ワイドジャンプスクワットは、脚幅を広めに設定して実施するジャンプスクワットです。今回は、ワイドジャンプスクワットのやり方及びコツについてご紹介します。
ジャンプスクワットとは英語で「wide jump squat」で、直訳すると「ワイドでジャンプをするスクワット」を指します。ここで、「ワイド」とは脚幅を差しており、通常のジャンピングスクワットと比較して、脚幅を広めて設定して実施することから「ワイドジャンピングスクワット」という名前が付いていると考えられます。
ワイドジャンピングクワットは、ワイドジャンプスクワットとも言い、トップポジションへジャンプをして移行するスクワットで、比較的手軽に負荷を高めることができるので初心者にもおすすめのエクササイズです。
ジャンピングスクワットは瞬発力が大事なトレーニングです。ジャンプをすることで背中、お腹、太ももの筋肉を一瞬で素早く動かすことができます。さらにジャンプした身体を支えることで、負荷が高くなるので速筋も鍛えられます。速筋とは収縮する力が強い筋繊維で、ダッシュやジャンプなど瞬発力やパワーを発揮するときに使われる部分です。
消費カロリーはスクワットの中でも高くなっています。やはりジャンプをすることで消費カロリーが高くなり、10回のジャンピングスクワットで約25キロカロリー消費できると言われています。
通常のジャンピングスクワットでは、大腿四頭筋がメインターゲットですが、ワイドジャンピングスクワットでは、スタンスを広く設定して実施することから、内転筋および大腿四頭筋がメインターゲットです。
大腿四頭筋は、太ももの前面についている筋肉であり、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)から構成されています。中間広筋は深層にあり、大腿直筋がかぶさっています。
大腿直筋は、大腿四頭筋の表層の中央部に相当し、膝関節の伸展、股関節の屈曲に寄与します。大腿直筋が発達していると、大腿四頭筋の凹凸感がはっきりするようになることが期待できます。
外側広筋は、大腿四頭筋の外側に相当し、膝関節の伸展に寄与してます。大腿四頭筋の見た目に対して重要な役割を果たしており、外側広筋を鍛えていると正面から見た時の太ももの太さが際立つことが期待できます。
中間広筋は、大腿四頭筋の深層の中央部に相当し、膝関節の伸展に寄与します。中間広筋は、深層にあるため、外から確認することが難しい部位ですが、下半身を安定化させるためには重要な筋肉です。
内側広筋は、大腿四頭筋の内側に相当し、膝関節の伸展に寄与します。内側広筋を鍛えることで膝の保護や安定性に寄与することが期待できます。
内転筋(内転筋群)は、太ももの内側についている筋肉で、恥骨筋(ちこつきん)、大内転筋(だいないてんきん)、小内転筋(しょうないてんきん)、長内転筋(ちょうないてんきん)、短内転筋(たんないてんきん)、薄筋(はっきん)からなります。
内転筋は、比較的多数の筋肉からなる筋群ですが、それぞれを独立して鍛えるということはほとんどなく、基本的には、内転筋のエクササイズと総称してまとめて鍛えることがほとんどです。
大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。
お尻には、大臀筋の他に、中臀筋と小臀筋という筋肉があります。中臀筋はお尻の外側についている筋肉、小臀筋はお尻の中で最もインナー部分に存在する筋肉です。ただ、両者ともに大臀筋と比較すると、筋肉としては小さいため、お尻を効果的に鍛えたいならば大臀筋を鍛えると効率的です。
ハムストリングスは、太ももの前側にある大腿四頭筋と比較するとサイズは小さくなりますが、それでも筋肉の大きさとしては身体の中でも非常に大きい部類に分類することができます。
ワイドジャンピングスクワットで鍛えることができる大腿四頭筋、内転筋、ハムストリングス、大臀筋を合わせると、身体の中でもかなりの割合を占める筋肉です。そのため、ワイドジャンピングスクワットでは、効率的に代謝の改善を期待できます。
筋肉をつけることで改善できるのは基礎代謝です。体温が1度上昇することで代謝量は13%程度向上すると言われています。スプリットスクワットはダイエットに大変向いているエクササイズといえます。
代謝を改善することで、冷え性やむくみなどの改善にも繋がると期待されます。
ヒップアップをするためには、お尻の筋肉である大臀筋を鍛える方法と、太ももの裏であるハムストリングスを鍛える方法の2つが存在します。ハムストリングスを鍛えることで太ももとお尻の境目をよりはっきりさせることができます。
ワイドジャンピングスクワットは、大臀筋とハムストリングスの両方を鍛えることができるため、以上の2つのアプローチを単一の種目で実践することができます。
ワイドジャンピングスクワットでは、大腿四頭筋、内転筋、ハムストリングス、大臀筋と下半身の太もも周りの筋肉を付けることを期待できます。太もも周りの脂肪を燃焼させることが期待でき、太ももの引き締め効果を期待できます。
しかし、ワイドジャンピングスクワットは初心者の方でも比較的高負荷のエクササイズを行うことができてしまいます。これにより、負荷をかけすぎると筋肉が付きすぎて、太ももが太くなってしまう可能性があります。そのため、太ももの引き締め効果を狙って大腿四頭筋を鍛える際には、回数設定には細心の注意を払いましょう。
前述した通り、ワイドジャンピングスクワットは体の多くの部位に刺激が入り鍛えることができるので、副次的に様々な効果が期待できます。
例えば、
運動機能の向上
O脚の改善
お腹の引き締め
腰痛や膝痛の予防
などです。
