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ダンベルチェストプレスのやり方と重量、効果が出る筋肉の部位

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ダンベルチェストプレスのやり方と重量、効果が出る筋肉の部位

ダンベルチェストプレスは、ダンベルを使って大胸筋を鍛える非常にオーソドックスなエクササイズの一つです。今回は、ダンベルチェストプレスのコツ及びやり方をご紹介します。

ダンベルチェストプレスとは

ダンベルチェストプレスは、「dumbell chest press」、つまり、「ダンベルで胸をプレスする」ことを意味します。ダンベルチェストプレスでは、ボトムポジションでダンベルにより大胸筋をプレスする(もしくは、大胸筋でダンベルをプレスするような動作を行う)ことからこの名前がついたと考えられます。

ダンベルチェストプレスは、大胸筋を鍛えることができるエクササイズですが、大胸筋はより詳細に分割すると大胸筋上部、中部、下部に分類することができます。何れの部位も広義の意味でのダンベルチェストプレスで鍛えることができ、大胸筋上部はインクラインダンベルチェストプレス(上半身が下半身よりも上になった状態でのダンベルチェストプレス)、大胸筋中部はダンベルチェストプレス(上半身と下半身がフラットな状態でのダンベルチェストプレス)、大胸筋下部はディクラインダンベルチェストプレス(上半身が下半身よりも下になった状態でのダンベルチェストプレス)で鍛えることが期待できます。

一般的にダンベルチェストプレスというと、大胸筋中部を鍛える種目を指します。初心者や女性でも難易度がそこまで高くなく、また、重量を扱い易いことから、大胸筋を鍛える際には是非ともトレーニング種目に入れていただきたい種目です。

ダンベルチェストプレスで鍛えられる筋肉の部位

大胸筋中部

大胸筋は、前述した通り、大胸筋上部、中部、下部からなります。

大胸筋上部は、腕を肩よりも上に上げる動作、すなわち屈曲動作を行う際に稼働される部位です。このため、腕を肩よりも上に上げる動作であるインクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます (言い換えれば、三角筋の前部を鍛えるためのプレス系の種目でも大胸筋上部に刺激が入ってしまい、その逆に、前述した種目により大胸筋上部を鍛える際には三角筋前部にも刺激が入ってしまうことを意味します)。

大胸筋中部は、腕を90度まで上げて胸の前で閉じるような動作、すなわち水平内転動作を行う際に稼働される部位です。このため、この動作を素直に行うダンベルフライは、大胸筋中部を鍛えるために有効な種目であると言えます (この「胸の前で閉じる」という動作が有効であることから多くの人は、チェストプレスのトップポジションにおいてダンベルを寄せるような動作を行いますが、玄人でないと負荷が抜けやすいためオススメできません)。

大胸筋下部は、90度に上げた腕の上腕部を身体に近づける動き、すなわち、内転動作を行う際に稼働される部位です。このため、身体を下側に配置して腕が下半身方向に動き易くなるディクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます。

以上の中でも、ダンベルチェストプレスで鍛えることができる部位は、大胸筋中部であり、大胸筋を鍛える上では最も基本となる部位であると言えます。

男性ならば厚い胸板

男性としての逞しさを測る上で、胸板の厚さは非常に重要です。胸板が厚いことで、上半身の印象は非常に大きく変わります。胸板の厚さは、服を脱いだときの印象はもちろんですが、服を着ているときの印象にも大きく関係します。胸板が厚いと服を着たときに胸周りがぴしっとすることで、見栄えが大きく改善します。このため、特に男性の場合には、服を着たときのシルエットも良くなり、スタイルが改善することが期待できます。

ただし、大胸筋を鍛えて胸板を厚くする場合、ある一定まで見栄えを改善する効果がありますが、鍛えすぎると胸板が原因で服が入らなくなる可能性があります。このため、あくまでも、服を着た時の見栄えを改善する目的で大胸筋を鍛える方は、鍛えすぎないように注意する必要があります。

