バーベルスクワットは、下半身を鍛えることができる種目であるため、女性にもおすすめの種目です。今回は、女性向けのバーベルスクワットのやり方及びコツについてご紹介します。
「メリハリのある太もも」とは「引き締まった太もも」のことです。バーベルスクワットにより太ももの前部と裏側を刺激するので、これらの部位に積極的に筋肉をつけることができ、引き締まった太ももを実現できます。
「バーベルスクワットは脚が太くなるからやりたくない」という女性がたまにいらっしゃいますが、女性が自重で実施する範疇で劇的に脚が太くなるということは考えにくいです。「筋肉痛が強い=太くなる」、ではないので、そこまで心配しすぎる必要ありません。
そもそも女性は、男性と比較して筋肉の発達に影響するテストステロン値が低く、男性でも太ももを大きくするためには高重量のスクワットが必要ですので、あまり心配しないでよいでしょう。
近年の美尻ブームにより多くのマシンや種目が紹介されていますが、お尻のラインを作る上で最も効果的なのはバーベルスクワットです。
この理由としては、バーベルスクワット自体が太ももを稼働させて実施する種目であることから、運動経験がない人でも高負荷のトレーニングを実施しやすいためです。 バーベルスクワットでも、もちろん臀部(お尻)に刺激を入れることは可能ですが、例えばワイドスクワットやブルガリアンスクワットを実施することで、より効果的に臀部に刺激を入れることができます。
バーベルスクワットは筋肉を鍛えるのに有効な種目ですが、それと同時にダイエット効果も見込むことができます。
その理由は、身体の中の筋肉の約60〜70%が下半身に集中しており、下半身の中でも大腿四頭筋、臀部(お尻)が占める筋肉の割合が非常に高いためです。スクワットは、これらの筋肉を鍛えることができ、これにより代謝が向上します。脂肪が燃焼するためには代謝の向上が不可欠なので、ダイエット効果が見込めます。
ただし、バーベルスクワットは代謝向上を促すことまでしかできません。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動と、食事制限もダイエットをする上では必須です。
バーベルスクワットを実施することで成長ホルモンが多く分泌されるといわれており、これにより肌のはりやつやの改善が期待できます。バーベルスクワットのメインターゲットが、前述した通り身体の中で最も筋肉量がある大腿四頭筋であることが理由しています。
また、バーベルスクワットは、「正しいフォームで行えば」体幹を鍛えることができ、姿勢改善に繋がります。正しいフォームについては後述します。
女性の筋トレ初心者のバーベルスクワットの目安の重量は10〜20 kg程度です (自身の体重にもよります)。
バーベルスクワットは、主に大腿四頭筋を鍛えるエクササイズであることから、女性の筋トレ初心者でも重量を扱うことができます。以上では重量は10〜20 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて8〜10回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
女性でバーベルスクワットに少し慣れた方のバーベルスクワットの目安の重量は20〜30 kg程度です(自身の体重にもよります)。
バーベルスクワットで鍛える脚の筋肉はサイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では20〜30 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてバーベルスクワットを10回実施できる重量を選択するようにしましょう。
女性の筋トレ上級者のバーベルスクワットの目安の重量は100 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、バーベルスクワットで100 kg以上を正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確なフォームで実施した場合」の重量です。背中の倒す角度が浅くなってくると高重量を扱いやすくなることから、きちんと背中をまっすぐにして実施するのがおすすめです。
女性の筋トレ初心者は、バーベルスクワットを8〜10回3セット実施します。
バーベルスクワットは、重量を扱う種目で、負荷は比較的高いです。また、腰、膝にも負担をかけやすい種目であるため注意が必要です。実施する場合には、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数よりもかなり少ない8〜10回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
女性でバーベルスクワットに少し慣れてきたら、10回3セット実施します。
バーベルスクワットは慣れてくると、実施することで膝を痛めるという危険性をかなり減らすことができます。そのため、バーベルスクワットに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、10回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、バーベルスクワットを実施する際には、ランジ、スクワット、ワイドスクワットなどと組み合わせて実施するようにしましょう。
具体的には、ランジ、スクワット、ワイドスクワットをウォーミングアップ種目として12〜15回3セット実施した後に、バーベルスクワットを「本番の種目」という位置付けで、8〜10回3セット実施するようにしましょう。
バーベルスクワットを実施する上で、後述するようにしっかりとしゃがむことが重要です。
しゃがむ動作には、股関節が大きく関与しており、股関節が閉まった状態だとしゃがみづらく、一方で股関節が開いた状態だとしゃがみやすいという特徴があります。
一般的に、スクワットでは両脚を平行に設定しがちですが、そのようにすると股関節が閉まった状態になり、しゃがみ辛くなってしまいます。
これを防ぐために、つま先はやや外側に向けるように設定し、股関節がやや開いた状態で実施するのがおすすめです(逆に、つま先を開き過ぎると、股間節を怪我する原因となるため注意が必要です)。
バーベルスクワットは非常に負荷の高いエクササイズですが、下半身は通常のスクワットと同様に負荷が抜けやすいエクササイズでもあります。
この理由の1つとしてトップポジション(身体が最も高い位置にある状態)の設定にあります。バーベルスクワットでは、身体を上げる際に、大腿四頭筋を少しでも楽にするために膝を伸び切った状態を作りがちですが、このようにすると大腿四頭筋へ負荷が全く入っておらず、トレーニング的にはNGです。
