ヒップスラストは、実施していると効果がないと感じることが比較的多々あります。今回はヒップスラストで効果がないと感じる理由とその対策についてご紹介します。
ヒップスラストとは英語で「hip thrust」で、「お尻の押し出し」を意味する種目です。ヒップスラストは、仰向けになって腰を動かすことでお尻と突き出し、戻すことを繰り返すことからこの名前がついたと考えら得ます。
ヒップスラストは、大臀筋を鍛えるための種目であり、大臀筋がかなり大きい部位であることから女性や筋トレ初心者でもかなりの高重量を扱うことができます。このため、特に女性に人気の種目である一方で、実はヒップスラストは重量を扱う種目ではないという特徴があります。このため、実際に実施する際には、重量設定にかなり気をつけて実施する必要があります。
ヒップスラストを実施する際に、重量設定が重すぎると効果がでないと感じることがあります。
近年のSNSの発達により、ヒップスラストは女性でもとんでもない重量で実施していることがありますが、ヒップスラストで高重量を扱いすぎると可動域が狭くなり、効果が出ないと感じることがあります。
この場合、ヒップスラストの重量設定を減らすようにします。基本的には、しっかりと可動域を設定でき、大臀筋、ハムストリングスを意識できる重量で実施するようにしましょう。
ヒップスラストを実施する際に、可動域が小さいと効果がでないと感じることがあります。
ヒップスラストでは、可動域をしっかりと設定することで負荷を与えることができます。このため、前述したように重量が重すぎる場合には可動域を広く取れないこと、また、そもそも、そこまで重量を扱っていなくてもトップポジションの設定が甘いと効果が出ないと感じることがあります。
この場合、ヒップスラストでしっかりと可動域を設定するようにします。そのために、適切な重量設定、トップポジションの設定をしっかり意識するようにしましょう。
ヒップスラストを実施する際に、脚の設定が悪いと効果がでないと感じることがあります。
ヒップスラストでは、脚の配置する位置によって負荷が変わり、身体の近くだと大腿四頭筋、身体から遠くだとハムストリングス、その間だと大臀筋に負荷が入るようになります。つまり、自身の目的に応じた脚の配置になっていないとヒップスラストで効果が出ないと感じることがあります。
この場合、ヒップスラストで自分が鍛えたい部位をはっきりさせます。それに応じて、脚を置く位置を変化させましょう。
大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。
お尻には、大臀筋の他に、中臀筋と小臀筋という筋肉があります。中臀筋はお尻の外側についている筋肉、小臀筋はお尻の中で最もインナー部分に存在する筋肉です。ただ、両者ともに大臀筋と比較すると、筋肉としては小さいため、お尻を効果的に鍛えたいならば大臀筋を鍛えると効率的です。
大臀筋はヒップスラストのメインターゲット部位の一つです。
ハムストリングスとは、太ももの裏側に位置する3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称です。
「ハムストリング」と表記される場合もありますが、以上のように3つの筋肉で構成されていることを考慮して、ここでは「ハムストリングス」と呼称します。どちらで呼称しても問題ありません。 ハムストリングスは、太ももの前側にある大腿四頭筋と比較するとサイズは小さくなりますが、それでも筋肉の大きさとしては身体の中でも非常に大きい部類に分類することができます。
ハムストリングスはヒップスラストのメインターゲット部位の一つです。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。
脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持する役割を果たしています。このため、脊柱起立筋は身体が横になっている状態以外、常に働いている筋肉になります。
脊柱起立筋はヒップスラストのサブターゲット部位の一つです。
腹横筋は、横腹についている筋肉であり、腹筋では最も深層にある筋肉です。このため、腹横筋は筋肉の種類としてはインナーマッスルに分類されます。
腹横筋は、コルセット筋とも呼ばれます。コルセットとは、ウエスト周りを締め付けることでウエストラインを矯正する器具であり、腹横筋もコルセットと同様にウエストを締め付けることでウエストラインをタイトに保つ役割があります。また、コルセットの役割を果たしていることから推察できる通り腰痛を予防する役割もあります。
腹横筋はヒップスラストのサブターゲット部位の一つです。
大腿四頭筋は、太ももの前面についている筋肉であり、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)から構成されています。中間広筋は深層にあり、大腿直筋がかぶさっています。
大腿直筋は、大腿四頭筋の表層の中央部に相当し、膝関節の伸展、股関節の屈曲に寄与します。大腿直筋が発達していると、大腿四頭筋の凹凸感がはっきりするようになることが期待できます。
外側広筋は、大腿四頭筋の外側に相当し、膝関節の伸展に寄与してます。大腿四頭筋の見た目に対して重要な役割を果たしており、外側広筋を鍛えていると正面から見た時の太ももの太さが際立つことが期待できます。
中間広筋は、大腿四頭筋の深層の中央部に相当し、膝関節の伸展に寄与します。中間広筋は、深層にあるため、外から確認することが難しい部位ですが、下半身を安定化させるためには重要な筋肉です。
内側広筋は、大腿四頭筋の内側に相当し、膝関節の伸展に寄与します。内側広筋を鍛えることで膝の保護や安定性に寄与することが期待できます。
大腿四頭筋はヒップスラストのサブターゲット部位の一つです。
筋トレ初心者のヒップスラストの目安の重量は20〜30 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ヒップスラストは身体の上にバーベルを設定することから、筋トレ初心者でも比較的高重量を扱うことができます。以上では重量は20〜30 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて10〜12回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
