バーベルフロントレイズは、バーベルを使って三角筋前部をストレッチさせながら鍛える代表的な種目です。今回は、バーベルフロントレイズのコツ及びやり方についてご紹介します。
フロントレイズとは、「front raise」、つまり、「前方に上げること」を意味します。
通常のフロントレイズの場合、上げる対象は、ダンベル、バーベル、チューブなど様々ですが、バーベルフロントレイズではバーベルもしくはEZバー(持ち手が湾曲しているバーベルのような器具)を用いて実施します(一般的に、フロントレイズというとダンベルフロントレイズを指すことがほとんどです)。
バーベルフロントレイズは、ダンベルフロントレイズ以上に高重量を扱い難い種目です。言い換えれば、低重量でも十分に三角筋前部を刺激することができるため、女性や筋トレ初心者でもしっかりと肩の筋肉を鍛えることが期待できます。
三角筋は、前部、中部、後部からなります。
三角筋前部とは、肩の前部についている筋肉、つまり、大胸筋上部の上側に位置する筋肉です。三角筋前部が発達していると、大胸筋との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えるようになることが期待できます。
三角筋中部とは、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩が張り出して見えるようになることが期待できます。
三角筋後部とは、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になることが期待できます。
これらの中で、フロントレイズで鍛えることができるのは三角筋の前部です。
肩こりが発生しているということは、肩もしくは肩周辺部の血流及びリンパの流れが悪くなることで疲労物質が溜まった状態であると言い換えることができます。フロントレイズで三角筋前部を鍛えることで、血流及びリンパの流れを改善することができ、肩こりを改善することが期待できます。フロントレイズに加えて、三角筋中部、後部を鍛えることができるサイドレイズ、リアレイズなどの種目を実施することでより肩こり改善効果の実感を期待できます。
バーベルフロントレイズは、主に三角筋の前部を鍛えることができる種目であり、これに伴って、主に、肩の前側周辺部の脂肪の燃焼効果を期待できます。肩の周りは、背中やお腹と比較するとそこまで脂肪が付きやすい部位ではありません。このため、ダンベルショルダープレスを行っても積極的な体重の減少は期待できません。一方で、肩の周りの余分な脂肪を落とすと、バストと肩の境目がはっきりするようになり、メリハリのある肩からバストのラインを形成することを期待できます。
また、バーベルフロントレイズを実施すると、肩のトレーニングが強くなります(ここで強くなるというのは、筋肉のサイズが大きくなることはもちろんですが、負荷の高いエクササイズをできるようになるということを指します)。肩で強度の高いトレーニングができるようになると、肩全体が発達し、これにより相対的にウエストラインが細く見えるようになり、くびれ効果も期待できます。ただ、本質的にくびれを作るならば、腹横筋、腹斜筋のトレーニングもしっかり行うようにしましょう。
バーベルフロントレイズは、バーベルの重量を体幹部で支える必要があります。体幹で以上の重さを支えるためには、胸をしっかりと張った状態(=背筋を張った状態)になる必要があるため、これにより、姿勢の改善を期待できます。姿勢を改善すると、腰への負担を減らすことができるため、副次的な効果として腰痛の軽減効果も期待できます。ただし、バーベルフロントレイズでは、そもそもの腰への負担が大きくなることに注意しましょう。
筋トレ初心者のフロントレイズの目安の重量は、バーベル込みで5kg程度です (自身の体重にもよります)。
バーベルフロントレイズは、筋トレ初心者でも極端に悪いフォームでなければ三角筋前部に刺激が入る感覚を実感できます。重量は5 kg程度と述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて12〜15回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
バーベルフロントレイズに少し慣れた方のフロントレイズの目安の重量はバーベル込みで5〜10kg程度です(自身の体重にもよります)。
バーベルフロントレイズは、上体をうまく使うと、比較的高重量を扱うことがでできます。しかし、上手く刺激が入らない可能性や怪我をするリスクもあるため、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では5〜10kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてバーベルフロントレイズを15〜18回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のフロントレイズの目安の重量はバーベル込みで40kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、バーベルフロントレイズで30kg以上をチーティング(後述)なしで扱うことができれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでもチーティングなしでの重量です。チーティングを行えば、トレーニング初心者を脱して、かつ、パワーグリップやリストストラップなどの握力を補助するトレーニング道具を使えば40kgを扱うこともそこまで難しくありません。基本的には、チーティングなしで40kg以上を扱えると上級者であり、できるだけチーティングは実施しないでフロントレイズを実施するようにしましょう。
初心者は、バーベルフロントレイズを12〜15回を3セット実施します。
バーベルフロントレイズに少し慣れた方は、バーベルフロントレイズを15〜18回を3セット実施します。
