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バックランジとフロントランジの違い。フォームと効果を比較

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バックランジとフロントランジの違い。フォームと効果を比較

バックランジとフロントランジは、ボトムポジションの姿勢は同一ですが、それに至るまでの動作が異なります。今回は、バックランジとフロントランジの違いについてご紹介します。

バックランジ フロントランジ 違い

フォーム

バックランジは英語で「back lunge」で「後方への突進」を指します。一方、フロントランジは英語で「front lunge」で「前方への突進」を指します。このことから、バックランジとフロントランジは非常に良く似てはいますが、「実施する向き」が異なることが推察できます。

バックランジは、足を後ろに出して、足を出していない方の足が前に出ているような状態になります。

フロントランジは、足を前に出して、足が前に出ているような状態になります。

効果

バックランジとフロントランジは、基本的にはほぼ同様の部位を鍛えることができますが、バックランジでの方が臀部に入る刺激がやや大きくなります。

バックランジでは、足を後方に動かすため、フロントランジと比較して重心がやや後方にあるという特徴があります。このため、フロントランジと比較して、身体の後ろ側にある臀部に刺激が入りやすいです。ただし、フロントランジでも、臀部を鍛えることができるという点には留意し、あくまでも、負荷の入り方がやや異なるということを意識しましょう。

難度

バックランジとフロントランジのエクササイズ難易度はほぼ同様であると考えて問題ありません。

それでも両者を区別するならば、フロントランジでは足を見える範囲に置いて実施できるという点でバックランジよりもやや難易度が低く、一方でバックランジは足が見えない範囲に置いて実施できるという点でやや難易度が高いと言えるでしょう。

バックランジのやり方


  1. 上半身を床に対して垂直に設定する。
  2. 足を真っ直ぐ後ろに出す。
  3. 後ろに出した足を戻して元に戻る。
  4. 3から4を繰り返す。

フロントランジのやり方


  1. 上半身を床に対して垂直に設定する。
  2. 足を真っ直ぐ前に出す。
  3. 前に出した足を戻して元に戻る。
  4. 3から4を繰り返す。

バックランジ、フロントランジの効果

メリハリのある太もも

「メリハリのある太もも」とは「引き締まった太もも」のことです。バックランジ、フロントランジにより太ももの前部と裏側を刺激するので、これらの部位に積極的に筋肉をつけることができ、引き締まった太ももを実現できます。

「バックランジ、フロントランジなどの脚を鍛える種目は脚が太くなるからやりたくない」という女性がたまにいらっしゃいますが、女性が自重で実施する範疇で劇的に脚が太くなるということは考えにくいです。筋肉痛が強い=太くなる、ではないので、そこまで心配しすぎる必要ありません。

そもそも女性は、男性と比較して筋肉の発達に影響するテストステロン値が低く、男性でも太ももを大きくするためには高重量のバックランジ、フロントランジが必要ですので、あまり心配しないでよいでしょう。

ヒップラインの引き上げ

近年の美尻ブームにより多くのマシンや種目が紹介されていますが、お尻のラインを作る上でフロントランジは効果的です。

この理由としてはバックランジ、フロントランジ自体が太ももを稼働させて実施する種目であることから、運動経験がない人でも高負荷のトレーニングを実施しやすいためです。

バックランジ、フロントランジでも、もちろん臀部(お尻)に刺激を入れることは可能ですが、例えばワイドスクワットやブルガリアンスクワットを実施することで、より効果的に臀部に刺激を入れることができます。

代謝アップによるダイエット効果

バックランジ、フロントランジは筋肉を鍛えるのに有効な種目ですが、それと同時にダイエット効果も見込むことができます。

その理由は、身体の中の筋肉の約60〜70%が下半身に集中しており、下半身の中でも大腿四頭筋、臀部(お尻)が占める筋肉の割合が非常に高いためです。スクワットは、これらの筋肉を鍛えることができ、これにより代謝が向上します。脂肪が燃焼するためには代謝の向上が不可欠なので、ダイエット効果が見込めます。

ただし、バックランジ、フロントランジは代謝向上を促すことまでしかできません。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動と、食事制限もダイエットをする上では必須です。

冷え性、むくみの改善

冷え性やむくみの原因は、前述したように血流が悪くなっていることです。

特に、ハムストリングスや内転筋は大腿四頭筋と比較して、日常的にはそこまで意識して使われる頻度が高い筋肉ではないことから、凝り易く、これにより血流が悪くなっている可能性が高いです。