女性ならばバストアップ効果

大胸筋とバストの関係について、大胸筋は筋肉であるのに対して、バストを構成する胸は基本的には脂肪であることから、大胸筋を鍛えると胸が小さくなると考える人が多いですが、必ずしもそうではありません(ボディビルダーや運動を生業としている方の場合がこの例外に当てはまり、以上のような職業柄で高頻度かつ高強度のトレーニングを行うとバストが減少する可能性があります)。これは、大胸筋のつき方及び役割からそのように言えます。大胸筋は、バストの下に存在しバストの土台となります。これにより、大胸筋を鍛えると、よりしっかりとしたバストの土台を作ることを期待でき、これにより、バストアップを期待することができます。また、大胸筋を刺激することでバストの形を整えることも期待できます。

猫背などの姿勢改善

姿勢が悪くなっている状態は、猫背もしくは反り腰になっている状態であると考えられます。

猫背は、前屈みの姿勢を長時間取ることで骨盤が後傾することで発生します。特に、現代人は、長時間デスクワークをすることが多いことから、長時間前屈みの姿勢をとることで猫背になってしまっている可能性が挙げられます。

反り腰は、腹筋及び背筋のバランスが崩れ、前側にかかった重みを背中が側で支えるようにすることで骨盤が前傾することで発生します。特に、筋肉量が少ない女性に発生しやすいと言われています。

ここで、特に、猫背になっている状態は、大胸筋が凝り固まっている状態であり、これにより、胸を張る動作が実施困難になっている状態です。このため、大胸筋を鍛えることで、大胸筋周りの血流を改善することにより、胸を張りやすい状態を作り、これにより猫背の改善効果を期待できます。

代謝の改善

代謝の改善をする働きがある筋肉というと、大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉の印象がありますが、実は大胸筋を鍛えても代謝の改善を期待できます。大胸筋は、そこまで印象がないかもしれませんが、実は身体の中の筋肉の大きさを比較した時、比較的、大きい筋肉に分類されます。このため、大胸筋を鍛えることで代謝の改善効果を期待できます。ただし、やはり、前述したような大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉と比較すると、筋肉の大きさは劣るため、大胸筋を鍛える際には代謝の改善というよりは「大胸筋の形を作る」ということを主目的にしてトレーニングを行った方がよいかもしれません。

三角筋前部(副次的)

三角筋は、三角筋前部、三角筋中部、三角筋後部からなります。

三角筋前部とは、肩の前部についている筋肉、つまり、大胸筋上部の上側に位置する筋肉です。三角筋前部が発達していると、大胸筋との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えることに繋がります。

三角筋中部とは、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩の張り出し感に繋がります。

三角筋後部とは、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になります。

大胸筋を鍛える種目の場合、大胸筋上部と接続している三角筋の前部にも自然と刺激が入ることが多いです。ダンベルチェストプレスは、三角筋中部の種目ですが、ボトムポジションでは大胸筋全体が伸展するような動作になるため、これに伴って三角筋の前部にも刺激が入ります。

一方で、ダンベルチェストプレスは、三角筋を鍛えるエクササイズではありません。大胸筋に刺激を与えるエクササイズであるという点から、三角筋の前部にも刺激が入る可能性もあります。ダンベルチェストプレスを実施したばかりで、三角筋前部が十分に発達していない場合には三角筋前部に刺激が入る感覚があっても問題ありません。一方で、ダンベルチェストプレスを実施してかなり日が経っているのにも関わらず、三角筋前部に大きな刺激が入る感覚がある場合にはフォームが間違っている可能性が高いです。具体的には、後述するように肩甲骨がしっかりと寄っていない可能性、ダンベルを下ろす場所が悪い可能性が高いです。このため、ダンベルチェストプレスをしていて肩に刺激が入るような感覚がある場合には、一旦、重量を減らして軽い重量できちんとフォームを確認することが重要です。

上腕三頭筋(副次的)