バーベルフロントレイズは、高重量を低回数実施するよりは、低重量を高回数実施した方がエクササイズ効率が良いエクササイズです。そのため、バーベルフロントレイズに少し慣れたら、やや回数を増やして15〜18回を3セット実施するようにしましょう、実施する際には、必ず、その前に肩のストレッチを行うようにしましょう。
上級者の場合、バーベルフロントレイズを、バーベルアップライトロウ、バーベルショルダープレス、バーベルリアレイズなどのその他のエクササイズと組み合わせて実施します。
バーベルショルダープレスと実施する際にはスーパーセットを、サイドレイズ、リアレイズと実施する際にはトライセットとして実施するのがおすすめです。
ここで、スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法であり、3種目実施する場合にはトライセットと呼びます。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には何れの種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。
バーベルフロントレイズは、三角筋前部を伸展(=ストレッチ)させることで刺激を与えるエクササイズです。このような種目をストレッチ種目と呼び、ストレッチ種目は対象となる部位を効率的に鍛えることができるというメリットがあるものの、高重量を扱うと非常に怪我をしやすいという問題点があります。ストレッチ種目は、その特性上、重量をそこまで扱わなくても効果を感じることができるため、基本的には重量を上げて負荷を高めるというよりは、フォームをより正確に実施して、可動域をしっかりと設定することで負荷を高めるということを意識することが重要です。以上から、怪我を防止し、可動域を大きくしてより負荷を高めるという観点から、高重量を扱いすぎないようにしましょう。
トレーニングは、ほぼ全ての種目に置いて、「有効可動域」というものが存在します。バーベルフロントレイズの場合、ダンベルを上げ下げする動作自体は、バーベルが大腿につく部分から万歳する部分まで、腕の角度が180度分だけ開く可動域が存在します。しかし、実際に、負荷がかかっている「有効可動域」というのはこの一部分にしかすぎません。つまり、バーベルフロントレイズでは、ダンベルを太ももからやや離した部分から、腕の角度が床と並行かそれよりもやや上くらいの正味90度程度しか「有効可動域」が存在しません(あくまでも基本のフォームの場合です)。そのため、バーベルフロントレイズでは、「バーベルを下ろしすぎない、上げすぎない」ことを徹底して実施する必要があります。
バーベルフロントレイズでは、上半身を煽るようにすると自身が扱うことできる以上の重量を扱うことができます。これを、トレーニング用語で「チーティング」と言い、「チーティング」はその名前が示すように「ずるをすること」を意味します。チーティングは、かなり上級者向けのテクニックであり、上級者の場合にはフォームがしっかりしているためチーティングをしてもしっかりと対象とする部位に刺激を与えることができますが、トレーニング初心者の場合がそれを実践するのはかなり難しいと言えます。そのため、バーベルフロントレイズではできるだけ、チーティングをしないように上体をできるだけ固定した状態で実施するようにしましょう。
バーベルフロントレイズは、手首、肘を通して、三角筋前部に刺激を与えます。そのため、これらの関節に対する負荷はできるだけ小さくすることで、三角筋に入る刺激をより増大させることが期待できます。ここで、肘を伸ばしてしまうと、刺激が肘関節に逃げやすくなり、特に重量を扱うと怪我をしやすくなります。そのため、バーベルフロントレイズを実施する際には肘をやや曲げた状態で実施することが、効率及び怪我を防ぐという観点から重要なテクニックとなります。
バーベルフロントレイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、上腕筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
バーベルフロントレイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
バーベルフロントレイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、バーベルフロントレイズでは、バーベルを下ろすときに息を吸い、バーベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
バーベルアップライトロウは、10〜12回を3セット実施します
バーベルアップライトロウは、三角筋前部、中部を鍛える種目であり、基本的には比較的重量を扱える種目です。そのため、回数は10〜12回とやや少なくして、むしろ重量を上げるようにしましょう。ただし、あまりチーティングしすぎると負荷が入らないため注意が必要です。
手首を掌屈させる。
ナローグリップで実施する方法もあるが、基本的にはワイドグリップ。
高重量だと身体を煽りがちになるが、できるだけ身体は煽らない。
バーベルショルダープレスは、10〜12回を3セット実施します。
バーベルショルダープレスは、ダンベルショルダープレスと同様に、三角筋前部を鍛え、三角筋の全体的な大きさを作ることに適したエクササイズです。基本的には重量を扱う種目であり、回数としてはやや少なめの10〜12回を3セット実施しましょう。
立って実施しても良い。
肩甲骨を寄せない。
アジャスタブルベンチで実施する際には、角度をつけすぎない。
肘を伸ばし切らない。
やや上目を向く様にする。
バーベルリアレイズは、10〜12回を3セット実施します。
バーベルリアレイズは、動画では可動域が限定的ではありますが、より可動域を広くしてしっかりと三角筋後部を伸展させながら実施するのがおすすめです。基本的には重量を扱う種目であり、回数としてはやや少なめの10〜12回を3セット実施しましょう。
手首を掌屈させる。
手幅を広すぎず、狭すぎないように設定する。
高重量だと腰を痛める。
ボトムポジションで三角筋後部のストレッチを意識する。
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