ラットプルダウンではやり方によっては僧帽筋を鍛えることも期待できます。今回は、僧帽筋を鍛えるラットプルダウンのやり方及びコツについてご紹介します。
ラットプルダウンは広背筋を鍛える種目ではありますが、やり方によっては僧帽筋を鍛えることもできます。
広背筋は、背中の大部分を覆う筋肉であり、背中で外側に広がる様についています。一方で、僧帽筋は上部から下部にかけてすぼまるようについている筋肉です。このため、広背筋に効かせるラットプルダウンでは肩甲骨が下方に内旋するような意識を持つのに対して、僧帽筋に効かせるラットプルダウンでは肩甲骨が後方に内旋するような意識を持って実施する必要があります。
以上の動作ですが、広背筋もしくは僧帽筋の筋肉のつき方をかなり深く理解する必要があります。そのため、筋トレ初心者の方にはあまりおすすめではなく、初心者の方は、まずは広背筋を効かせるオーソドックスなラットプルダウンをマスターするようにしましょう。
筋トレ初心者の僧帽筋を鍛えるラットプルダウンの目安の重量は30 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ラットプルダウンは、主に広背筋を鍛えるエクササイズであることから、筋トレ初心者でも比較的高重量を扱うことができます。以上では重量は30 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて12〜15回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
僧帽筋を鍛えるラットプルダウンに少し慣れた方のラットプルダウンの目安の重量は30〜40 kg程度です(自身の体重にもよります)。
僧帽筋を鍛えるラットプルダウンのターゲットである僧帽筋は比較的サイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では30〜40 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてラットプルダウンを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者の僧帽筋を鍛えるラットプルダウンの目安の重量は100 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、僧帽筋を鍛えるラットプルダウンを100 kg以上を扱って正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確なフォームで実施した場合」の重量です。ラットプルダウンマシンの引きが甘いと高重量を扱うことができるため、きちんと可動域を設定した状態で実施するのがおすすめです。
筋トレ初心者は、僧帽筋を鍛えるラットプルダウンを10〜12回3セット実施します。
僧帽筋を鍛えるラットプルダウンは、重量によっては負荷の高い種目ではありますが、僧帽筋が大きい部位であることか筋トレ初心者でも回数を実施することができます。ただし、フォームをしっかり確認するという意味で、まずは10〜12回3セット実施しましょう。
僧帽筋を鍛えるラットプルダウンに少し慣れてきたら、12〜15回3セット実施します。
僧帽筋を鍛えるラットプルダウンは慣れてくると、僧帽筋の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、ラットプルダウンに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、12〜15回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、僧帽筋を鍛えるラットプルダウンを実施する際には、その他の僧帽筋を鍛える種目と組み合わせて実施します。
上級者が僧帽筋を鍛えるラットプルダウンを実施する場合には、ウォーミングアップ種目として実施します。本番種目として、シュラッグ、デッドリフトなどの重量を扱う種目を実施するのがおすすめです。この場合、ラットプルダウンを12〜15回を実施し、シュラッグ、デッドリフトを10〜12回3セット実施しましょう。
ラットプルダウンで重要なテクニックは肩甲骨を寄せることですが、これを意識することは容易ではありません。
これは、そもそも肩甲骨が目に見えない部分であることから、筋トレに慣れている方でないとそれを動かすことを意識するのは困難であるためです。このことから、背中に意識置かなくても肩甲骨が寄った状態が達成される必要があり、そのためには、肘をしっかりと引くことを意識するのがおすすめです。
肘をしっかり引くと、肩甲骨がしっかりと寄った状態になることから、肩甲骨を寄せることを意識しなくても、肩甲骨が寄った状態を実現可能です。
ラットプルダウンで僧帽筋に刺激を与えるためには、肘の引き方及び引く位置を工夫する必要があります。
冒頭でも述べた通り、通常の広背筋に効かせるラットプルダウンでは大胸筋上部にアタッチメントを引き、肘を斜め下方向になるように引きます。これに対して、僧帽筋に効かせる場合には、通常のラットプルダウンよりも上方にアタッチメントを引き、かつ、通常よりも背中に対して垂直に引く様にします(垂直に引きすぎると三角筋後部に刺激が入るため注意が必要です)。
ただし、以上のテクニックはラットプルダウンに慣れていないと実践するのはかなり難しいため、まずは通常のラットプルダウンをマスターしましょう。