ダンベルチェストプレスは多関節種目(複数の関節を稼働して行う種目)であり、ダンベルを前腕で支え、その前腕を大胸筋を支点にして動かすことから、大胸筋と肩の間にある上腕にも刺激が入ります。ダンベルチェストプレスは、プレス種目であることから、上腕の中でも特に、腕の裏側の筋肉である上腕三頭筋に刺激が入ります。このため、ダンベルチェストプレスに慣れていないトレーニング初心者の方は上腕三頭筋に刺激が入る感覚がある場合があります。ただし、これはあくまでトレーニング初心者だけの場合であり、ダンベルチェストプレスを熟達すると上腕三頭筋に刺激が入るケースはほとんどなくなります。

ダンベルチェストプレスのやり方

フォーム

  1. 肩甲骨を寄せた状態で、ダンベルを持って仰向けになる。
  2. 脇の角度を90度にしてゆっくりダンベルを下げ、大胸筋が十分にストレッチする部分(ダンベルと大胸筋が付くか付かないか)までダンベルを下げる。
  3. 肘の角度が100度になるくらいまでダンベルを戻す。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

初心者

筋トレ初心者の場合、ダンベルチェストプレスは12〜15回を3セット実施しましょう。

ダンベルチェストプレスは、重量を扱いやすい種目であり、これに伴って初心者でも比較的重量を扱い、かつ高回数を実施することが期待できます。その中でも、初心者の場合には、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。

少し慣れたら

ダンベルチェストプレスに少し慣れた方の場合、ダンベルチェストプレスは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施するようにしましょう。

ダンベルチェストプレスに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15-18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。

上級者

筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにしましょう。

アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、オススメの方法です。

スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルフライと一緒に実施するならばダンベルフライやベンチプレス、プッシュアップなどを実施するのがオススメです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。

毎日やってよい?

ダンベルチェストプレスは毎日実施することはオススメできません。

ダンベルチェストプレスは、ダンベルフライほどではありませんが正しく実施すると大胸筋に対する刺激は比較的大きいです。これにより、強烈な筋肉痛が発生することが多く、大胸筋はかなり疲弊した状態になります(たとえ、筋肉痛が発生していなくても大胸筋はかなり疲弊した状態であることが多いです)。この状態で続けてダンベルチェストプレスを実施するのは効率的ではなく、それを実施する余裕があるならば他のエクササイズを実施した方が良いです。このため、ダンベルチェストプレスを実施する頻度は、週に1〜2回程度で十分であり、2回実施する場合には隔日を大きくして設けるようにしましょう。

ダンベルの種類

重量固定式

重量固定式とは、ダンベルに予めいくらかの重量が設定されているものです。重量固定式のダンベルのメリットとして、複数種類の重量を用意することでダンベルの重量変更をしやすいということが挙げられます。一方で、重量固定式のダンベルのデメリットとして、基本的に価格は高く、かつ、複数種類の重量を揃える必要があるため、金銭的なコストが高くなります。

金属タイプ

金属タイプとは、ダンベルの重り部分の金属が剥き出しになっているものです。ジムによく置いてあるのがこのタイプであり、重量が正確であるというメリットがあります。一方で、金銭的なコストが高く、これにより、複数の重量を揃えようとすると金額が膨大になります。後述するラバータイプは使い込んでいると握っている所から劣化していき、金属部が剥き出しになってくるため、それが憚られるという方は最初から金属が剥き出しになっているものを購入するのが無難です。

ラバータイプ

ラバータイプとは、ダンベルの重り部分がラバーで覆われたタイプです。比較的お手頃な値段で購入できるというメリットがあります。一方で、使い込んでるとラバー部分が腐食し、金属部が剥き出しになる恐れがあります(金属タイプとは異なりラバーで被覆されることが前提で作ってあるため表面処理がされておらず、金属部は汚いことが多いです)。自宅でトレーニングをする限りでは、ラバーで覆われたものを購入する方がオススメです。この理由としては、価格が安いことはもちろんですが、ラバーが付いているためダンベルがフローリングでも転がり難く、フローリングを傷つけにくいためです。

