逆手腹筋ローラーは、腹筋ローラーの持ち手は逆手にして実施する種目です。今回は、逆手腹筋ローラーのやり方及びコツについてご紹介します。
逆手腹筋ローラーとは、その名の通り、腹筋ローラーの持ち手を逆手(さかて)にして実施する腹筋ローラーです。
通常の腹筋ローラーでは、順手、つまり、手のひらが下側に向くようにして実施するため、握ったときに一番弱くなる指先側が下側を向くようになります。このため、体重をかけても腹筋ローラーが手から離れてしまい外れるということはほとんどありません。
一方、逆手とは、「通常とは手の使い方を逆にすること」を意味していることからわかる通り、手のひらが上側になるようにして腹筋ローラーを把持します。つまり、指先側が上側を向くようになるため、体重をかけたときに腹筋ローラーが手から離れて外れやすくなります。
それを外れないようにして実施することから、逆手腹筋ローラーは通常の腹筋ローラーよりも負荷が高くなり、特に、前腕に対する負荷が高くなります。
腹直筋とは、お腹の部分にある筋肉です。腹直筋と聞くと、なんとなく馴染みのない感じがしてしまいますが、所謂、我々が「腹筋」と呼ぶ筋肉は腹直筋を指します(厳密には、腹筋は、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の総称であると想定されます)。 筋トレを少ししたことがある人ならば、「シックスパック」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、シックスパックとは特に腹直筋が身体の表面に浮き出た状態を指します(シックスパックは人によって様々な形をしており、エイトパックだったり、フォーパックだったりします)。
前腕屈筋群は、
円回内筋(えんかいないきん)
橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)
長掌筋(ちょうしょうきん)
尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)
浅指屈筋(せんしくっきん)
深指屈筋(しんしくっきん)
長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)
方形回内筋(ほうけいかいないきん)
などからなります。前腕屈筋群は、手首を掌側に動かすときに働く筋肉であり、後述する前腕伸筋群と比較して可動域は広く設定することが可能です。
腕伸筋群は、
長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)
短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)
回外筋(かいがいきん)
尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)
総指伸筋(そうししんきん)
小指伸筋(しょうししんきん)
などからなります。前腕伸筋群は、手首を手の甲側に動かすときに働く筋肉であり、前述した前腕屈筋群と比較して可動域はどうしても狭くなります。このため、鍛える際には意識的に可動域をしっかり設定することが重要です。
以上から明らかな通り、前腕は非常に多くの筋肉からなります。他の部位と大きく異なるのは、これら多数の筋肉を1つ1つ刺激するトレーニングを行うのではなく、いずれかをまとめてトレーニングすることが基本です。
前腕は、前腕屈筋群と前腕伸筋群に大別することができるため、これらの名前の通り、前腕は伸展または収縮によって刺激が入る筋肉が異なります。だからこそ、前腕を鍛える場合には、伸展または収縮を意識したトレーニングの何れも実施する必要があります。
逆手腹筋ローラーで腹直筋を鍛えることで、特にお腹周りについている脂肪を燃焼することを期待できます。しかし、腹直筋だけを鍛えるということで得られる効果は限定的です。腹直筋を鍛えるエクササイズに加えて、有酸素運動や食事制限を行う必要があります。
ちなみに、シックスパックを作りたい場合も同様で、計画的な有酸素運動と食事制限を実施する必要があります。
注意したいのが、 腹直筋を鍛えすぎるとむしろウエストが太くなる可能性がある点です。脂肪を燃焼させたいのか、がっつり筋肉をつけたいのか、目標によってダンベルの重さ、実施する回数を組む必要があります
逆手腹直筋は、身体の中ではそこまで大きな筋肉ではありません。そもそも腹直筋が分類される腹筋があまり大きい筋肉とはいえません。
代謝を上げることを主目的とするならば、大腿四頭筋や大臀筋など大きい筋肉を主に鍛えるべきです。
とはいえ、腹直筋は腹筋の中では最も大きい筋肉であり、逆手腹筋ローラーで鍛えることで基礎代謝の改善効果を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、ダイエットの下地を作ることができます。
朝に実施することで、一日の代謝がアップすることが期待できるのでおすすめです。
腹直筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。そのため、逆手腹筋ローラーを実施することで、猫背の予防、改善の効果が期待できます。
ちなみに、反り腰はもともと猫背が原因になっていることが多いです。 また、腹直筋には骨盤の角度を調整する役割もあります。