トレーニングの基本は、「動作中すべての可動域で筋肉に負荷を与え続ける」という点であるため、これに倣うならばバーベルスクワットにおけるトップポジションでも負荷が入るように設定する必要があります。すなわち、膝は伸ばし切るのではなくやや曲げた状態をトップポジションに設定し、その場所で切り返すことが重要です。
多くのメディアで「スクワットを実施する際には膝をつま先よりも前に出さない」ということが指摘されていますが、必ずしも正しくありません。基本的に身体の構造上、しゃがむと膝がつま先よりも前に出るということは自然の動作であり、これを制限してスクワットを実施すると怪我をする可能性が大です。
バーベルスクワットは、そもそも重量を扱う種目であり、以上のような細かいことで負荷を変えるような種目ではありません。むしろ、自身が重量を扱い易い膝の位置を見つけて、それで実施することが非常に重要です。
バーベルスクワットでは、その動作の特性上、ボトムポジションを深いところに設定すると負荷を高めることができます(当たり前ですが、意外と多くの人ができていません)。ここで、逆にバーベルスクワットのボトムポジションが浅すぎる理由としては以下が考えられます。
負荷が高すぎて下げられない。
身体が硬くて下げられない。
1つ目の負荷が高すぎて下げられないということですが、これは回数が多いバーベルスクワットや、高い重量設定のバーベルクワットに見られる現象です。この様なスクワットを実施した際に、何らかの意図があって、ボトムポジションを浅めに設定しているということならば問題ないのですが、意図もしないでフォームが崩れているならば、「回数を減らす」「重量を減らす」必要があります。
2つ目の身体が硬くて下げられないということですが、これを解決する方法としては以下が挙げられます。
つま先を外側に向ける。
脚幅をやや広めにする。
床と踵(かかと)の間に段差を作る。
つま先と脚幅に関しては、フォームの箇所で説明した通りです。床と踵の間に段差を作るとは、踵に少し高さのあるものを挟むということです。ジムでバーベルスクワットを実施する方なら、2.5 kgプレートを踵に挟むのが一般的です。
バーベルスクワットを実施する上で、怪我をしやすいのが膝に加えて腰です。
バーベルスクワットで腰を怪我するメカニズムは、重量を扱いすぎることで、ボトムポジションからトップポジションに戻る際に上半身を煽ってしまうことです。このようにしてしまうことで、腰に曲げの負荷がかかることになり、腰を痛める原因になります。
そのため、後述するように、重量設定もそうですが、きちんと背中を張ることを意識する必要があります。具体的には、肩甲骨をしっかりと寄せることで胸を張った状態を作りだすことで、背中を張ります(身体が少し「窮屈」と感じるくらいに設定するのがポイントです)。
バーベルスクワットは、膝を曲げて身体を下げるエクササイズであることから、膝から先に動かしたくなりますが、通常のスクワットと同様にむしろ臀部から動かすように意識すると正しいフォームに近づきます。
バーベルスクワットは、大臀筋にも刺激を入れるために、やや後ろを意識して身体を下げるようにすることが一般的とされており、このためには膝を意識するというよりは臀部を後ろに突き出して、初動の意識を臀部に持っていくことが推奨されます。また、膝を先に動かそうとすると、どうしても膝に負担がかかりやすくなる傾向があるため、まずは臀部から動かすことを意識するようにしましょう。
バーベルスクワットに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、大腿四頭筋、大臀筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大腿四頭筋、大臀筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
バーベルスクワットに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
バーベルスクワットに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
プランクは、バーベルスクワットで稼働する体幹の筋肉を鍛えることができるためです。
バーベルスクワットを実施する上で、非常に重要なのが上半身をしっかりとまっすぐに保つことです。これをするためにはプランクで体幹部をしっかりと鍛えておく必要があります。
実際に実施する際には、プランクを先に実施してから、バーベルスクワットを実施しましょう。
プランクは、45〜60秒間3セット実施します。
プランクは、体幹及びトレーニングに必要な非常に基本的な筋肉をつけるために有効なエクササイズですが、トレーニング初心者や女性の方にはやや負荷の高いエクササイズです。このため、まずは30秒を3セット実施することから始め、最終的には60秒を3セット実施することを目指しましょう。
上半身から下半身までを一直線にしてキープする。
脊柱起立筋により身体が曲がらないようにすることを意識する。
上半身は三角筋を使って支えることを意識する。
ヒップリフトは、バーベルスクワットで鍛えることができる大臀筋を鍛えることができ種目であるためです。
ヒップリフトは、両脚でお尻を上げる種目で実施する種目で、バーベルスクワットでも鍛えることができる大臀筋を刺激できる種目です。実際に実施する場合には、ヒップリフトをウォーミングアップ種目として実施し、本番種目としてバーベルスクワットを一緒に実施することで特に大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ヒップリフトは10〜12回3セット実施します。
ヒップリフトは、大臀筋のエクササイズの中では比較的難易度が低く、初心者や女性の方でも無理なく実施できるエクササイズです。ただし、腰痛を防ぐためには通常よりも少ない回数を実施する必要があり、10〜12回3セットを目標に実施する様にしましょう。
トップポジションで静止する。
お尻を下げすぎない。
大臀筋の動きを意識する。
ワイドスクワットは、バーベルスクワット同様に、大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングスも鍛えることが期待できるためです。
ワイドスクワットは、バーベルスクワットと同様に、大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングスを鍛えることができる種目であり、下半身をトータル的に鍛えることができます。実際に実施する際には、ワイドスクワットを実施した後に、本番種目としてバーベルスクワットを実施しましょう。
ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
身体を下げすぎない。
背中をできるだけ倒さない。
臀部の動きを意識する。
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