重量可変式

重量可変式は、ダンベルの重量を変更できるものです。重量可変式ダンベルのメリットとして、ダンベル1つで複数種類の重量を設定できるため、ダンベルを複数種類購入する必要がないことが挙げられます。一方で、重量可変式のダンベルのデメリットとして、製造元を吟味しないと安全性に問題があることがあり、それに伴って、きちんとしたものを購入する必要があります。そういった場合には初期投資にかかる価格金銭的コストはこちらも大きくなります。

ダンベルチェストプレスの注意点

高重量を扱いすぎない

前述したように、ダンベルチェストプレスは高重量を扱い易い種目です。これは、ダンベルチェストプレスが多関節種目は、複合関節種目、または、コンパウンド種目と呼ばれているためです。多関節種目は、その名の如く、多数の関節を稼働して実施するエクササイズです。このため、ターゲットとなる部位以外にも刺激が入ってしまうことがデメリットとして挙げられますが、高重量を扱い易いということがメリットとして挙げられます。

ダンベルチェストプレスのような多関節種目では、怪我を防止する目的として重量をあえて制限することが非常に重要です。重量を制限するからこそ、前述したフォーム、後述する効果を高めるポイントを1つずつしっかりと実践するようにしましょう。

肩甲骨を寄せる

ダンベルチェストプレスで最も怪我をし易いのは肩です。これは、ジムで大胸筋を鍛えるための種目として最もポピュラーとされているベンチプレスでも同様です。ダンベルチェストプレス、ベンチプレスで共通して肩を怪我するのは、ボトムポジションにおいて三角筋の前部で重さを受けてしまっているためです。これは、肩甲骨の寄せが甘いと生じる現象であり、肩甲骨の寄せが甘いとダンベルを下ろした際に、三角筋が伸展している状態を作れていないことから、まず三角筋で重さを受けて伸展させようとし、これにより三角筋、つまり肩を怪我します。肩甲骨を最初からきちんと寄せておくと、三角筋がすでに伸展した状態を作れるため、大胸筋で重さを受けようとし、これにより肩を怪我するリスクを低減させることが期待できます。

床に対して肘は常に垂直

ダンベルチェストプレスで大胸筋にダイレクトに負荷を与えるためには、物理的に、大胸筋に最も負荷を与える状態を作り出す必要があります。ダンベルチェストプレスで大胸筋に最も負荷がかかる肘の角度は、床に対して肘が垂直です。これにより、ダンベルの重さが重力方向にのみ働き、余分な分力が発生しません。また、これは、肘の怪我を予防する上でも非常に重要です。肘が床に対して90度から大きい、もしくは小さい角度になると、分力による回転モーメントが発生することで肘に負担がかかりやすくなります。このため、肘を床に対して垂直に設定して実施するということは、ダンベルチェストプレスの効率を上げるだけではなく、肘の怪我を予防するという側面からも重要なテクニックです。

おすすめのダンベル3選

クロームダンベル(IVANKO)

IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。

ダンベルの種類としては固定式です。

イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。

また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。

アジャスタダンベル(FLEXBELL)

FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。

ダンベルの種類は可変式です。

本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。

1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。

ダンベル 2個セット(PROIRON)

PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。

ダンベルの種類は固定式です。

本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。

ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。

ダンベルチェストプレスの効果を高めるポイント

肘を伸ばし切らない

他のプレス系の種目と同様に、ダンベルチェストプレスでは、他の種目と同様に、負荷が入っている可動域の中で実施することが重要です。ダンベルチェストプレスにおいて、可動域を完全に設定しようとした場合には、ダンベルの重りの部分が大胸筋についた状態から、肘が伸ばし切る部分まで上げ切る必要があります。しかし、肘が伸び切ってしまうと、ダンベルの重さを肘で支えることになり、大胸筋に刺激が入り難くなります。このため、肘は伸ばし切らずに実施することが重要であり、トップポジションにおける肘の角度は約150度位に設定するようにしましょう。

