドプッシュアップを本番種目として実施することで効率的に大胸筋を鍛えることを期待できます。
膝付きワイドプッシュアップは、12〜15回を3セット実施します。
ワイドプッシュアップは、比較的負荷の高いエクササイズです。このため、理想的には、つま先立ちで実施することが望ましいですが、負荷が高すぎる場合には膝付きで実施しても問題ありません。少しずつ負荷を増やしながら、最終的に12〜15回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。
実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
身体を下げるときはゆっくりにする。
上半身から下半身は常に一直線で実施する。
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