特に、内転筋の場合には、脚の付け根である鼠蹊部(そけいぶ)にリンパ節があります。このリンパ節は、リンパが流れるリンパ管が集まっている部分であり、フィルタのような役割をしています。リンパは、筋肉を動かすことで流れることが促され、リンパの流れが悪くなると老廃物質が流れなくなることでむくみ、冷え性の原因になります。

そのため、内転筋、ハムストリングスを鍛えることで血流が良くなり、冷え性やむくみの改善を期待できます。

その他の効果

バックランジ、フロントランジは、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋、腸腰筋、内転筋を鍛えることができるため、その他の効果として以下を期待できます。

  • 運動パフォーマンスの向上、歩行能力の改善。

  • 腰痛の軽減。

  • 膝の怪我の予防。

  • O脚改善。

  • スタイル改善。

  • 姿勢改善。

  • 便秘解消。

  • ぽっこりお腹を改善。

バックランジ,フロントランジで効果を高めるコツ

上半身の床に対する角度を意識

バックランジ、フロントランジを自重で実施する場合には、上半身は床に対して垂直に設定するのが望ましいとされています。これは、床に垂直に設定することで、身体を下げたときに上半身の体重が下半身に乗りやすくなり、負荷が高まるためです。 一方で、ダンベルを用いて実施する場合には、必ずしも床に対して上半身を垂直に設定する必要はありません。これは、ダンベルを持つとバランスが非常に崩れやすくなることが原因の一つです。ダンベルを用いてバックランジ、フロントランジを実施する場合には、高重量を扱うことが目的とされているケースが多く、そのためには上半身をやや前傾にすることでバランスを取り、これにより、ランジの効果を高めることが期待できます。

また、ダンベルを持った状態で前傾姿勢になると、ダンベルに身体が引っ張られるような状態になり、大臀筋、ハムストリングスが伸びた状態になります。これにより、これらの筋肉をより効率よく鍛えることが期待できます。ただし、前傾姿勢で実施する場合には、腰にどうしても負担がかかることには留意しましょう。

トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)

バックランジ、フロントランジは非常に負荷の高いエクササイズですが、やり方によっては負荷が抜けやすくなります。

この理由の1つとしてトップポジションの設定にあります。バックランジ、フロントランジでは、身体を上げる際に、大腿四頭筋を少しでも楽にするために膝を伸び切った状態を作りがちですが、このようにすると大腿四頭筋へ負荷が全く入っておらず、トレーニング的にはNGです。

トレーニングの基本は、「動作中すべての可動域で筋肉に負荷を与え続ける」という点であるため、これに倣うならばバックランジ、フロントランジにおけるトップポジションでも負荷が入るように設定する必要があります。すなわち、膝は伸ばし切るのではなくやや曲げた状態をトップポジションに設定し、その場所で切り返すことが重要です。

身体を床に対してぎりぎりまで下げる

バックランジ、フロントランジに限らず、エクササイズのほぼ全ては、負荷の抜けない範囲で可動域を大きく設定することで負荷を高めることが期待できます。バックランジ、フロントランジでは、踏み込んだ脚に重心を乗せて、その状態で身体を下げるようにして実施し、このときにできるだけ身体を深く下げることで負荷を高めることが期待できます。これは、自重で実施する際はもちろんですが、ダンベルやバーベル、スミスマシンで加重して実施する場合に特に重要になり、しっかりと可動域を取れる範囲内で荷重することが重要です。 一方で、身体を深く下げると、重心が乗っていない方の脚の膝が床に付く可能性が出てきます。膝が床についてしまうと、負荷が逃げる原因になるだけではなく、勢いよくぶつけてしまうと怪我の原因にもなるため注意が必要です。

脚を大きく出しすぎない

前述した通り、バックランジ、フロントランジの負荷を高めるために可動域を大きく設定することが必要です。そのためには、脚を大きく前に踏み出すことでそれが達成されますが、前に踏み出しすぎると戻るのも大変になり、最悪戻れなくなることもあります。

戻れない場合には、一度、ランジの状態を解き、ニュートラル状態になってから再びランジを実施する必要があるため、ランジの負荷が一旦完全に0になります。

エクササイズの基本として、運動中には常に負荷が入っていることが前提であるため、一旦ニュートラルの状態になることは望ましくなく、そのためには、脚を大きく踏み出しすぎることも推奨されません。そのため、後ろにある脚の膝が床に接触するかしないかのポジションを予め決めて足を前に出しすぎないようにする必要があります。

