バックランジは大臀筋を鍛えることができる種目です。今回は、大臀筋を効率的に鍛えるためのバックランジについてご紹介します。
バックランジは、片足を後方に配置して身体を下げるため、大臀筋が伸びた状態でエクササイズを行うことになり、自然と大臀筋を鍛えることを期待できます。
つまり、バックランジは、通常通り実施していれば大臀筋に負荷を与えることを期待できますが、後述するようにやり方を工夫すればより効率的に大臀筋に負荷を与えることを期待できます。
大臀筋を鍛えるエクササイズというと、スクワットなどの方が有名ではありますが、バックランジは片足に重心が乗ったような状態で実施することから、より効率的に大臀筋を鍛えることができます。
初心者は、バックランジを片足10〜12回3セット実施します。
バックランジは脚を後ろに出して実施するためバランスを取り難く、これにより、エクササイズ強度は高いものに分類することができます。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定よりもやや少ない回数である10〜12回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
バックランジに少し慣れてきたら、バックランジを片足12〜15回3セット実施します。
バックランジは慣れてくると、筋肉が発達してくることも理由ですが、実施しているときにバランスをとりやすくなってきます。そのため、回数をやや増やしてもバランスが崩れにくくなるため、初心者のときよりも回数をやや増やして、片足12〜15回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、バックランジを実施する際には、ダンベル、バーベル、スミスマシンなどで負荷を高めて実施するようにしましょう。
具体的には、自重でバックランジを片足12〜15回3セット実施することをウォーミングアップのセットとし、本番種目として、ダンベル、バーベル、スミスマシンなどで荷重してエクササイズを行います。ここで、これらの負荷が高すぎるとフォームが崩れる原因となるため重量設定はシビアに行うようにしましょう。
バックランジは教科書的には、上半身は床に対して垂直に設定するのが望ましいとされています。これは、床に垂直に設定することで、身体を下げたときに上半身の体重が下半身に乗りやすくなり、負荷が高まるためです。
一方で、大臀筋により負荷を乗せたい場合には、上半身をやや倒すことがおすすめです。このようにすることで、大臀筋が伸びたような状態になるためです。
ただ、これはあくまでも教科書的なバックランジをマスターしている場合です。以上のやり方は、上半身を倒すことで腰にどうしても負担がかかってしまうため、筋トレ初心者の方にはおすすめできません。
また、後述するように、ダンベルを用いて実施する場合には、バランスを取るという理由からも上半身を倒して実施するのがおすすめです。
バックランジは非常に負荷の高いエクササイズですが、やり方によっては負荷が抜けやすくなります。
この理由の1つとしてトップポジションの設定にあります。バックランジでは、身体を上げる際に、大腿四頭筋を少しでも楽にするために膝を伸び切った状態を作りがちですが、このようにすると大腿四頭筋へ負荷が全く入っておらず、トレーニング的にはNGです。
トレーニングの基本は、「動作中すべての可動域で筋肉に負荷を与え続ける」という点であるため、これに倣うならばバックランジにおけるトップポジションでも負荷が入るように設定する必要があります。すなわち、膝は伸ばし切るのではなくやや曲げた状態をトップポジションに設定し、その場所で切り返すことが重要です。
バックランジに限らず、エクササイズのほぼ全ては、負荷の抜けない範囲で可動域を大きく設定することで負荷を高めることが期待できます。バックランジでは、踏み込んでいない方の脚に重心を乗せて、その状態で身体を下げるようにして実施し、このときにできるだけ身体を深く下げることで負荷を高めることが期待できます。これは、自重で実施する際はもちろんですが、ダンベルやバーベル、スミスマシンで加重して実施する場合に特に重要になり、しっかりと可動域を取れる範囲内で荷重することが重要です。
一方で、身体を深く下げると、重心が乗っていない方の脚の膝が床に付く可能性が出てきます。膝が床についてしまうと、負荷が逃げる原因になるだけではなく、勢いよくぶつけてしまうと怪我の原因にもなるため注意が必要です。
前述した通り、バックランジの負荷を高めるために可動域を大きく設定することが必要です。そのためには、脚を大きく後方に踏み出すことでそれが達成されますが、前に踏み出しすぎると戻るのも大変になり、最悪戻れなくなることもあります。
戻れない場合には、一度、ランジの状態を解き、後ろの脚を持ってきてニュートラル状態になってから再びランジを実施する必要があるため、バックランジの負荷が一旦完全に0になります。エクササイズの基本として、運動中には常に負荷が入っていることが前提であるため、一旦ニュートラルの状態になることは望ましくなく、そのためには、脚を大きく踏み出しすぎることも推奨されません。