ラットプルダウンに限らず、背中を鍛えるほとんどの種目において、手首を掌屈させることは非常に重要です。
背中を鍛える種目は、手に握った重りやマシンを引くことで背中に負荷を与えます。このため、背中を鍛えるためにはどうしても握力を関与させる必要がありますが、背中を鍛えるためには握力をあまり関与させない必要があります。そのためには、握力を使わずに重量やマシンを把持する必要があり、この方法として手首を掌屈、つまり、手のひらを手首側に曲げることが有効です。
また、手首を掌屈させると、肩甲骨を寄せることを意識しやすくなるため、後述するマインドマッスルコネクションの観点からもおすすめです。
ラットプルダウンでは、握力を使わないで肩甲骨を寄せる必要があり、そのためには小指と薬指に意識を置くのが有効です。
前述した通り、ラットプルダウンでは、手で握ったラットプルダウンマシンのアタッチメントを介して背中に負荷を与える種目であるため、どうしても腕の筋肉の部位に対する負荷が大きくなります。このとき、親指、人差し指で握るようにしてしまうと、上腕二頭筋に対する刺激が大きくなり、背中に負荷が入りにくくなります。
これを防ぐために、ラットプルダウンでは小指と薬指で引く様に意識するようにしましょう。
ラットプルダウンに限らず、背中を鍛えるほとんどの種目において、胸を張ることが重要です。
ラットプルダウンで胸を張ることで背中が海老反りになったような状態になり、この状態で肘をしっかりと引き込むことで広背筋がしっかりと収縮した状態を実現可能です。これにより、広背筋の収縮をより意識することを期待でき、ラットプルダウンの効果を高めることを期待できます。
ラットプルダウンでは重量を扱うことができますが、重量を扱うにつれて上半身を煽りがちになり、広背筋に対する負荷が低減します。
上半身を煽るということは、上半身を曲げる力を使ってラットプルダウンのマシンを引くということになり、広背筋の力を使っていません。そのため、ラットプルダウンでは、広背筋の力を使って実施できる範囲内で重量を設定し、上半身を煽りすぎないようにして実施するようにしましょう。
ラットプルダウンでは、他の種目と同様に、可動域をしっかりと設定することが重要です。特にラットプルダウンで重量設定が重すぎると、可動域が狭くなることに加えて、怪我をしやすくなります。
基本的に、肘を引き切る必要があり、これは高重量を扱いすぎると設定することが困難になります。また、高重量を扱うと、肘にかかる負担が増大し、肘を怪我することもあります。
だからこそ、自身が扱いきれる重量で実施することが必要で、前述したように12〜15回を3セットぎりぎりできる重量設定にしましょう。
ラットプルダウンに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、ターゲット部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのターゲット部位の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ラットプルダウンに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ラットプルダウンに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ラットプルダウンでは、アタッチメントを引くときに息を吐き、アタッチメントを戻すときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ダンベルシュラッグは、まずは12〜15回を3セット実施します。
ダンベルシュラッグは、比較的重量を扱える種目であるものの、基本的にはやや軽い重量で実施することが重要です。それに伴って、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施するようにしましょう。
姿勢をわざと悪くする。
ダンベルの持ち方。
重量設定。
バーベルシュラッグは、10〜12回を3セット実施します。
バーベルフロントシュラッグは、重量を扱いやすい種目ですが、ダンベルシュラッグと同様に可動域をしっかりと設定することが重要です。そのため、回数をしっかり実施して負荷を与えることが重要であり、一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりもやや少ない10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
姿勢をわざと悪くする。このため、腰に負担がかかりやすくなるため注意する。
僧帽筋を引き切り、収縮感を意識する。
重量設定を重過ぎないようにする。
デッドリフトは、8〜10回を3セット実施します。
デッドリフトは、重量を扱う種目であり、回数よりも重量を意識して実施する必要があります。そのため、実施する回数としては一般的な筋トレで標準的な回数とされているものよりもやや少ない8〜10回を3セット実施するようにしましょう。
戻しすぎないようにする。
下げすぎないようにする。
重量設定を重過ぎないようにする。
目線は正面。
背中はとにかくずっと張った状態を維持する。
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