ダンベルを下げすぎない

ダンベルチェストプレスは、負荷が抜けない範囲で可動域が大きいほどエクササイズ効果は高まります。このため、ボトムポジションは基本的には深く設定しても十分負荷が入ります。中・上級者の場合にはダンベルを深く下げて、ボトムポジションを「あえて」深く設定することで伸展の負荷を大胸筋にかけるというやり方もありますが、少なくとも、女性やトレーニング初心者がそこまでする必要はありません。むしろ、慣れないでそのようなフォームを設定すると大胸筋の断裂などの怪我につながる恐れがあり、また、ダンベルチェストプレスの推奨回数である12-15回を実施できない可能性があります。このため、基本的にはダンベルを下げすぎない(肘が背中のラインよりも少し下に行く程度)ように設定することが重要です。

ダンベルの軌道は弧を描くのではなく直線

大胸筋を縦で分割すると大胸筋の内側と外側に分類することができます。特に、大胸筋の内側ですが、基本的には非常に鍛えることが難しい部位であり、多くの人は色々なテクニックを使って鍛えようとします。その代表的な例が、ダンベルチェストプレスの軌道を内側に絞り込むようにして実施するやり方です。しかし、大胸筋の内側を収縮させるためにはダンベルチェストプレスを実施している際に、ほぼ肘を伸ばし切る必要があることから、このテクニックを実施すると負荷が抜けやすくなります(これがダンベルを使ったフリーウェイとトレーニングの特徴であり、むしろ、大胸筋の内側を鍛えたいならばマシンを使った方が良いです)。このため、基本的にはダンベルを常に床と垂直に設定したままで直線的に動かすようにしましょう。

大胸筋の動きを意識

ダンベルチェストプレスに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大胸筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大胸筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

ダンベルチェストプレスに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

ダンベルチェストプレスに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルチェストプレスでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

ダンベルチェストプレスと一緒にやるべきエクササイズ

パームプレス

やり方

  1. 腕を上半身の前に出し、両手どうしで手のひらを押す (この状態で10〜15秒キープしても良い。)。
  2. 1の状態を保ったまま、左右いずれかに腕を動かした状態で10〜15秒キープする。
  3. 2とは逆の方向に動かし、10〜15秒キープする。

回数

パームプレスは、各ポジションで10〜15秒キープした状態を3から5セット実施します。

パームプレスは、自身の手のひらをできるだけ力を入れてお互いに押すことで負荷を入れるエクササイズであり、自身の力のかけ方によりますが、だいたい10〜15秒程度を目安に3セット実施するのがオススメです。

効果を高めるポイント

  • とにかく力を入れて手を押す。

  • 左右にツイストさせる。

  • プレートを正面に持って実施する。

  • バーベル、ダンベルトレーニングの後に実施する。

ワイドプッシュアップ

やり方

  1. 手幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

ワイドプッシュアップは、12〜15回を3セット実施しましょう。

ワイドプッシュアップは、比較的負荷の高いエクササイズです。このため、理想的には、つま先立ちで実施することが望ましいですが、負荷が高すぎる場合には膝付きで実施しても問題ありません。少しずつ負荷を増やしながら、最終的に12〜15回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。

効果を高めるポイント

  • 実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。

  • トップポジションで肘を伸ばし切らない。

  • 身体を下げるときはゆっくりにする。

  • 上半身から下半身は常に一直線で実施する。

ダンベルフライ

やり方

  1. 肩甲骨を寄せた状態で、ダンベルを平行(=持ち手が平行)となるように把持し、仰向けになる。
  2. 大胸筋を使うことで、大胸筋が十分にストレッチする部分まで、大胸筋が開くようにダンベルを平行に動かす。
  3. ダンベルが三角筋前部の上にくる部分まで戻す。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ダンベルフライは、12〜15回を3セット実施しましょう。

ダンベルフライは、大胸筋を伸展させることで負荷を入れるエクササイズです。このため、ダンベルチェストプレスよりも怪我をするリスクが高いため慎重に行う必要があります。軽めの重量から始めて、しっかりとフォームを固めてから12〜15回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。

効果を高めるポイント

  • 肘を動かすのではなく大胸筋を動かすことを意識。

  • 肘の角度は常に固定(肘を真っ直ぐにしない)。

  • ダンベルを下げすぎない。

  • ダンベルを戻しすぎない。