そのため、後ろにある脚の膝が床に接触するかしないかのポジションを予め決めて足を前に出しすぎないようにする必要があります。
バックランジを実施する上で、手の位置は負荷の大きさを決定する上で意外と重要です。バックランジを実施するときの手の位置は
胸の前で両手を握る
腰に手を当てる
前に出す太ももの上に置く
ぶらーんと手を下ろす
など、いくつかのパターンが見受けられますが、この中で「太ももの上に置く」ということは推奨されません。その理由として、太ももの上に置いた場合、置いた手が衝立のようになり、上半身の荷重を支えてしまうためです。バックランジはあくまでも上半身の重量を太ももで受け切る必要があり、そのためには前に出した太ももの上に手を置いてしまうのは逆効果です。そのため、基本的には、バックランジを実施する際の手は、「太ももの上」以外の場所に設定するようにしましょう。
ただし、バックランジを実施している際に、限界を迎えてからのフォースドレップ (補助をしながら限界を超えてエクササイズを行うこと)を実施する場合にはこの限りではなく、手は太ももの前に置いても問題ありません。
バックランジは、ボトムポジジョンで最も負荷が高くなるエクササイズであり、ボトムポジションでしっかり体重を受け切ることで最大の効果を発揮することができます。キツくなっても一瞬ボトムポジションで静止することを意識することが重要です。
トレーニングにおける「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。スクワットではしゃがんだ状態です。多くは筋肉がピンっと張った状態です。反対に「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。その間を「ミッドレンジ」といいます。
また、ボトムポジションは動作を切り返す点でもあり、負荷が抜けやすいところであるとも言われています。そのため、ボトムポジションは負荷が抜けないように丁寧に意識する必要があることから、「ボトムポジションで一瞬静止する」というテクニックは非常に有効です。
バックランジは、ダンベル、バーベル、スミスマシンを併用して実施することができます。負荷の大きさは、負荷の小さいものからスミスマシンバックランジ、ダンベルバックランジ、バーベルバックランジです。
スミスマシンバックランジは、軌道が固定化されているため、非常に負荷をかけやすいのが特徴です。「スミスマシンを使用する」ということ自体は比較的障壁が高いですが、エクササイズ効率は非常に高く、おすすめの種目です。
ダンベルバックランジは、両手でダンベルを持ってランジを行うため、比較的バランスを取りやすいのが特徴です。ただし、スミスマシンとは異なり軌道が固定化されているわけではないため、フォームが崩れやすく、高重量を扱いすぎないことがポイントです。
バーベルバックランジは、バーベルを背負って実施するランジであり、バランスを取り辛く、負荷が大きいという点が特徴です。バーベルバックランジは、そのエクササイズの特性上、スクワットを実施するパワーラックやスクワットラックで非常に実施し辛く、かといって、ウォーキングランジで扱うにも安全面で課題があります。
以上から、基本的には、ランジで負荷を高めようとした場合には、ダンベル、スミスマシンを使用するのがおすすめです。
バックランジに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、バックランジで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
バックランジに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
バックランジに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。バックランジでは、身体を下げるときに息を吐き、戻すときに息を吸います。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
身体を下げすぎない。
背中をできるだけ倒さない。
臀部の動きを意識する。
ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
フロントランジは、10〜12回3セット実施します。
脚を前、もしくは後ろに出して実施するためバランスを取り難く、これにより、エクササイズ強度は高いものに分類することができます。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定よりもやや少ない回数である10〜12回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
上半身を曲げない。
脚を前に出し過ぎない。
ボトムポジションで体重を受け切る。
ボトムポジションで膝を付けない。
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