初心者は、ワイドジャンピングスクワットを12〜15回3セット実施します。
ワイドジャンピングスクワットは、ジャンプをしてワイドスクワットをする単純なエクササイズではあるものの、負荷は比較的高いです。また、通常のジャンピングスクワット以上に膝にも負担をかけやすい種目であるため注意が必要です。実施する場合には、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数である12〜15回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
ワイドジャンプスクワットに少し慣れてきたら、15回3セット実施します。
ワイドジャンプスクワットは慣れてくると、実施することで膝を痛めるという危険性をかなり減らすことができます。そのため、ワイドジャンプスクワットに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、15回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、ワイドジャンプスクワットを実施する際には、ワイドスクワット、ランジなどと組み合わせて実施するようにしましょう。
具体的には、ワイドスクワット、ランジなどを12〜15回3セット実施したあとに、ワイドジャンプスクワットを「仕上げの種目」という位置付けで、12〜15回3セット実施するようにしましょう。ただし、スクワットやランジを実施した後にワイドジャンプスクワットを実施すると、着地したときの衝撃に太ももが耐えきれずに転んでしまう可能性もあるため、注意して実施するようにしましょう。
ワイドジャンプスクワットは、ジャンプした状態からボトムポジションに戻るエクササイズです。そのため、空中にいる状態から、一気に膝がやや曲がった状態に移行することから、膝周りにかかる負担がどうしても大きくなります。ここで、着地したときの位置、つまり、ボトムポジションを深く設定するほど膝にかかる負担も増大し、怪我をするリスクが増大してしまいます。
トレーニングにおける「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。スクワットではしゃがんだ状態です。多くは筋肉がピンっと張った状態です。反対に「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。その間を「ミッドレンジ」と言います。
また、ワイドジャンプスクワットは、ボトムポジションで体重を受け切るからこそ、負荷が入るという側面もあります。そのため、ボトムポジションを深く設定し過ぎてしまうと、体重を受けきらないでワイドジャンプスクワットを実施することになり、負荷が小さくなってしまいます。
以上の理由から、ボトムポジションは太ももと床が平行になるくらい、すなわち、やや浅めにするのがポイントです(ワイドジャンプスクワットでは、股関節で体重を受けるようにするため、必然的に通常のジャンプスクワットよりも可動域が小さくなってしまうことに留意しましょう)。
ワイドジャンプスクワットに限った話ではありませんが、ワイドジャンプスクワットは、特にボトムポジションの切り返しの部分で負荷が抜けやすくなる傾向があります。これは、前述したように、ボトムポジションではジャンプすることで得た位置エネルギーを太ももがしっかりと受け切る必要があるのですが、ボトムポジションの設定や意識の仕方によっては太ももに十分に負荷が入らない場合があるためです。
このような場合、着地したときの床からの反作用を使ってワイドジャンプスクワットを実施しているケースが多く、そのように実施すると、せっかくジャンプした意味がなくなってしまいます(むしろ、怪我のリスクを考えるならば、反作用を使うことを考えると通常のスクワットを実施した方が良いです)。そのため、ボトムポジションで切り返すときは、しっかりと体重を感じて切り返すことが重要です(気持ち、1秒程度静止するイメージです)。
ワイドジャンピングスクワットは、ノーマルスクワットのようにストリクトに実施する(全ての可動域で負荷が抜けないように実施する)エクササイズではありません。ジャンプしていることから分かる通り、むしろ動的なエクササイズと言えます。ここで、ジャンプしたときの位置が高ければ高いほどワイドジャンプスクワットの負荷は増大する傾向があります。そのため、より高くジャンプをするために、手の反動を使って実施しても問題なく、むしろ、それによって負荷が高くなります。
ただし、着地する際に、手を太ももの上には置かないようにしましょう。これは、手が衝立の役割を果たすことで身体を支えてしまうためであり、そうなるとジャンプスクワットの負荷が小さくなってしまうためです。効果的にジャンプスクワットを実施するならば、手は体の横で動かすようにしましょう。
ワイドジャンプスクワットでは、「ジャンプする」という動作がはいるため、着地の衝撃により腰に負担がかかる場合があります。特に、腰が曲がっている場合には、ジャンプをして着地をした際に、腰を痛める可能性が出てきます。そのため、通常のスクワットと同様に、腰をしっかりと張った状態で実施する必要があります。そのためには、目線が重要です。目線が下方向になっていると、どうしても背中を丸めてしまう傾向があるため、これにより腰を痛める可能性がでてきます。そのため、目線は正面か、やや上方を意識して実施するようにしましょう。