ちなみに腰痛は、姿勢が悪化し、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかることが原因の一つです。そのため、腹直筋を鍛えることで姿勢が改善すると、腰痛も予防・改善できる可能性があります。
腕は大きく分けて、前腕と上腕からなります。基本的に、前腕は前腕筋、上腕は上腕二頭筋、上腕三頭筋、上腕筋からなります。
腕をたくましく見せたい場合には上腕を鍛えがちですが(上腕を鍛えると腕がたくましく見えるのは事実です)、前腕も重要です。衣服から出ている前腕の方が多いことを考えると、腕をたくましく見せるためには前腕も鍛える必要がありますね。
意外とジムでトレーニングをしっかりとしている人でも、上腕の腕は素晴らしいのに、前腕が細いという人は多く、そうなるとせっかくの腕のたくましさが半減します。基本的に、人から直に見られるのは、衣服から出ている前腕の方が多いことを考えると、腕をたくましく見せるためには前腕も鍛える必要があります。
逆手の腹筋ローラーは、前腕の筋肉を鍛えることができるため、以下のようなその他の効果も期待できます。
握力が強くなる
より高負荷のエクササイズができるようになる
初心者は、逆手腹筋ローラーを2〜3回3セット実施します。
逆手腹筋ローラーはエクササイズレベルに関係なく非常に負荷の高いエクササイズです。特に初心者のうちは通常の腹筋ローラーを実施するだけでもかなり難易度が高いことから、膝付きの腹筋ローラーをまず実施できるようになりましょう。
逆手腹筋ローラーに少し慣れてきたら、3〜5回3セット実施します。
逆手腹筋ローラーに慣れてくると、実施する上で必要な握力が付いてくるため、比較的やや回数を多くしても実施できるようになります。この場合、逆手の腹筋ローラーを3〜5回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、逆手腹筋ローラーを5〜8回3セット実施します。
筋トレ上級者になれば、負荷の高いとされている逆手腹筋ローラーを実施するようにします。回数に関しては、負荷が高いことを考慮して、通常のエクササイズでの推奨回数よりもやや少ない5〜8回を3セットを目安に実施しましょう。
逆手腹筋ローラーに限らず、エクササイズは対象となる部位に負荷が入っている中で実施する必要があります。
逆手腹筋ローラーの場合には、エクササイズ強度が高すぎるため、腹筋ローラーを腹筋の負荷が完全に抜けるところまで戻す人が多いです(また、メディアによっては、ローラーが腹部直下に来るくらいまで戻すことを推奨している場合もあります)。ただ、このように実施すると、1回1回、完全に負荷が抜けた状態に戻り逆手腹筋ローラーを実施していることになり、非常に効率が悪いです。
これを防ぐために、、トップポジションの設定を、前述した通り、顎の真下に設定することが重要であり、腹筋ローラーをそれ以上、戻さないように注意しましょう。
腹直筋を鍛えるエクササイズの多くは、姿勢が悪い状態を作り出すことで負荷を高めます。
腹筋はお腹が曲がった状態(つまり筋肉が縮んだ状態)で最も負荷がかかります。逆手腹筋ローラーは「腹筋ローラー」という名前であるため、腹筋に負荷がかかるのが重要であり、身体を常に「くの字」にする意識が大切です。ボトムポジションで「万歳」の状態になった場合でも「くの字」を保持するよう意識しましょう。
ボトムポジションで身体が一直線になるのが間違いなわけではありませんが、「くの字」を意識することでより効率的に腹筋を鍛えることができます。
逆手腹筋ローラーの場合、通常の腹筋ローラーに対して前腕にかかる負荷がさらに大きく、身体が真っ直ぐになると前腕にかかる負荷もさらに大きくなります。そのため、逆手腹筋ローラーを正確に実施するためには身体をしっかり「くの字」にするようにしましょう。
逆手腹筋ローラーでしっかりと負荷を高めるためには、ボトムポジションを深いところに設定する必要があります。
逆手腹筋ローラーは、その運動の性質上、ボトムポジションを深く設定すればするほど負荷を高めることができます。言い換えれば、ボトムポジションを浅く設定すれば、負荷を低減させることができ、逆手腹筋ローラを始めたばかりの方は、ボトムポジションを高めに設定して、まずは、逆手腹筋ローラーの刺激に慣れるという実施方法もあります。
特に、通常の膝付きではない逆手腹筋ローラーを実施している方の多くは、その負荷の高さからボトムポジションを浅めに設定しがちであることから、注意しましょう。
逆手腹筋ローラーは、非常に強度が高く、怪我をしやすい種目なのですが、最も怪我をしやすいといわれているのが腰です。
逆手腹筋ローラーで腰を痛める原因はいくつかありますが、その最たる例として腰を反ってしまうことが挙げられます。逆手腹筋ローラーの効果を高めるためには前述したように身体が「くの字」になる様にして実施することが推奨されますが、これは腹筋への刺激を高めるとともに、怪我をするリスクを減らすという目的もあります。
また、腰を反って実施してしまうと、肩を痛める原因にもなるため、注意を払う必要があります。
逆手腹筋ローラーですが、腹筋ローラのエクササイズの特性上、ボトムポジションで粘れないと床に顔面もしくは顎が直撃することになります。
これは大変危険ですので、たとえ潰れてしまっても太ももから落ちるようにしましょう。台を使った上級者向けの腹筋ローラーではさらにそのリスクが高まるため特に注意しましょう。