ヒップスラストに少し慣れた方のヒップスラストの目安の重量は30〜40 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ヒップスラストで鍛えるお尻の筋肉はサイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では30〜40 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてヒップスラストを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のヒップスラストの目安の重量は120 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ヒップスラストで120 kg以上を正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、正確な可動域の中で実施しましょう。
初心者は、ヒップスラストを8〜10回3セット実施します。
ヒップスラストは、通常のヒップリフトに対して、負荷の高いエクササイズです。そのため、一般的な筋トレにおける標準的な回数よりも少ない8〜10回3セットを目標に実施する様にしましょう。
ヒップスラストに少し慣れてきたら、ヒップスラストを10〜12回3セット実施します。
ヒップスラストは慣れてくると、大臀筋、ハムストリングスの発達により8〜10回3セットでは負荷が足りなくなることを感じます。そのため、初心者のときよりも回数をやや増やして、10〜12回3セットを実施するようにしましょう。
上級者の場合、その他の大臀筋、ハムストリングスを鍛える種目と組み合わせて実施しましょう。
基本的に、ヒップスラストは大臀筋を鍛える種目の中ではエクササイズ強度が高い種目ですが、他の大臀筋を鍛えることができる種目と一緒に実施するとより負荷を高めることが期待できます。実施する際には、何れの種目でも12〜15回3セットを実施するようにしましょう。
ヒップスラストは、お尻を上げようとする意識が働くほど、つま先で床を押し切ろうとする意識が働きがちですが、むしろ、脚裏をしっかりと使って上げた方が効果的です。
つま先で床を押し切ってしまうと、ヒップスラストのターゲットである臀部及びハムストリングスではなく、ふくらはぎに負荷が入ってしまいます、そのため、これらの部位にしっかりと刺激を入れるためには脚裏全体で床を押し切ることが重要であり、特に、かかとの方に意識を持って押すとより効果的なエクササイズになります。
ヒップスラストでは、通常のヒップリフトと同様に、脚の置く位置によって下半身に負荷の入る部位が異なります。
ヒップスラストは、脚の置く位置によってどこに刺激が入るのかが変わり、身体の近くだと大腿四頭筋、身体から遠くだとハムストリングス、その間だと大臀筋になります。そのため、漫然に脚の置く位置を決めるのではなく、自身の意図をしっかりと持って脚の置く位置を決めるようにしましょう。
片脚で実施するヒップスラストは、シングルレッグヒップスラストといいます。シングルレッグヒップスラストは、ヒップスラストを行う際に予め膝の角度を90度にして片足を挙げた状態を作って実施するエクササイズです。
シングルレッグヒップスラストは、自重で実施することが多く、体重を片足で支えることから自重でも負荷を高めてエクササイズを実施できるというメリットがあります。
もちろん、バーベルを使って実施しても問題ありませんが、片脚で身体を支えていることからバランスが非常に崩れやすくなってしまっていることには留意しましょう。
ヒップスラストでは、他の種目と同様に、可動域をしっかりと設定することが重要です。特にヒップスラストで重量設定が重すぎると、可動域が狭くなることに加えて、怪我をしやすくなります。
一般的に、ヒップスラストは高重量を扱える種目であるとされており、女性でも場合によっては100 kg近くの重量を扱って実施しているケースがあります。ただ、この場合には、可動域を正確に設定できていない可能性がかなり高いです。
ヒップスラストは、実は重量を扱う種目ではなく、限定的な重量で可動域をしっかりと使うことが非常に重要です。
ヒップスラストに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、大臀筋、ハムストリングスの動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大臀筋、ハムストリングスの動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ヒップスラストに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ヒップスラストに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ヒップスラストでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ヒップリフトは、12〜15回を3セット実施します。
ヒップリフトはグルートブリッジをより動的なエクササイズにしたものですが、負荷としてはそこまで高くありません。このため、一般的なトレーニングでの推奨回数である12〜15回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
トップポジションで静止して大臀筋の収縮を意識する。
お尻をゆっくり下げる。
お尻を上げる際に息を吐いて、お尻を下げるときに息を吸う。
グルートブリッジの後に実施する。
ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
身体を下げすぎない。
背中をできるだけ倒さない。
臀部の動きを意識する。
ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
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