ワイドジャンプスクワットに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、ワイドジャンプスクワットで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ワイドジャンプスクワットに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ワイドジャンプスクワットに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。ワイドジャンプスクワットでは、ジャンプをするときに息を吐き、着地するときに息を吸います。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
特定の高さの台を用意し、「その台の高さまでジャンプする」という目安を作ると負荷を高めやすくなります。というのも、感覚だけでジャンプしていると自分がどれくらい飛んでいるのかわからず、疲れてくると、どうしてもジャンプをする高さが低くなることで負荷が低くなりがちです。
一方で、台を用意すれば、毎回、同じ高さをジャンプすることが期待できます。台の高さは、高くなるほど負荷は増大しますが、エクササイズ後半になってくると、十分な高さまでジャンプをすることが難しくなり、台に躓く可能性が出てきます。台に躓いてしまうと、大怪我の原因となるため、基本的には自身のエクササイズ強度に合った程よい高さの台を用意しましょう。
ワイドジャンプスクワットは、ダンベル、バーベルを併用して実施することができます。負荷の大きさは、負荷の小さいものからダンベルワイドジャンプスクワット、バーベルワイドジャンプスクワットです。
ダンベルワイドジャンプスクワットは、両手でダンベルを持ってジャンプスクワットを行うため、比較的バランスを取りやすいのが特徴です。ただし、ジャンプスクワットはあくまでもジャンプをすることがメインであるため、重量設定を重過ぎないようにしましょう。
バーベルワイドジャンプスクワットは、バーベルを背負って実施するジャンプスクワットであり、バランスを取り辛く、負荷が大きいという点が特徴です。バーベルワイドジャンプスクワットは、バーベルスクワットをジャンプをして実施するようなフォームになるため、基本的には負荷はかなり高くなります。そのため、基本的にはしっかりとジャンプできる重量で実施するのがおすすめです。
ワイドスクワットは、ワイドジャンピングスクワットの基本となる種目であるためです。
ワイドスクワットは、ワイドジャンピングスクワットと同様に大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を鍛えることができ、ワイドジャンピングスクワットの基本となる種目です。実際に実施する場合には、ワイドスクワットをウォーミングアップ種目として実施し、本番種目としてワイドジャンピングスクワットを実施することで大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
身体を下げすぎない。
背中をできるだけ倒さない。
臀部の動きを意識する。
スクワットは、ワイドジャンピングスクワットで鍛えることができる大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋、腸腰筋、大臀筋を鍛えることができるためです。
スクワットは、ワイドジャンピングスクワットと同様に大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、ワイドジャンピングスクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、スクワットをウォーミングアップ種目として実施し、仕上げの種目としてワイドジャンピングスクワットを一緒に実施することで大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
ランジは、ワイドジャンピングスクワットで鍛えることができる大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋、腸腰筋、大臀筋を鍛えることができるためです。
ランジは、ワイドジャンピングスクワットと同様に大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、ワイドジャンピングスクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、ランジをウォーミングアップ種目として実施し、仕上げの種目としてワイドジャンピングスクワットを一緒に実施することで大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ランジは、まずは、片足10〜12回3セット実施します。
ランジは脚を前、もしくは後ろに出して実施するためバランスを取り難く、これにより、エクササイズ強度は高いものに分類することができます。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定よりもやや少ない回数である10〜12回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
上半身の床に対する角度を意識する。
身体を床に対してぎりぎりまで下げる。
脚を大きく出しすぎない。
手は太ももの上に乗せない。
ボトムポジジョンで静止する。
「膝はつま先より前に出さない」を意識しすぎない。
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