手は太ももの上に乗せない

バックランジ、フロントランジを実施する上で、手の位置は負荷の大きさを決定する上で意外と重要です。バックランジ、フロントランジを実施するときの手の位置は

  • 胸の前で両手を握る

  • 腰に手を当てる

  • 前に出す太ももの上に置く

  • ぶらーんと手を下ろす

など、いくつかのパターンが見受けられますが、この中で「太ももの上に置く」ということは推奨されません。その理由として、太ももの上に置いた場合、置いた手が衝立のようになり、上半身の荷重を支えてしまうためです。バックランジ、フロントランジはあくまでも上半身の重量を太ももで受け切る必要があり、そのためには前に出した太ももの上に手を置いてしまうのは逆効果です。そのため、基本的には、バックランジ、フロントランジを実施する際の手は、「太ももの上」以外の場所に設定するようにしましょう。 ただし、バックランジ、フロントランジを実施している際に、限界を迎えてからのフォースドレップ (補助をしながら限界を超えてエクササイズを行うこと)を実施する場合にはこの限りではなく、手は太ももの前に置いても問題ありません。

ボトムポジジョンで静止する

バックランジ、フロントランジは、ボトムポジジョンで最も負荷が高くなるエクササイズであり、ボトムポジションでしっかり体重を受け切ることで最大の効果を発揮することができます。キツくなっても一瞬ボトムポジションで静止することを意識することが重要です。

トレーニングにおける「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。スクワットではしゃがんだ状態です。多くは筋肉がピンっと張った状態です。反対に「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。その間を「ミッドレンジ」と言います。

また、ボトムポジションは動作を切り返す点でもあり、負荷が抜けやすいところであるとも言われています。そのため、ボトムポジションは負荷が抜けないように丁寧に意識する必要があることから、「ボトムポジションで一瞬静止する」というテクニックは非常に有効です。

ダンベル、バーベル、スミスマシンで負荷

バックランジ、フロントランジは、ダンベル、バーベル、スミスマシンを併用して実施することができます。負荷の大きさは、負荷の小さいものからスミスマシンランジ、ダンベルランジ、バーベルランジです。 スミスマシンランジは、軌道が固定化されているため、非常に負荷をかけやすいのが特徴です。「スミスマシンを使用する」ということ自体は比較的障壁が高いですが、エクササイズ効率は非常に高く、おすすめの種目です。 ダンベルランジは、両手でダンベルを持ってランジを行うため、比較的バランスを取りやすいのが特徴です。ただし、スミスマシンとは異なり軌道が固定化されているわけではないため、フォームが崩れやすく、高重量を扱いすぎないことがポイントです。 バーベルランジは、バーベルを背負って実施するランジであり、バランスを取り辛く、負荷が大きいという点が特徴です。バーベルランジは、そのエクササイズの特性上、スクワットを実施するパワーラックやスクワットラックで非常に実施し辛く、かといって、ウォーキングランジで扱うにも安全面で課題があります。 以上から、基本的には、バックランジ、フロントランジで負荷を高めようとした場合には、ダンベル、スミスマシンを使用するのがおすすめです。

戻した脚を膝上げするようにする(バックランジのみ)

バックランジがフロントランジで最も大きく異なるのは、やり方によっては後方の脚を振り上げることができるという点です。

このようにバックランジを実施することで腸腰筋を鍛えることを期待できます。腸腰筋は、上半身と下半身をつなぐインナーマッスルに分類される筋肉であり、通常、鍛えることは非常に難しいです。脚を上げて実施するバックランジは、腸腰筋を集中的に鍛えることができる数少ない種目の一つであるため、積極的に取り入れるようにしましょう。

「膝はつま先より前に出さない」を意識しすぎない

脚を鍛えるエクササイズ、特に、スクワットでよく言われるテクニックの一つとして「膝はつま先より前に出さない」というものがありますが、これは、バックランジ、フロントランジでも同様に必ずしも正しいわけではありません。

膝をつま先より出さないと、動きが非常に窮屈になり、負荷を扱い辛くなります。基本的に、スクワットもバックランジもフロントランジも大きな負荷を扱うことでターゲットとなる部位に刺激を与えるエクササイズであることから、むしろダイナミックに実施する方が重要です。

このことから、「膝はつま先より前に出さない」ということをそこまで意識する必要はなく、あくまでも自然な形でできる範囲で実施しましょう。

鍛えている部位の動きを意識

バックランジ、フロントランジに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。

このため、最初は難しいですが、バックランジ、フロントランジで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

バックランジ、フロントランジに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。 具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。 ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

バックランジ、フロントランジに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。バックランジ、フロントランジでは、身体を下げるときに息を吐き、戻すときに息を吸います。 慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。