逆手腹筋ローラーは、ローラーを動かすことばかりを注意していると、どうしても腰主導で腹筋ローラーを動かしてしまいがちです。
ただ、そのように実施してしまうと、腹直筋ではなく腰にばかり負荷が入るようになってしまいます。腰の力で身体を動かすのではなく、ローラーを動かすことに集中し、手のローラーの動きのみでトップポジションからボトムポジションへ、ボトムポジションからトップポジションへ移行することが重要となります。
このように実施することで、多少、腰にも負荷は入りますが、基本的には腹直筋に負荷が入るようになるはずです。
逆手腹筋ローラーを実施する上で、腹筋ローラーの動きを正確にコントロールする必要があります。そのためには、腹筋ローラーをしっかりと固定する必要があり、手首を掌屈させることが有効です。
掌屈(しょうくつ)とは、「手首を手のひらの方に曲げること」を意味します。手首に負担がかかることは避けられないのですが、そこで手首を掌屈させることで手首への負荷を軽減することが可能です。また、手首を掌屈させることで力を発揮しやすくなり、ボトムポジションで顔から崩れ落ちるのを防ぎます。
逆手腹筋ローラーを実施したての頃はとくに手首の掌屈を大袈裟にでも意識するのが効果的です。慣れてくればそこまで意識しなくても問題ありませんが、間違っても背屈(はいくつ)(手首が手の甲側に曲げること)をしないようにしましょう。
逆手腹筋ローラーでボトムポジションをしっかりと設定するためには、ボトムポジションでも安定して腹筋ローラーを動かす必要があります。
このためには、前述したように、手首を掌屈させることが有効ですが、それに加えて、肘を伸ばし切らないことが重要です。逆手腹筋ローラーでは、ボトムポジションで身体がほぼ真っ直ぐになった状態をキープするのですが、この際に肘を伸ばすとかなりの確率で潰れてしまいます。これは、肘が伸び切ってしまうと腹筋ローラーを介して、身体を支えるために使う力を伝達しにくくなるためです。
以上より、肘はやや曲げた状態で行うことが重要です。
逆手腹筋ローラーに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、腹直筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹直筋動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
逆手腹筋ローラーに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
逆手腹筋ローラーに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、身体を下げるときに息をはき、戻るときに息を吸うことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
クランチは、逆手腹筋ローラーでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋上部を鍛えることができるためです。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるためのエクササイズであり、逆手腹筋ローラーと比較するとエクササイズ強度はそこまで高くありません。実際に実施する場合には、逆手腹筋ローラーを先に実施し、クランチをその後に実施することで腹筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動きを意識。
腹直筋上部の動きを意識。
呼吸を意識。
レッグレイズは、逆手腹筋ローラーでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は腹筋ローラーと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、逆手腹筋ローラーを先に実施し、レッグレイズをその後に実施することで腹筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、15〜18回3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を実施します。
とにかく足の動きをコントロールする。
腹直筋下部を鍛えるときよりも、トップポジションをやや深めに設定する。
足を床ぎりぎりまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
シットアップは、逆手腹筋ローラーと同様に腹直筋全体を鍛えることができるためです。
シットアップは、逆手腹直筋全体を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度は腹筋ローラーと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、逆手腹筋ローラーを先に実施し、シットアップをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
シットアップは、12〜15回3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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